アナログ回路の故障診断は設計者に依存することが多く,設計者以外の技術者が診断を行うことは困難であった.アナログ回路の汎用的な診断法として,断線やショート(ハード故障)に対応した故障モデルをたて,故障応答との比較を行う故障辞書法がある.しかし,ハード故障の発生箇所は無数にあり,故障モデルが増大する問題がある.一方,故障を素子パラメータ値の変動(パラメータ故障)としてとらえ,パラメータ値を診断する方法も提案されている.しかし,全素子パラメータを未知数とするため,多数の可観測な回路ノード数を必要とするなどの問題があった.これらの問題を回避するため,診断の対象を配線故障の主要原因の一つであるビア故障に限定した故障辞書アルゴリズム,パラメータ故障数に一定の制約を置くことで現実的な時間内にアナログ回路の診断が可能なパラメータ算定法アルゴリズム,を紹介する.また,これらのアルゴリズムの適用可能な回路規模は数十トランジスタまでと考えられるため,故障箇所を絞り込む前段階の手法として,ガイデッドプローブ法により故障経路を追跡し,故障を絞り込む手法も紹介する.
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