運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
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早期公開論文
早期公開論文の8件中1~8を表示しています
  • 竹内 睦雄, 木村 鷹介, 金居 督之, 清水 夏生, 久保 宏紀, 小林 壮太, 吉田 啓志, 甲斐 匠, 鈴木 佳樹, 諸永 浩平, 山 ...
    論文ID: 2402
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/03/07
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:回復期リハビリテーション病棟における脳卒中者の強度別身体活動時間について,移動形態別に調査すること。
    方法:本研究は7施設の回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳卒中者を対象とした横断研究である。対象者119人に対し,入院後1か月時点のFunctional Ambulation Categories(FAC)とFunctional Independence Measure(FIM)を用いて,(1)歩行自立群(FAC 4以上),(2)車いす自走群(FAC 3以下,FIM車いす駆動6点),(3)移動非自立群(FAC 3以下,FIM車いす駆動5点以下)の3群に分類した。身体活動量は3軸加速度計(HJA-750C)を用いて測定し,入院1か月時点の座位行動,軽強度活動,中高強度活動を3群間で比較した。
    結果:座位行動の中央値(四分位範囲)は移動非自立群が600.6(547.6, 636.4)分で車いす自走群の537.6(480.0, 592.2)分と歩行自立群の502.1(449.9, 563.2)分に比べて有意に長かった。軽強度活動は移動非自立群の98.8(76.5, 134.0)分が車いす自走群の195.0(165.9, 247.3)分と歩行自立群の155.4(138.0, 218.5)分に比べて有意に短かった。中高強度活動は歩行自立群の17.4(5.6, 33.9)分が移動非自立群の2.4(1.3, 4.0)分と車いす自走群の2.3(1.7, 6.7)分に比べて有意に長かった。
    結論:回復期リハビリテーション病棟入院中の脳卒中者において,車いす駆動自立者の軽強度活動時間は歩行自立者と同程度であることが明らかとなった。
  • 中潟 崇, 笹井 浩行, 鈴木 宏哉, 渡邉 大輝
    論文ID: 2412
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/03/04
    ジャーナル フリー 早期公開
    統計法(平成19年法律第53号)の改正に伴い,公的統計の利活用が一層促進され,公的統計を含む既存の個票形式のデータ(以下,調査票情報)の利用可能性が広がっている。しかし,身体活動・運動および体力に関する公的統計の調査票情報を用いた研究は,栄養・食事を含む他分野に比べて少ない。この理由の1つとして,公的統計の調査票情報の利用申請方法や申請に要する時間,実際の活用事例が十分に共有されていない点が挙げられる。そこで本稿では,身体活動・運動および体力に関する公的統計の調査票情報の利用の現状や課題,活用事例を紹介しながら,身体活動・運動および体力に関する分野における今後の可能性について議論することを目的とした。本稿の内容は,2024年6月29 日~7月1日に開催された第26回日本運動疫学会学術総会におけるデータ活用セミナー「身体活動・運動に関する公的統計の二次利用」での発表と議論を土台に,最新の情報を追加してまとめたものである。本稿を通じて,身体活動・運動および体力に関する公的統計の調査票情報を利用した運動疫学研究がさらに発展することを期待する。
  • 石井 香織, 宮脇 梨奈, 柴田 愛, 岡 浩一朗
    論文ID: 2405
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/11/27
    ジャーナル フリー 早期公開

    目的:自然実験アプローチを用い,学校教育場面の中で座位行動についての情報が含まれた教科書を使用している生徒と使用していない生徒での,気づき,意図およびスクリーンタイム(ST)が1年後のそれらに与える影響を検討することを目的とした。
    方法:2021年(T1; 2,219名)および2022年(T2; 778名)3月の2回のウェブ調査を,T1時に小学6年生の子どものいる保護者に実施した。 ST,座位行動に関する気づき,意図,属性(T1の子どもの性およびbody mass index,世帯収入),保健体育の教科書の出版社を尋ねた。座位行動に関する内容が含まれている教科書を使用している生徒と含まれていない教科書を使用している生徒における,T1の気づき,意図およびSTがT2の気づき,意図,STそれぞれに与える影響について,属性を調整した多母集団同時分析によるパス解析を実施した。
    結果:分析対象者624名のうち,座位行動に関する内容が含まれている教科書を使用している生徒の割合は25.2%であった。パス解析を行った結果,座位行動についての記載された教科書を使用している群と記載されていない教科書を使用している群ともに,T1およびT2それぞれ気づきが有意に意図に影響を与えていた(AGFI=0.954, HOELTER0.05=575, AIC=133.788, RMSEA=0.005)。しかしながら,これらの両群の値の差に対する検定を行った結果,差は認められなかった。
    結論:気づきは意図に影響を与えていたが,STへの影響は確認できなかった。この影響は,座位行動に関する情報が含まれた教科書の使用の有無によって差はなかった。
  • ―International Journal of Obesityに掲載された英語論文の日本語による二次出版
    木下 佳大, 大里 直樹, 山口 亨, 武士田 寛人, 須藤 元喜, 山城 由華吏, 森 建太, 桂木 能久, 笹井 浩行, 村下 公一, ...
    論文ID: 2409
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/11/27
    ジャーナル フリー 早期公開
    背景:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックが座位行動と肥満を増加させたことを報告した研究はいくつかあるが,自己申告によるデータが用いられており,COVID-19パンデミックにおける座位行動と内臓脂肪およびアディポサイトカインの客観的な関連は依然として不明である。本研究ではCOVID-19パンデミックと客観的に測定した座位行動および肥満関連因子の関連を検討することを目的とした。
    方法:COVID-19パンデミック前(2018年)とパンデミック中(2020年)に健康診断を受けた日本人参加者257名について,縦断的解析を行った。座位行動は加速度計を用いて7日間以上測定した。内臓脂肪面積(VFA)は腹部生体インピーダンス法により測定した。血中アディポネクチンはラテックス凝集法により測定した。線形回帰分析により座位行動と肥満関連因子の関連を解析した。
    結果:2018年と比較して,2020年では座位行動とVFAは有意に増加し(それぞれP < 0.001, P = 0.006),アディポネクチンは有意に減少した(P < 0.001)。座位行動の増加はVFAの増加(β = 3.85, 95%信頼区間 1.22, 6.49, P = 0.004)およびアディポネクチンの減少(β = -0.04, 95%信頼区間 -0.06,-0.01,P = 0.005)と有意に関連した。しかし,座位行動とアディポネクチンの関連はVFAの影響を考慮した後では有意ではなかった。
    結論:日本人成人において,COVID-19パンデミックは客観的に測定された座位行動および肥満関連因子と関連した。さらに,座位行動の増加はVFAの増加と関連したが,座位行動とアディポネクチンの関連は部分的にVFAによって媒介された。COVID-19パンデミックのような行動制限下においては,座位行動の増加を避けることは内臓脂肪蓄積の予防および付随するアディポネクチンの改善に重要であることが示唆された。
  • 澤田 亨
    論文ID: 2411
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/11/27
    ジャーナル フリー 早期公開
  • 門間 陽樹, 武田 典子, 本田 貴紀, 石毛 里美, 難波 秀行
    論文ID: 2408
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/11/03
    ジャーナル フリー 早期公開
    論文の執筆は研究活動における一つの集大成であり,初学者にとっては大きな挑戦となることだろう。最近ではアカデミック・ライティングや論文執筆に関する書籍が数多く出版されているが,これらの多くは一般的な事項に関する言及に留まっており,初学者にとって具体的かつ身近な内容になっているとは言い難い。そこで本稿では,論文を執筆する際にやってしまいがちなことについて事例を挙げて紹介するとともに,実際に論文で記載されていそうな例文を用いながら,その対応策について解説を行うことを目的とした。なお,本稿の内容は,日本運動疫学会のセミナー委員会と広報委員会の活動の一貫として行ったSNS企画『#研究あるある』(2023年5月6日~2024年5月4日)の内容の一部に基づいたものであり,作文方法や背景を書く際の前提となる事項など,基本的な内容に焦点を当てている。最初に,論文を執筆する際に気をつけたいポイントについてまとめ,次に論文を執筆する際にやってしまいがちな事例集を紹介した。質の高い研究がいつもできるわけではない。しかし,質の高い記述は研究の質に関係なく常にできる。論文の書き方は一つではなく正解もない。そのようななかで,本稿が少しでも論文を執筆する際の手助けとなれば幸いである。
  • 日本運動疫学会公式声明委員会, 原田 和弘, 丸藤 祐子, 阿部 巧, 上村 一貴, 佐藤 真治, 長阪 裕子, 町田 征己, 宮脇 梨奈
    論文ID: 2407
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/10/17
    ジャーナル フリー 早期公開
  • 中潟 崇, 笹井 浩行, 澤田 亨, 宮地 元彦, 小野 玲
    論文ID: 2403
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/09/13
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:疫学研究では,歩数計や活動量計を用いて客観的に身体活動量が広く調査されている。一方で,使用される機種やその特徴,精度を理解することは,異なる機種で評価された研究の結果を解釈し,現場に応用する際に重要である。本研究では,日本国内主要メーカーの歩数計および活動量計の歩数検出方法,歩数キャンセル機能やメモリー機能の有無などの情報を包括的に収集し,現場への応用を目指して体系的に整理することを目的とした。
    方法:国内メーカーのうちオムロン社,ヤマサ社,タニタ社の3社を調査対象とし,各メーカーのWebサイトから,価格,重量,装着推奨部位,歩数検出方法,歩数キャンセル機能の有無,メモリー機能の有無・期間などの情報を収集・整理した。
    結果:オムロン社(6機種),ヤマサ社(8機種),タニタ社(20機種),合計34機種のうち,腰に装着する振り子式の歩数計は3機種(ヤマサ社2機種,タニタ社1機種)であり,残る31機種は加速度式であった。また,活動量計はすべて歩数キャンセル機能を搭載していたが,オムロン社は4秒、ヤマサ社は10歩、タニタ社は7秒と設定条件はメーカーによって異なっていた。
    結論:本研究の結果,メーカーや機種によって歩数検出方法や歩数キャンセル機能に違いが大きいことが明らかになった。歩数を測定する研究や健康指導の実施や異なる機種を用いた測定結果を解釈する際には,歩数計および活動量計の特徴を考慮する必要がある。
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