ライフサイクル コスティングライフに関する技術は高々40年程の履歴を持つ.ここではその展開と現在の研究課題の概要を示し,後の諸論文につなげる.なお,ライフサイクル コスティング研究会は設立から7年になる.その間,国際規格IEC 60300-3-3,(2003):Life Cycle Costing,(JIS C5750-3-3)を中心に翻訳と内容の理解と適用研究及び事例調査研究を継続し,JIS原案作成への支援,解説書「ライフサイクル コスティング」の出版,春と秋の学会での発表参画と活動を進めてきた.現在はいろいろな分野の専門家,技術者が集合し,24名のメンバー構成となっている.今年はこの国際規格の改訂の年に当り,メンバーから専門家として改訂作業に参画している.我々の研究成果を反映させる意図のためである.今回の本誌企画「ライフサイクル コスティングの展開」では,今までの事例適用と調査研究を基に幾つかの多方面にわたる論文集としてまとめることを試みた.基本理論,管理,手法,調達,環境,施設,原子力発電とリスク管理,長耐用寿命施設,交通安全コスト,安全管理システムとコスト,規格等があげられる。事例中心の内容と主張はともすると偏りと曖昧と非論理へと流れる.創造と論理的完全及び美しさと工学的効用を求める伝統的学会の枠から外れる場合のあることをお断りする.現時点では,いろいろの事例と考え方を集めCONTEXTとしての事例とデータ集成をねらっている.これらから適用可能なモデル化とデータバンクの基本設計と指導指針をまとめ,社会へのLccの意義と効用,そして導入についての宣伝啓蒙を進め,微力ながらも学会活動を通した社会的貢献を目指している.
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