本研究は,初任保育士が,保護者との関係をどのように構築していくか,その変容プロセスを保育士の語りから検討することを目的とする。
対象は私立保育所に勤務する保育士2名,いずれも経験1年目の初任保育士である。M-GTAを用いてデータを分析し,初任保育士が捉える保護者との関係性の変容過程を検討し,以下の考察を得た。1)保護者との関係に関する初任保育士の語りを,①どう話しかけて良いかわからない時期,②返答の仕方がわからない時期,③双方向の会話が成り立つ時期の3つの時期に分けることができた。2)他の保育士の存在は,保護者との関わりを支援してくれる存在でありながら,一方で,初任保育士に未熟感や不甲斐なさを感じさせる存在でもあった。3)担当クラスの子どもの年齢に応じて,保育士の保護者に対する語りの変容プロセスには違いがあった。
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