環境水を未ろ過状態で保管する間の溶存態137Cs濃度の変動を明らかにするため,森林河川,都市河川,ため池水を25°C・5°C・−20°Cで定温保管し溶存態137Cs濃度を測定した。採水直後に酸を添加し保管した場合,溶存態137Cs濃度は現地濃度に比べ大きく上昇した。酸を添加しない場合の濃度は保管温度・日数と水の性状に応じて変動し,短期間冷蔵保管後,ろ過処理前に採水時の水温に戻す処理により現地濃度を再現できる可能性が示唆された。
アスタチン-211およびアクチニウム-225で標識化されたTAT薬剤のトランスレーショナルリサーチにおける安全基準を確立したので、安全性評価、マイクロドシメトリー評価、ヒト初回投与試験の要件を報告する。1)病理組織学的検査を用いた遅延毒性を含む安全性評価方法が提案されている。PETまたはSPECTを用いた体内動態研究も提案されている。2) TAT研究のために2つの微量線量測定が提案され、1つは器官の微細構造のスケールで、もう1つは細胞スケールと細胞内スケールである。最近、確率的微小線量測定速度論モデルが、PHITSを使用した細胞スケールの粒子輸送シミュレーションによって開発された。3)ヒト初回投与(FIH)試験のためのTAT薬剤の用量は、放射能量と質量を考慮して検討すること、放射能量は質量よりも重要な決定要因となることが提案されている。4)我が国では合成装置自体の承認申請システムが、デリバリーされる放射性医薬品のシステムと共に採用されている。製造プロセス、品質管理、GMP評価を確立するため、自動合成装置の検討に初期段階から着手することが推奨され、実効線量率定数の計算に基づいた放射線防護の必要性が提案されている。多くのPETセンターで利用されているホットセル内の操作は十分な対応であると提案されている。