未然防止の鍵は"予測"と"源流管理"にある.我々は,一般に,"予測できないこと"は防げない.将来,生じうるトラブル現象を何らかの方法で予測しうるならば,(1)この発生の原因を取り除く,(2)原因の兆候を検出する,あるいは,(3)影響を防止・緩和する,ことが可能であろう.それでは具体的にはどのように予測すればよいか.本稿では"予測"のために帰納的アプローチとシステム的アプローチの2つの考え方を示す.前者は,過去に生じたトラブルより,現場・現物・現実の視点より何が本質かを見極め,これを一般化・抽象化し,情報共有を行い,現時点から先のトラブルの未然防止を図ろうとするものである.後者は,システム・製品の"目的"から出発し,"機能","機能達成メカニズム",…と開発ステップに沿い,普遍的な原理・原則に基づき信頼性と安全性を如何に確保していくかを検討するものである.これら両者を経営トップのリーダーシップとマネジメント,ならびに"故障モード"と"トップ事象モード"によって融合・包括し,企画・構想・開発といった大もとの源流段階において,信頼性・安全性の確保を目指すことの必要性を示す.
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