筆者らは, 茨城県笠間市の涸沼川の小流域において, 環境同位体を指標とした浅層地下水調査を実施した。
地下水の起源はトリチウム濃度から1960年代の降水であることが明らかになった。地下水のラドン濃度は流下に伴って低下することから, 地表水の地下への浸透が考えられた。特に, かんがい期の低地でラドン濃度の低下が著しかった。地表水のラドン濃度の分布から, 地下水の河川への浸出区間が特定でき, ラドン濃度を基にして二つの区間で定量解析を行った。上流の流量に対する地下水の浸出割合はそれぞれ約5%と10%となった。水中の環境同位体の濃度変化と水収支を検討することによって, 地表水の地下への浸透や地下水の河川への浸出といった流域内部での水の動きが明らかになった。
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