国際放射線防護委員会(ICRP)勧告では,放射線業務従事者の眼の水晶体等価線量限度が現在の限度である一年あたり150 mSvから5年平均で年間20 mSvに大幅に引き下げられた。本稿では,原子力及び加速器施設で放射線業務従事者が通常受ける,均等被ばく状況に着目し,従事者の水晶体線量の体幹部で測定される線量との違いについて評価した。その結果,β線の場合,体幹部での70 μm線量当量の測定値から推定する場合,眼の水晶体等価線量を4倍程度過大評価することが示された。
井戸形電離箱を用いた192Ir高線量率密封小線源における基準空気カーマ率測定では,線源型式の違いによる出力差異の補正が必要となる場合がある。本研究では,日本国内で使用される3種類の線源型式(mHDR-V2, VS2000, Ir2.A85-2)について,補正係数を算出した。補正係数は,mHDR-V2を基準として,それぞれVS2000は0.987, Ir2.A85-2は1.002となった。国内における井戸形電離箱の校正はmHDR-V2線源を使用しており,これらの補正係数を用いることで他の2種類の線源型式の測定が可能となる。
鉄筋コンクリート製の25の天守閣内でNaI(Tl)シンチレーション・スペクトロメータにより宇宙線の線量率を測定した。天守閣の形を多重円柱で近似し,天守閣内線量率と屋外線量率の比から天守閣の嵩密度を算出した。これに体積を掛けて重量を求めた。天守閣ごとの解析に必要な標高,延床面積,体積,屋外線量率,天守閣内線量率及び対応する嵩密度と重量を示して一覧表とした。他のモデル計算と比較して本報告の計算結果の妥当性を示した。
Soil samples were collected around the uranium deposit of Kitongo to determine activity concentrations of 238U, 232Th and 40K using a NaI(Tl) detector. Ambient dose equivalent rates were measured using a survey meter. 222Rn-220Rn discriminative measurements were performed using passive type monitors. The activity concentrations of 238U, 232Th and 40K ranged from 20±5 to 337±78 Bq kg−1, 14±4 to 53±13 Bq kg−1 and from 21±4 to 897±190 Bq kg−1 respectively, with the average values of 99±24, 27±4 and 592±125 Bq kg−1, respectively. Ambient dose equivalent rates ranged from 0.05 µSv h−1 to 6.20 µSv h−1. Higher values were recorded inside the two galleries of the uranium deposit. The maximum dose to prospective miners was calculated to be 15.2 mSv y−1. In case of the miner staying permanently inside the galleries, the external dose received would vary from 32 to 54 mSv y−1 with an average of 43 mSv y−1. Radon concentrations ranged from 416±13 to 523±14 Bq m−3 with the average value of 486±14 Bq m−3. Occupational inhalation dose ranged from 2.8 to 3.5 mSv y−1 with an average value of 3.2 mSv y−1.
自然放射性核種については,IAEAが1962年の国際基本安全基準(BSS)で記載した10 nCi/g (370 Bq/g)が広く判断の目安として取り入れられている。同様に10 nCi/g (370 Bq/g)が超ウラン元素を含む放射性廃棄物を浅地中処分する場合の目安となっていることを本資料では明らかとする。時は冷戦の真っただ中で,兵器用の核分裂性物質の大量生産が国を挙げて進められていた中で,いくつかの偶然により,当時の米国原子力委員会(AEC)がどうしても浅地中処分の基準を設定しなければならない状況に陥った。そこで,自然環境における,鉱石中のラジウム濃度の比較的高い領域から10 nCi/g (370 Bq/g)を選んで閾値としたものである。一見乱暴なようであるが,公衆に受け入れられる基準の引き方として大いに参考にすべきと考え,本資料ではそこに至る背景を詳細に説明することとした。
放射線イメージング技術は植物科学において非常に強力な研究ツールである。本総説では,現在利用可能な植物科学を対象とした放射線イメージング技術について,その原理と応用例を紹介する。具体的には,ラジオルミノグラフィやマイクロPIXE等の静的イメージング手法と,リアルタイムRIイメージングシステム(RRIS)やポジトロンイメージング,コンプトンカメラといった動的イメージング手法について説明する。
本稿では,低濃度放射能測定における測定の不確かさと,関連する特性値である決定しきい値,検出限界及び包含区間の上下限の導出とその適用について述べる。特に測定対象物を放射性廃棄物としての規制の管理下から解放することを目的としたクリアランス測定におけるISO 11929に従った考え方を整理する。