日本国内の数か所で採取した蘚苔類中の
134Cs,
137Cs,
7Be および
40Kを測定した結果, 55試料すべてから
137Cs,
7Beおよび
40Kが検出され,
134Csは33試料から検出された。蘚苔類中の
134Cs/
137Cs放射能濃度比は平均0.057±0.026でチェルノブイリ事故時の
134Cs/
137Cs放出比から算出した採取時の存在比 (0.10) に比べて小さく, 核実験等のチェルノブイリ事故以外の
137Csを含んでいることが示唆された。蘚苔類中の
134Cs,
137Cs濃度は採取地点の標高と正の相関が認められた。成長年次が明瞭で各年ごとに成長した植物体を容易に分離できるイワダレゴケを試料として, 成長年別にイワダレゴケ中の放射性セシウムを測定した結果,
137Csは古い葉ほど濃度が高く,
134Csは1986, 1987, 1988年にのみ検出され, 過去数年にわたる放射性セシウムの蓄積傾向を把握することが可能であることが示唆された。
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