運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
Print ISSN : 1347-5827
15 巻 , 1 号
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巻頭言
総説
  • Ulf Ekelund
    2013 年 15 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2013/03/31
    公開日: 2021/05/09
    ジャーナル フリー

    5~18歳の者において毎日60分以上の中高強度身体活動を蓄積することが推奨されている。最新のエビデンスでは大多数の若年者はこの基準を満たしておらず,このことが健康に影響しているかもしれない。エネルギー消費スペクトラムのもう一方に位置づけられる座業時間は,成人において慢性疾患の潜在的なリスク要因であると認識されている。 最近のシステマティック・レビューによれば,この年齢層では座業時間と健康アウトカムの関連を縦断的に検討したエビデンスはほとんどないことが示唆されている。客観的に測定された身体活動(訳者注:加速度計などによる測定のこと)と健康アウトカムの関連を縦断的に検討したデータも不足している。しかし,中高強度身体活動と心・代謝健康アウトカムとの関連を示す横断研究のエビデンスによれば,より強い強度の身体活動においてより強い関連が示されている。更にいうと,座業時間と健康アウトカムとの関連は,中高強度身体活動で調整して検討すると,認められていない。心血管疾患を予防するためには,中高強度身体活動の適量を明らかにする必要がある。また,より高強度な身体活動の効果を明らかにする必要がある。大規模な縦断研究,あるいはランダム化比較試験が求められる。


    (この日本語訳は,読者の利便性を考慮して著者の許可のもとに編集委員会が作成したもので,論文の一部ではありません。日本語訳が著者の意図にあっていない可能性がありますので,正確な意味を確認するためには原文をご確認ください)

  • 原田 和弘
    2013 年 15 巻 1 号 p. 8-16
    発行日: 2013/03/31
    公開日: 2021/05/09
    ジャーナル フリー

    本稿では,身体活動の促進に関する心理学の分野で,現在,研究が進んでいるテーマとして,1)心理学の考え方を適用した介入によって身体活動が促進されるメカニズムの解明,2)動機づけの種類と身体活動の促進との関連性,3)環境要因と身体活動の促進との関連性に関する研究の動向を概説した。身体活動介入のメカニズムに関する研究では,自己調整(身体活動の計画や目標設定,実施状況の記録や評価などを自分で行うこと)を促す内容を介入に含めることが,身体活動を効果的に促進するうえで特に有効である可能性が示されている。動機づけに関する研究では,他者からの推奨や報酬,義務感などによる外発的な動機づけよりも,楽しみ,挑戦,満足感などによる内発的な動機づけのほうが,身体活動の促進に対して重要であることが示唆されている。環境要因に関する研究では,環境要因は,個人要因と相互に作用して身体活動の実施に関与していることが報告され始めている。また,説得力のある知見づくりや政策への働きかけを通じて,環境要因を変えることの実現可能性の向上を目指した研究も進んでいる。今後は,個人の特性や環境に応じて,最も効果的な身体活動の促進方策を探る研究や,心理学の考え方を用いた身体活動介入の普及可能性を検証する研究が期待される。

資料
  • 岡 浩一朗, 井上 茂, 柴田 愛, 江川 賢一, 鎌田 真光, 澤田 亨, 志村 広子, 内藤 義彦
    2013 年 15 巻 1 号 p. 17-30
    発行日: 2013/03/31
    公開日: 2021/05/09
    ジャーナル フリー

    「非感染性疾患予防:身体活動への有効な投資」は,「身体活動のトロント憲章:世界規模での行動の呼びかけ(2010年5月)」を補完する資料として,2011年2月に公刊された。本資料も,国際身体活動健康学会の協議会の1つである身体活動の世界規模での支援活動協議会および有識者により提案されたものである。第4回国際身体活動公衆衛生会議(2012年10-11月,シドニー)終了後,本会議への出席者を中心に日本語版への翻訳を行った。本稿では,資料作成の関連情報や背景,翻訳の手続き,資料の内容について紹介した。 この新しい資料では,有効性が確認されたエビデンスや世界中で応用することが可能な身体活動推進のための7つの投資が提案された:1)「学校ぐるみ」のプログラム,2)歩行,自転車,公共交通の利用を優先する交通政策・システム,3)余暇身体活動,レクリエーションおよび移動に伴う歩行・自転車利用を,生涯にわたって公平かつ安全に行えるような機会を提供するための都市計画に関する規制およびインフラ,4)プライマリ・ヘルスケアシステムへの身体活動および非感染性疾患予防の統合,5)身体活動に関する意識を高め,社会規範を変えるためのマスメディア活用を含む一般社会に向けた教育,6)多数の場面や機関を巻き込み,地域の積極的な関与と資源の動員・統合による地域社会全体でのプログラム,7)「スポーツ・フォー・オール」を奨励し,生涯にわたる参加を促すスポーツシステムとスポーツプログラム。非感染性疾患の負担を減らし,生活の質(QOL)や生活環境を改善するために,十分な資源の下,多くの国において国民全体に対して身体活動促進のための7つの投資を実行すべきであることが強調されている。日本語版および原(英語)版を付表として添付したので,「トロント憲章」と同様にこの新しい資料が広く活用されることを期待する。

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