目的:本研究は,WHO Health Behaviour in School-aged Children (HBSC) survey の質問票のうち,身体活動量(PA)の質問票を日本語に訳し(HBSC-J),その妥当性を検討することを目的とした。
方法:対象者は,小学校5年生の児童であった(70名の平均年齢は11.3 ± 0.3歳: 10.6~11.9歳)。質問票は,日本語訳を行ったうえで予備調査にて精査し,英語に逆翻訳を行い,オリジナル版と齟齬がないか検討した。妥当性は,加速度計で評価したデータとの比較により検討した。PAの質問票の妥当性を評価するために,質問票と加速度計を用いて客観的に測定された中高強度活動(MVPA)あるいは高強度活動(VPA)に対して,スピアマンの順位相関を用いた。また,HBSC-Jによって自己申告された「1日当たりのMVPAが少なくとも60分」が5日以上と5日未満の2群に分類し,対応のないt検定を用いてMVPAの客観的な平均所要時間を比較した。
結果:加速度計によるMVPAの所要時間と1日当たりのMVPAが少なくとも60分の日数は,有意な正の相関がみられた(ρ = 0.339)。更に,加速度計によるVPAの所要時間とHBSC-JにおけるVPAの頻度(ρ = 0.515)や持続時間(ρ = 0.400)との間には,有意な正の相関がみられた。また,加速度計によるMVPAの所要時間は,1日当たりのMVPAが少なくとも60分5日以上群が,5日未満の群に比較して高い傾向にあった。
結論:これらの結果から,日本人児童において,HBSC-JによるMVPAやVPAのパターンの推定に関する妥当性が認められた。
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