亜硫酸ガス傷害に比較的強いといわれるイネと, 弱いといわれるオオムギ幼植物を供試して放射性亜硫酸水素ナトリウム (NaH
35SO
3) を経根的に取り込ませ, 両者の反応性の違いを調べた。培養液中のNaHSO
3濃度が5×10
-4M以下では両植物とも生長は阻害されなかった。10
-3M以上で強く阻害され, その程度はオオムギの方が大きかった。
NaH
35SO
3 (0.37MBq/ml) のshootへの取込みを調べた結果, 両植物とも10
-4Mでは対象と大きな違いはなかったが, 10
-3Mでは低下した。全取込み量は, 栽培後半にイネがオオムギより約2倍高く, その大部分は無機態でプールされていた。取り込まれたNaH
35SO
3の他硫黄化合物への代謝を調べると, オオムギでは, アルコール溶・カチオニック画分, アルコール不溶画分中の有機化合物への代謝の割合が高く, 11日後の10
-3Mで25.2%を占めていた。そのときイネでは8.3%と低かった。両画分中の含硫アミノ酸への代謝を調べると, カチオニック画分では60数%と対象よりやや少なく, アルコール不溶画分では80%以上を占め, 対象よりやや多い傾向が両植物で認められた。
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