多くの植物にとってNaは有害元素であり,植物体に侵入したNaの排出経路について様々なRIトレーサー実験がなされてきたにもかかわらず,高塩濃度条件下での根からの積極的なNa+排出は実験的に証明されていなかった。今回我々は空間分解能・時間分解能が高い非破壊分析法を用いて根内の22Naの移動経路を解明したので以下に紹介する。
宇宙線に起因する高エネルギーのミュオンは透過力が非常に強いため,地球内部の観測に応用することができる。これまでに,火山や断層,洞窟などを対象に,地球浅部構造の観測が行われてきた。中でも火山を対象にした観測では,マグマの形状や位置を視覚化することにより,噴火推移の予測に使える可能性があることがわかってきた。本報文では,ミュオンによる地球内部観測の原理と手法,そして最近の成果についてレビューする。
一般にガラスやアモルファスと呼ばれる構造的に無秩序な物質は,比熱や熱伝導率といった熱輸送現象において低温領域で結晶とは異なる性質を普遍的に持つことが知られている。これらの熱的物性は,中性子非弾性散乱実験やラマン散乱実験で観測されるBoson Peakと呼ばれる低エネルギー励起と直接関連付けられる。また,中性子非弾性散乱実験で得られる振動状態密度は,普遍的低温熱物性に対する2準位系理論モデルの正当性を支持する。