RADIOISOTOPES
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57 巻, 7 号
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原著
  • 廬 鶴, 狩野 直樹, 八嶋 由枝, 天野 義之, 李 冲, 今泉 洋, 渡部 直喜, 鄭 永杰
    2008 年 57 巻 7 号 p. 405-418
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/29
    ジャーナル フリー
    新潟県における湖沼水の化学的特徴を把握するため,新潟県内の二つの湖沼(佐潟,鳥屋野潟)試料中の酸素安定同位体比(δ18O)をはじめ溶存有機炭素濃度(DOC)及び主要イオン濃度を測定した。湖沼試料は上記の湖沼の計5地点において,2004年から2006年まで概して月1回ごとに採取した。更に降雨現象の湖沼に及ぼす影響を調査するため,2005年6~7月に,上記の5地点で降雨の前後におけるδ18O並びに主要イオン濃度を測定した。
    その結果,主として以下のことが明らかになった。(1)佐潟の環境水におけるδ18Oは県内の他の環境水の値に比べて大きく,特に夏季において顕著であった。これは蒸発による効果に加え,甲殻類プランクトンによる活動(殻による同位体交換)といった生物学的過程や周辺地下水からの涵養が影響している可能性が考えられる。(2)佐潟の環境水中のδ18Oにおいて顕著な経時変化は見られなかった。(3)湖沼水のδ18O及びイオン濃度に及ぼす降水の影響は,佐潟と鳥屋野潟の水試料において明らかに異なる傾向を示した。(4)佐潟の環境水ではDOCとδ18Oとの間に良好な相関が見られたが,鳥屋野潟の環境水では顕著な相関は見られなかった。
  • 竹中 光大, 高取 宏至, 小島 康明, 静間 清
    2008 年 57 巻 7 号 p. 419-427
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/29
    ジャーナル フリー
    近年,各地の地下水や湧水は環境保全や食の安全と関連して人気が高まっている。また健康へのリスクの評価や鉱泉基準(地下水中のラドン濃度が74Bq/L以上)を満たすかどうかという点で,地下水中のラドン濃度の測定は重要である。本研究ではγ線スペクトロメトリを用いて西条酒仕込み水8か所のラドン濃度を測定した。ラドン濃度は月1回の頻度で2年間にわたり測定し,季節変動の有無,井戸の違い,ラドン濃度とpH,水温,気温との相関を調べた。その結果,西条酒仕込み水のラドン濃度の平均値は160Bq/Lであり,多くの仕込み水が鉱泉基準を満たしていることがわかった。また,ラドン濃度は特定の季節に変動する現象はなかった。水温,気温,pHとラドン濃度の間に明確な相関は見られなかったが,井戸の種類では打ち抜き井戸に比べてボーリング井戸のラドン濃度が高いことがわかった。
ノート
資料
  • 社団法人 日本アイソトープ協会 医学・薬学部会 核医学イメージング・検査技術専門委員会
    2008 年 57 巻 7 号 p. 437-465
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/29
    ジャーナル フリー
    日本アイソトープ協会医学・薬学部会核医学イメージング・検査技術委員会では,核医学検査時の事故発生の実態を把握し,安全を確保することにより被検者が安心できる検査を提供することを目的として,1986年に第1回調査を行って以来,今回は第8回目の調査を実施した。全国の医療機関1300施設及び衛生検査所21施設の計1321施設を対象とし,1034施設(回収率78.3%)から回答が寄せられた。
    保有資格別による核医学検査従事者は,診療放射線技師が約60%,医師が約20%であった。ただし,大学病院では医師が32%であった。臨床検査技師は全ての施設において漸減した。2検出器型,3検出器型SPECTは漸減し,PET/CT複合機は急増した。SPECT装置の保守点検率は約80%であったが,使用年数が経った単検出器ガンマカメラや単検出器SPECTの保守点検率が低かった。フィルムレス運用が25.3%の施設で行われていた。実施率では大学病院が高かった。核医学検査時の事故及び事故未然例は,前回の調査に比較して減少していたが,検査台への移動時や検査中での転倒,転落事故があった。核医学技術者の不安として,装置の安全機構に関すること,検査台の狭さと高さに関することが多かった。またメーカに対する要望として,装置の安全情報の迅速な提供と異メーカ及び装置間の互換性(標準化)を望む声が多かった。
    以上のことから今回の調査から新しい傾向を見ることができた。今後これらを参考にして核医学の発展と安全確保のために引き続き努力する必要がある。
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