システムの信頼性を扱う上で,システムのコヒーレンシィは重要な問題のひとつである.ここで,コヒーレンシィとは,システムをコヒーレントシステムとする当該システムの構造上の属性を意味する.本稿では,まず,コヒーレントシステムを構造関数を用いて定義し,さらにフォールトトレラントシステムの定義の厳密化をはかっている.コヒーレントシステムは,信頼性ブロックダイヤグラムなどで比較的容易に解析可能であるが,非コヒーレントシステムでは信頼性ブロックダイヤグラムと双対構造をなすFTによる解析において,FTのゲート入力として通常事象(または常起事象)を挿入したり,抑制ゲートを設定して,通常にあるいは正常に生起する事象をゲート出力の抑制条件とすることなど特別な工夫が必要である.次に,システムのコヒーレンシィを検討するためのA-Cモデルを導入して,システム要素のコヒーレンシィをどのように同定するかについて概説している.いくつかの多機能システム事例をとりあげ,それらが非コヒーレントシステムになることを示している.
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