ディープラーニング技術の発明以来,様々な分野で業務の AI 化が進み,社会の構造が大きく変化しつつ ある.一方,品質という社会的責任を支える品質管理部門の人材不足は深刻であり,また電子機器の複雑 化・精密化に対応できる高い故障解析力を有する故障解析技術者の育成は至難の業である.本報文では, AI 自体の進歩や社会への浸透ではなく,AI 化がもたらす故障解析業務への影響を主に示した.加えて,故 障解析技術者の育成や技術の伝承をサポートするための方向性も示した.なお,本報文は,日本信頼性学 会故障物性研究会での調査結果と議論した内容に筆者の私見を加えたものである.
Internet of Things (IoT)によって全ての人とモノが繋がり,知識・情報の共有と,分野横断的な連携に よって新たな価値が生み出され,現在の複雑な課題が克服される新しい社会構造「Society 5.0」におい ては,サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)の融合が基盤となる.この融合の鍵と なる技術の一つが,機械学習,深層学習,そして深層強化学習である.特に,社会的一般化最適化問題 に関して適用が難しい深層学習に対して,深層強化学習は従来の数理最適化モデリング手法を凌駕する 可能性が実証されつつある.本稿は,複雑電力システムにおける最適化シミュレーション技術の最新状 況の紹介を通じ,深層学習手法及び深層強化学習手法を,スマートグリッドの安定性,可用性の鍵とな る電力予測,動的制御と最適化技術に応用する最新事例と,その課題及び将来展開等について解説する.