本研究の目的は,発達障害児に対する保育実践能力の尺度項目を作成し,特別支援教育に対する実践能力について障害児保育を経験した保育士の視点から明らかにすることである。対象の保育士は,東京都小児総合医療センター幼児デイケアで実施している「発達障害児の保育実践研修プログラム」に参加した研修生16名で,研修後の実践についての質問紙調査を実施した。回答の分析の結果,子どもの直接支援の局面を示す4つのカテゴリーと,具体的な支援方法を示す24のサブカテゴリー,及び園の連携の局面を示す2つのカテゴリーと,具体的な実践方法を示す10のサブカテゴリーが抽出された。その結果を基にインタビューガイドを作成し,研修生の中でも各園でリーダー的役割を担い実践を行っている4名の保育士にインタビューを実施した。その結果,「コーディネート能力」,「専門性」の2つのコアカテゴリーと,「園内連携」「周知」「学校との連携」「支援技術」「専門性の向上」という5つのカテゴリー,及び52のサブカテゴリーが分析され,発達障害児への保育実践能力項目として17の能力が示唆された。
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