位置母数を含まない2母数ガンマ分布の推定については,推定法が確立されている.一方,位置母数を含む場合には,モデルとしての柔軟性は増すがその推定は困難になる.よって,ガンマ分布を仮定しうるデータの解析においては,位置母数を含まないことが既知の場合はもちろん,位置母数を含むかどうか判断し難い場合も2母数ガンマ分布をあてはめて推定を行った方がよい場合があり,実際多くのケースで行われている.しかし,真の位置母数が0から離れている場合にはその分あてはまりが悪くなるという問題が生じる.そのような問題に対し,位置母数の存在の有無に関係なく母数を推定できることの意味は大きい.本稿では,位置母数を含むかどうかに依存しない新たな推定法を提案する.さらに,数値実験により,位置母数を含んでいるのかどうか判断し難い状況における提案法の適用が有効であることを示す.最後に,実データを用いて位置及び尺度母数の推定も含めた推定例を示す.
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