日本信頼性学会誌 信頼性
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40 巻, 6 号
信頼性予測,推定,保全技術の変遷:個別部品からシステム信頼性へ
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 木村 忠正
    2018 年 40 巻 6 号 p. 334-343
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/01/13
    ジャーナル フリー
    1956 年にアメリカで発行された MIL-HDBK-217 は,フィールド,試験等で集められた個々のデバイスの統計的に処理した故障率をベースに,機器/システムの信頼性予測手法を定めたものである.しかし,技術の進歩にデータの更新が追随できない,一定故障率やアレニウス則の適用等に問題があり,故障率計算結果が実際のフィールドデータと大きく乖離するという問題を生じた.一方,故障のメカニズムに立ち戻って劣化とストレスの関係を求めるという故障物理に基づく信頼性予測手法の開発が進められた.この手法はより正確な信頼性予測が可能,設計にも有用であり,現在,信頼性評価手法として主要な位置を占めている.しかし,大規模システムでは,故障モードすべてに対し故障メカニズムが明らかでない,解析が複雑で高コストであるという問題がある.近年,情報処理及びセンサ技術の急速な進歩により,フィールドでのシステム/デバイスに加わるストレスと健康(劣化)状態を in- situ でモニタ,解析が可能となってきており,この技術は,プログノスティック・ヘルス・マネジメントによる保全,余寿命評価に利用されている.さらに,電子機器/部品のフィールドからの貴重なその場(in-situ)データ利用が可能となれば,信頼性評価手法,設計等の根本的な改革に新たな展開をもたらすと期待される.
  • 塩野 登
    2018 年 40 巻 6 号 p. 344-351
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/01/13
    ジャーナル フリー
    経験則に基づくハンドブック予測は,問題があると指摘されながらも,電子機器・システムの信頼性予測方法に依然として使われている.その例は,ISO 26262 が要求する機能安全指標の ASIL に関連して,具体的なシステムの故障率を求めるのに使用されている.本稿では,各種ハンドブック予測の特徴を解説し,マイクロコントローラ(MCU)の故障率予測への適用例,ISO 26262 の安全分析での故障率予測結果の使用例を示し,ハンドブック予測の限界,問題点,及び信頼性予測の推奨方法をまとめる.
  • 益田 昭彦
    2018 年 40 巻 6 号 p. 352-359
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/01/13
    ジャーナル フリー
    JIS Z 8115 の信頼性用語標準化の歴史を振り返ると,2000 年に米軍規格から IEC 国際規格へ乗り換えたことが大きな転換点になった.18 年ぶりに改正された用語原案には IoT 時代の信頼性の方向性を示唆する内容が含まれている.この展望では中核となる信頼性用語(アイテム,総合信頼性など)の変化点を紹介して,仕掛けられた方向性を解説する.
  • 瀬戸屋 孝
    2018 年 40 巻 6 号 p. 360-367
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/01/13
    ジャーナル フリー
    近年,半導体 LSI(大規模集積回路)の主要な故障メカニズムの理解が進んだことから,市場環境における信頼性は規定化された信頼性試験を行うことで確認できるようになっており,新たに詳細な評価計画や統計解析を行って信頼性の予測と推定を行う機会は減った.一方,車載や産業用途のアプリケーションへの需要は拡大しており,この分野ではより高い信頼性が求められる.高い信頼性を確保するためには,より高い精度の信頼性推定と予測のレベルが必要で,改めて正確な統計的手法による解析が重要になってきている.本稿では,日本発の国際標準規格として車載,産業用途向けに規格化された IEC60749-431)の内容を中心に,これらの LSI 製品の信頼性を確保する為の信頼性推定と予測の実際と,それを行う際の注意点について説明する.
  • 千林 暁, 福永 哲也, 中谷 英之, 野口 優弥, 東 勇吾, 宇都宮 里佐
    2018 年 40 巻 6 号 p. 368-375
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/01/13
    ジャーナル フリー
    近年,高経年の電気設備の割合が増加している.メンテナンスコストの平準化などの目的で設備を延命化して使用される事例が散見されている.電気設備の劣化は設置環境の影響を受ける.設備設置環境を測定・把握し,メンテナンスに活用することは極めて有意義である.当社(日新電機)は,塩分付着量や振動頻度の測定機能を含めた環境計測機器である複合環境センサを開発し,得られた環境データに基づく設備メンテナンスへの活用を開始している.本論文では,設備設置環境が機器劣化に及ぼす影響,当社製品の特長と活用事例について紹介する.
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