ポジトロン核種による凍結全身オートラジオグラフィの技術的諸問題について検討した。ポジトロン核種は, 半減期が短いためにオートラジオグラム作成行程の時間の短縮化が必要である。動物の凍結から切片作成まで連続的に行った。試料は凍結しすぎないように注意した。切片試料は凍結乾燥せずに, ただちにフィルムと密着して露出した。動物の屠殺から露出開始までの所要時間は1時間20分であった。
ラットの皮下に肝がん由来のAH109Aがんを移植して,
18F-2-deoxy-2-fluoro-D-glucose (
18F-FDG) および
11C-glucose-fructose混合液 (
11C-glucose) 投与30分後に得られたオートラジオグラムは, 両核種とも満足する結果であった。短寿命核種のオートラジオグラフィは可能である。また,
18F-FDGと
11C-glucoseのオートラジオグラムの腫瘍やその他の組織の黒化度を測定して, 筋肉に対する比を求めた。この黒化度の比は, 両核種の体内分布の結果とよく一致した。
X線フィルムの露出条件による感度の差を検討した。フィルムに標準線源を密着して, 20℃と-20℃で露出した。-20℃の方が黒化度は20℃より低下するが, 両条件下でも黒化度曲線は直線性を示した。
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