日本信頼性学会誌 信頼性
Online ISSN : 2424-2543
Print ISSN : 0919-2697
ISSN-L : 0919-2697
43 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
展望 「交通システムの安全性・信頼性」
  • 伊藤 誠, 岡部 康平, 岩田 拡也
    2021 年43 巻2 号 p. 58-64
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2025/10/03
    ジャーナル フリー

    ドローンは,日本における産業や物流に大きな貢献を与えうるものとして期待されている.将来的には,有人エリアにおいて重量物を自律飛行で輸送するといったことをも視野に入れられている.こうしたドローンが社会に受容され活用されていくためには,安全性をいかに確保し,それをいかに保証できるかが問題である.本稿では,ドローンの安全確保の考え方や評価手法に焦点を絞り,歴史的経緯をも概観しながら日本における現状と課題,今後の進むべき方向性について考察を試みたものである.本稿の構造は以下のとおりである.1節の導入に続き,2節ではドローン開発について,ドローンの飛行レベルや新しい安全の考え方であるSafety2.0の思想を踏まえつつ,これまでの経緯と今後の大きな流れを示す.3節のドローンの安全上の問題においては,事故事例や制度整備の状況を踏まえつつ,筆者らの取り組みの一部を紹介するとともに安全確保のための今後の課題を示す.4節では,究極の目標である飛行レベル4の実現に向けたヒューマンファクターの課題を論ずる.

  • 神田 淳
    2021 年43 巻2 号 p. 65-72
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2025/10/03
    ジャーナル フリー

    航空機の運航は,雪氷,雷,火山灰,乱気流などの特殊気象により大きな影響を受ける.過去数年の統計では,特殊気象が航空機事故の最大の要因となっている.また安全性だけでなく欠航・遅延等を発生させ運航効率を低下させる要因にもなっている.これらの問題に対応するため,JAXA(宇宙航空研究開発機構)では,特殊気象に対して運航安全性や運航効率性を向上させるための技術を開発する研究プログラムWEATHER-Eye(Weather Endurance Aircraft Technology to Hold,Evade and Recover by Eye)を進めている.研究プログラムではニーズが高い7種類の革新技術(滑走路雪氷を検知する技術,航空機の被雷危険性を予測する技術,被雷による構造損傷を軽減する材料技術,エンジンのファンブレードへの着氷を防ぐ技術,タービンブレードへの火山灰による損傷や付着を防ぐ技術,前方に存在する火山灰・氷晶を検知するセンサー技術,乱気流を事前検知し機体の揺れを防ぐ制御技術)の研究開発に取り組んでいる.また航空技術以外の気象学・化学・光学など多分野の知見が欠かせないため,オールジャパン体制のWEATHER-Eyeコンソーシアムを2016年に構築し,多分野糾合で研究開発の促進に取り組んでいる.

  • 二ッ森 俊一, 柴垣 信彦
    2021 年43 巻2 号 p. 73-80
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2025/10/03
    ジャーナル フリー

    2000年にフランス・シャルルドゴール国際空港で発生した,直前に離陸した航空機から脱落した金属片を原因とするコンコルドの事故以来,滑走路等上の小異物(Foreign Object Debris, FOD)の発見および除去は,非常に重要な空港運用の安全上の課題の一つとして認識が高まっている.また,バードストライクなどの突発的な事象は,異物の除去や滑走路の安全確認までに多大な手間と点検時間を発生させることになる.こうした事態は,安全上の問題に加え,航空機の離着陸を制限することから,空港の処理能力や運用効率を低下させる重大な要因となっている.このような背景の下,筆者らの研究グループでは,FOD探知システムの研究開発を実施している.本研究の目的は,FOD探知システムの空港導入に向け,実運用に向けた未検知率の低減,探知が困難な形状のFODへの対応,悪天候時の対策等のための研究開発を行うことである.これらを踏まえ,本研究では,電磁波の反射率の低い探知対象物の反射特性評価および検出技術の提案,システム開発,空港環境および悪天候状況における性能評価および空港への配置計画検討およびシステム設計等を実施している.

  • 中村 一城, 長峯 望
    2021 年43 巻2 号 p. 81-86
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2025/10/03
    ジャーナル フリー

    鉄道の線路内に存在する障害物は,列車の重大事故につながる可能性がある.現状の鉄道システムにおいては,運転士による前方監視を基本としたうえで,踏切内や駅のホームなどの事故の多い場所や落石や雪崩の発生が危惧される区間に限定して,地上で障害物を検知する装置が設置されている.近年,より早く線路内の障害物の検知を支援するため,様々な線路内の障害物検知手法が検討されており,将来的な運転支援や自動運転への貢献も期待されている.そこで本稿では,鉄道における線路内障害物検知技術の現状と,研究開発動向について紹介する.

  • 寺田 貴行, 中村 英夫
    2021 年43 巻2 号 p. 87-92
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2025/10/03
    ジャーナル フリー

    軌道回路は,送受信部およびそれらを結ぶレールから構成されており,わが国では,鉄道信号において長きにわたりフェールセーフな列車検知センサーとして用いられ,信号の連動制御や自動閉そく制御の安全性確保に寄与してきた.近年,鉄道信号では,無線を活用した新しい列車制御信号システムが増加しており,脱軌道回路の傾向にある.しかし,中小鉄道事業者では,導入費用などの点で無線式列車制御システムの採用が難しい状況である.このような状況に対して,本稿では,既存軌道回路の現状を紹介するとともに,駅中間の列車検知にフォーカスを当てて軌道回路の課題を明らかにする.その上で課題を解決する新たな軌道回路を提案する.さらに,提案する新しい軌道回路を活用した信号制御方式を採用することで,大幅な省エネルギー化が実現できるほか,RAMS性能(Reliability(信頼性),Availability(可用性),Maintainability(保守性),Safety(安全性))の改善が図れることを明らかにする.無線式列車制御方式が採用できない線区の近代化に寄与できるものと期待している.

  • 内田 信行
    2021 年43 巻2 号 p. 93-100
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2025/10/03
    ジャーナル フリー

    自動運転の実用化については,交通事故の削減に加えて,バスやトラック(サービスカー)等の職業運転者の高齢化による人手不足への対応等,新しい移動手段に対する社会的な期待が大きい. 特に,自家用車(オーナーカー)については,2020年6月に自動運転レベル3(条件付運転自動化)に関する国際基準が制定され,限定条件下とはいえシステムが運転/ 操縦の主体となる自動運転での公道走行が可能になった.今後レベル3以上の自動運転システムの市場化が進むと考えられるが,より一層の普及にあたっては自動運転に対する社会的受容性が不可欠である.とりわけ,説明性が高く国際的にも認められる安全性評価手法の確立が課題である.そこで,本稿では国内での官民連携による自動運転実用化の取り組みについて紹介した上で,自動運転システムの安全性評価に関する課題と海外動向を概観すると共に,国内で進められている安全性評価の手法構築の取り組みについて述べる.

  • 三宅 里奈
    2021 年43 巻2 号 p. 101-106
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2025/10/03
    ジャーナル フリー

    船舶は,産業および衣食住の生活に必要な物資の多くを輸入に頼る我が国にとって,重要な役割を担う輸送機関である.ひとたび船舶事故が発生すると,例えば石油流出により多大な環境汚染が生じるなど影響は測り知れないため,海上交通の安全を確保することは非常に重要な課題である.従来から,船舶交通量が特に多い湾内や港内などの限定される海域を対象に,さまざまな安全対策が講じられてきたが,近年は沿岸域に着目した安全対策が講じられている.本稿では,海上交通ルールを概説し,海上交通の現状と従来の安全対策,さらに近年における安全対策とその効果について紹介する.

編集後記
feedback
Top