本研究の目的は,保育におけるいざこざ場面での,保育者による幼児の気持ちを和ませる介入行動の機能について明らかにすることであった。4歳児クラスにおけるいざこざの事例を収集し,解釈的アプローチに基づき保育者と幼児の相互作用のありようを考察した結果,以下の2つの機能が見出された。第1に,いざこざが終結するまでの過程では,緊張状態を緩和し,自分の行動を振り返る空間をつくり出す機能があった。この空間の中で,幼児は自分の非を素直に認めて気持ちに折り合いをつけていた。第2に,いざこざ終結後では,ネガティブな気分を切り替え,状況を転換させる機能があった。これは,いざこざ後も一緒に遊ぶ等,当事者間の良好な関係を維持することに通じていた。
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