日本信頼性学会誌 信頼性
Online ISSN : 2424-2543
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42 巻, 6 号
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展望 「ビッグデータ時代の品質と信頼性」
  • 山本 学
    2020 年42 巻6 号 p. 254-261
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2025/09/06
    ジャーナル フリー

    近年,先進運転支援システム(ADAS, Advanced Driver-Assistence System)や自動運転が実現されつつある.これらの技術は車両・信号機や路側機器・ネットワーク接続されるセンター側のシステムなどが連携して,安全で快適な運転を実現する.このシステムのソフトウェアの信頼性やセキュリティが重要であることは言うまでもない.一方,ADASや自動運転技術は,情報の誤り・情報の遅延・情報の不足が発生すれば,ソフトウェアが正しく機能していても,現実世界との乖離が発生し,それが原因で事故は起こりうる.特に,地図データはソフトウェアが適切な判断を行う要となるデータであるが,現実世界の道路と地図データをリアルタイムに完全一致させることは困難である.したがって,ADASや自動運転のソフトウェアは,情報の正確さを考慮しながら,車両の速度を落としたり,停止したり,運転者に運転を依頼する,などの判断をフェールセーフに基づき行う必要がある.

  • 高田 淳司, 中田 隆幸, 常木 翔太
    2020 年42 巻6 号 p. 262-269
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2025/09/06
    ジャーナル フリー

    近年IoT(Internet of Things)の普及や各種SNSの利用拡大,各種メディアの電子化等により,世の中のあらゆる事象のデータが取得できるようになり,これらビッグデータの活用が本格化している.また,このような膨大なデータを扱うための手段として,機械学習やディープラーニングといったAI技術の活用が急速に進んでいる.PMOの活動においても,大量のプロジェクト管理データや企業内のビックデータを用いたプロジェクトの状況判断やプロジェクトリスクの予兆検知の活用が報告されてきている.その一方で,ビックデータやAIを活用するためのデータの収集と蓄積方法やAI分析結果の精度と根拠には少なからず課題があると思われる.本稿では,PMO活動の高度化を目的として,AIを活用したプロジェクトモニタリング活動を推進した経験から,プロジェクトデータの活用,AIのモデル化,分析結果の現場展開について,その課題と実践方法についての取組みを紹介する.

  • 木目田 宏
    2020 年42 巻6 号 p. 270-275
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2025/09/06
    ジャーナル フリー

    働き方改革,新型コロナウイルス感染拡大に伴う労働環境の変化,加えて昨今のデジタルテクノロジーの進歩と普及に伴う各産業ビジネスモデルの変革が進んでいく中,システムインテグレーション事業におけるプロジェクトマネジメントの在り方も変革を要している.本稿ではビジネス環境,労働環境が変化する中,筆者が従事する金融システムの開発・維持運用現場にて,QCD(品質・コスト・進捗)確保に向け取り組むシステム開発プロセス・プロジェクトマネジメントの見直し事例を紹介する.

  • 森出 茂樹
    2020 年42 巻6 号 p. 276-283
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2025/09/06
    ジャーナル フリー

    「エフェクチュエーション」とは,2008年にインド出身の経営学者,サラス・サラスバシーが体系化した「優れた起業家が用いる意思決定の理論」である.優れた起業家の特徴は生まれ持った気質や性格,環境,時代背景などによって説明されることが多く,一般化することが難しいと言われてきたが,サラスバシーは優れた起業家には共通の思考プロセスがあることを発見・体系化し,それを「Effectuation: Elements of Entrepreneurial Expertise1)(以下原著)」(邦訳:エフェクチュエーション−市場創造の実効理論2))として2008年に発表した.一言でいえば,エフェクチュエーションは過去の情報から未来を予測できない状況でイノベーションを生み出す方法論である.本稿ではエフェクチュエーション理論の解説と,さらには一見対立する様に見えるデータ駆動型意思決定との融合についてビジネス開発の実体験を踏まえて考察する.

  • 田村 慶信
    2020 年42 巻6 号 p. 284-289
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2025/09/06
    ジャーナル フリー

    現在,情報社会におけるキーワードとして,IoT(Internet of Things),クラウドコンピューティング,エッジコンピューティング,5G(第5世代移動通信システム)が注目されている.特に,こうした情報技術や情報サービスを利用した結果として,大規模データが蓄積され,ビッグデータの利活用にも注目が集まっている.さらに,AI(Artificial Intelligence)の発展は目覚しく,深層学習として様々なディープラーニングのアルゴリズムに関する研究も精力的に行われている.このような背景から,2019年11月1日に文部科学省から「教育改革に向けた主な取り組み」が発表された.この発表資料では,AI戦略等を踏まえたAI人材の育成,数理・データサイエンス・AIをキーワードとして,現代社会における必須知識としてのデータサイエンスとAIに関するスキルを修得するための方針について記載されている.本稿では,「数理・データサイエンス・AI」に関する高等教育機関における教育の一例を紹介する.

編集後記
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