RADIOISOTOPES
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58 巻, 3 号
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原著
  • 宮本 真衣, 石榑 信人, 緒方 良至, 成田 憲彦, 川浦 稚代, 仲野 高志
    2009 年 58 巻 3 号 p. 85-92
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル オープンアクセス
    今日,ホールボディカウンタ校正用ファントムとして用いられている代表的なものは,線源水溶液を満たした直方体等の単純な形状の樹脂容器を組み合わせて全身を表現したものである。これらのファントムには,均一分布にしか対応できないものが多い,別の核種の線源への交換が困難,漏洩による環境や検出器の汚染の可能性などの問題が存在する。著者らは,これらの問題を解決するため,密封シート線源を用いたホールボディカウンタ校正用ファントムの開発を試みている。これは,ランドファントム等の各スライス間に薄い密封シート線源をサンドウィッチしたものである。本研究では,このようなファントムに用いるため,人体横断面と同程度の面積を有する密封シート線源の作製を試みた。実際のホールボディカウンタで測定されるのはγ線放出核種であるが,本研究では作製方法の確立に主眼を置き,半減期が比較的短い等取り扱いが容易でオートラジオグラフィに適した純β核種の32Pを用いた。32Pの塗布にはインクジェットプリンタを用いた。放射能面密度は,画像処理ソフトウェアのカラー濃度を設定することにより調節した。32Pが塗布された用紙は,厚さ0.1mmの熱接着性のラミネートフィルムで密封した。液体シンチレーション検出器による放射能面密度の測定,オートラジオグラフィによる視覚的評価,浸漬試験による密封性の評価,及びダストモニタによる空気汚染の評価を行った結果,本方法により,ホールボディカウンタ校正用ファントムに用いる密封シート線源を安全に作製できることが示された。更に,試作した99mTcの密封シート線源を用いることにより,ファントム内におけるシート線源の離散的配置が,ファントム外部でのγ線フルエンスの空間分布に規則的なゆらぎを生じさせないことを確認した。
  • 高橋 賢臣, 栗原 雄一, 佐藤 純
    2009 年 58 巻 3 号 p. 93-100
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル オープンアクセス
    神津島,新島及び東伊豆単成火山群から噴出した流紋岩中の230Th/238U放射能強度比を観測したところ,伊豆弧の玄武岩質噴出物は230Th/238U<1の放射非平衡であるのに対して流紋岩の大部分は230Th/238U=1の放射平衡に収束していた。このことは,マグマ発生時に玄武岩では沈み込むプレートからの流体の関与が大きく,流紋岩ではそれが小さいことに起因していると推定された。また,(230Th/232Th)-(238U/232Th)放射能強度比の玄武岩と流紋岩が異なる一群を示すことから,伊豆弧の流紋岩は,伊豆弧の玄武岩と起源的な関連性は薄いと推定された。
総説
  • 矢野 恒夫, 渡辺 恭良
    2009 年 58 巻 3 号 p. 101-113
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル オープンアクセス
    分子イメージング研究が進展し有望なPETトレーサが数多く見出され,RIで標識した薬物を用いた臨床試験によって,RIの利用に新たな分野が広がってきている。平成20年6月に厚生労働省から公示されたマイクロドーズ臨床試験ガイダンスは,治験としてPETトレーサ等を開発する際の制度的基盤となる。本総説では,これらを解説すると共に,RI標識体も含んだ内容に改正された治験薬GMP,マイクロドーズよりも投与量を増量した準薬効用量(II)型や薬効用量(III)型を含む早期探索的臨床試験ガイダンス,更にバイオ医薬品のマイクロドーズ臨床試験ガイダンス構築へ向けての,主としてレギュラトリーサイエンス面の議論を展開する。最後に,PETトレーサ等をメディカルイメージング剤と診断薬の二段階で承認申請する米国FDAガイダンスの意義を論じ,RIの創薬実用化への道筋を展望したい。
講座
医療用PET薬剤
  • 佐治 英郎
    2009 年 58 巻 3 号 p. 115-120
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル オープンアクセス
    PET薬剤の品質の確保は,臨床使用にあたっての必須条件である。しかし,使用現場で調製される,いわゆる院内製剤に相当するPET薬剤においては,厚生労働省が定めた製造品質管理に関する基準はない。そこで,日本アイソトープ協会医学・薬学部会サイクロトロン核医学利用専門委員会が,院内製造PET薬剤の品質を確保するためのガイドラインとして「サイクロトロン核医学利用専門委員会が成熟薬剤として認定した放射性薬剤の基準と臨床使用の指針」を作成している。この基準では,全体的な通則,製剤総則,一般試験法,各放射性薬剤についての基準(製法,品質など),製造作業環境と作業に関する指針を示している。各施設においては,これを参考にして,委員会を設けて放射性薬剤の製造,品質の管理を責任を持って遂行する体制を整備することとしている。
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