RADIOISOTOPES
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61 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 田上 恵子, 内田 滋夫
    2012 年 61 巻 5 号 p. 223-229
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル オープンアクセス
    放射性セシウム(Cs)を含む玄米を最大82%までの歩留まりで精米し,米中の残存割合(Fr:加工後の元素総量/加工前の元素総量)を求めた。糠層の除去が進むにつれて放射性CsのFrは減少し,歩留まり90~92%の精白米では半分以下になった。米研ぎを行うと,精白米に対するFrで0.59を得た。糠中の放射性Csを各層ごとに測定したところ,中央付近にピークがあったが,胚芽の含量が影響していると考えられた。
  • Yuichi NISHIYAMA, Takahiro KATAOKA, Junichi TERAOKA, Akihiro SAKODA, Y ...
    2012 年 61 巻 5 号 p. 231-241
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル オープンアクセス
    Radon inhalation activates antioxidative functions in some organs of mice. We examined the prevention effects of pre radon inhalation and the alleviation effects of post radon inhalation on carbon tetrachloride (CCl4)-induced oxidative damage in the brain, heart, lung, liver, and kidney of mice. In addition, we compared the effect of pre and post radon inhalation on oxidative damage. Mice inhaled radon at a concentration of 18000Bq/m3 for 6hrs before or after CCl4 administration. As a result, the total glutathione(t-GSH) contents and catalase(CAT) activities in the brain, heart, lung, liver, and kidney and superoxide dismutase(SOD) activities in the heart and lung were significantly higher in pre and post radon-inhaled mice than in mice treated with only CCl4. Pre radon inhalation inhibited and post radon inhalation reduced lipid peroxidation induced by CCl4. In addition, there were no significant differences in lipid peroxide(LPO) levels in the brain, heart, lung, liver, and kidney between pre and post radon-inhaled mice. These findings suggested that post radon inhalation has the same effects as pre radon inhalation against CCl4-induced oxidative damage in the brain, heart, lung, liver, and kidney.
  • 三好 弘一, 梅原 孝雄
    2012 年 61 巻 5 号 p. 243-253
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル オープンアクセス
    管理区域ではなく講義室でのX線回折装置(XRD)の安全取扱実習のために,商業用のXRDが株式会社リガクによって改造された。アクリル遮蔽窓を装置の天板に設置し,内部の線量を測定できるようケーブルを背面に通した。実習では,X線が照射された部位がX線蛍光体シートからの蛍光によって光った。試料ホルダー付近でX線照射12秒間で最大となる5000μSvの線量が観測された。試料ホルダーに設置されたガラス板からの散乱X線がX線検出器を使って観測することができた。インターロックシステムは,わずかに45°左にドアノブを回すことでX線検出器の電圧が0Vになることで証明された。最終的に,出席者の88%が実習に対して良い及び大変良いと評価した。
ノート
  • 五郎丸 毅, 柿原 良枝, 本屋敷 敏雄
    2012 年 61 巻 5 号 p. 255-260
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル オープンアクセス
    13C標識テオフィリン(TP)経口投与後のヒト尿中代謝物の13C-NMRによる定量を検討した。腎及び肝機能正常な5人の男性被験者に13C標識テオフィリン(1,7-ジメチル-13C2-キサンチン)50mgを投与し,Sep-Pac Vac RCカラムにより固相抽出した。抽出試料より未変化TP及び1,3-ジメチル尿酸(13U),3-メチルキサンチン(3X),1-メチル尿酸(1U)をNMRにより特異的に検出できた。13C標識代謝物標品と内部標準として[3-メチル-13C]カフェイン(3-13C-CF)のシグナル積算値の比はそれらのモル比に比例した。他の代謝物についても同様の関係が成立するものと推定される。13C標識TPの尿中代謝物の定量結果より,喫煙者と非喫煙者の間には肝臓のCYP1A2活性を反映した著しい個人差が認められた。薬物代謝研究において,13C-NMR法は代謝物の検索及び定量に有用であることが認められた。
速報
  • 白木与 志也, 北 宣裕, 山田 良雄
    2012 年 61 巻 5 号 p. 261-265
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル オープンアクセス
    神奈川県の茶は,一番茶新芽が萌芽前の2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力発電所事故(以下,福島第一原発事故という)に起因する降下した放射性セシウムに汚染された。その後,4月中旬以降に萌芽した新芽の放射性セシウムを測定した結果,134Cs及び137Csの合計値で207Bq/kgであった。この茶樹における放射性セシウム濃度を部位別に測定したところ,古葉,小枝,太枝では同650~800Bq/kgと高い値を示したのに対し,樹幹及び根では同11~51Bq/kgとその値は低かった。次に,新芽摘採後にせん枝を行い,茶樹から古葉と枝を除去後に再生芽を発生させたところ,放射性セシウム濃度は同95Bq/kgと除去前の1/2に低下した。一方,せん枝を行わずに,古葉と枝を残したまま二番茶芽を発生させた場合の放射性セシウム濃度は同210Bq/kgで,せん枝前と同レベルの値を示した。以上の結果から,放射性セシウムが降下した茶樹では,放射性セシウムが古葉及び枝から吸収された後に新芽に移行したと推察されること及びこれらの古葉や枝を除去すれば,新芽における放射性セシウムの蓄積量を効果的に低減できることが明らかとなった。
総説
連載講座
パルス中性子源を用いた新しいイメージング
  • 鬼柳 善明
    2012 年 61 巻 5 号 p. 281-288
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル オープンアクセス
    中性子を用いたイメージングは透過画像を得る一つの重要な方法である。これまでは原子炉のような定常中性子源を用いて行われてきた。しかし,最近,間欠的に中性子を発生するパルス中性子源によるイメージングによって,中性子波長依存の透過率を解析し,結晶組織構造,元素,温度,水素束縛状態,磁場など,これまでは取得ができなかった,あるいは困難であった情報を実空間で与えることができるようになった。ここでは,この新手法のベースとなる,パルス中性子源の特徴とパルス中性子を用いたイメージングの原理について述べる。
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