運動疫学研究
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早期公開論文
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  • 中潟 崇, 笹井 浩行, 小野 玲
    論文ID: 2603
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/04/25
    ジャーナル フリー 早期公開
    一般消費者向けウェアラブルデバイスおよびスマートフォンは,歩数などの身体活動に関連する指標を客観的に把握する手段として広く普及している。しかし,歩数の妥当性評価研究では方法論のばらつきが大きく,透明性と再現性を担保する標準化手順の整備が求められている。これは,疫学研究における集団レベルの身体活動サーベイランスや介入効果の評価において,測定誤差の解釈や研究間比較に関わる重要な課題である。欧州の共同イニシアチブINTERLIVE®は,系統的レビュー等の知見に基づき,一般消費者向けウェアラブルデバイスおよびスマートフォンの歩数計測機能の妥当性評価に関する専門家声明とチェックリストを提示した(Br J Sports Med. 2021;55(14):780–793)。本稿では,その全文日本語訳を作成し,電子付録に掲載する。訳文は専門翻訳を基に原文と照合して整備し,利用にあたっては原著ライセンス(CC BY 4.0)に従う。本和訳が,研究者,実務者,臨床・保健領域の関係者にとって,妥当性評価研究の理解と結果解釈の一助となることを期待する。
  • 太田 幸志, 原田 和弘
    論文ID: 2511
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/03/03
    ジャーナル フリー 早期公開
     高齢期の健康づくりにおいて,運動を継続して行うこと(以下,運動継続)の重要性は明らかである。運動を他の人と一緒に行うこと(以下,他者との運動実践)は,高齢者の運動継続の促進に役立つ可能性がある。しかし,他者との運動実践と運動継続との関連性に関する知見は,十分に整理されていない。本稿では,他者との運動実践と高齢者の運動継続との関連について,高齢者自身の認識に注目した既存知見の動向と,一人での運動実践と比較検証した既存知見の動向を概説した。前者の研究は,質的にも量的にも豊富に存在する。これらの既存知見では,他者との運動実践が,感情的な支援や楽しさ,充足感の共有を通じて運動継続に寄与するものとして,高齢者に理解されていることが示されている。一方で,一緒に運動を行う仲間がいないことが,運動継続の阻害要因として捉えられていることも明らかにされている。後者の研究では,他者との運動実践の形態を運動組織に絞った知見は散見される。しかし,先行研究の知見の一貫性は乏しい上,他者との運動実践を,「運動組織」よりも幅広くとらえた研究は限られている。今後の展望として,前者と後者の知見にみられるナレッジギャップを踏まえ,他者との運動実践をより多様な側面から捉えた上で,運動継続との関連を検証していくことが重要であろう。
  • 原田 和弘, 金居 督之, 田島 敬之, 本田 貴紀, 清野 諭, 阿部 巧, 城所 哲宏, 喜屋武 享, 辻󠄀 大士, 中村 学, 町田 ...
    論文ID: 2509
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/01/24
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:厚生労働省が2024年に公表した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」と「アクティブガイド―健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023―(アクティブガイド2023)」に基づき,運動疫学分野で認識されている今後の研究課題を抽出し(研究I),各研究課題への日本運動疫学会会員の重要度の認識を明らかにすることとした(研究II)。
    方法:2025年にデルファイ法による調査を行った。厚生労働科学研究班員全員50名へ,自身が認識している研究課題を自由記述で尋ねる1回目調査(回答率78.0%)と,1回目の調査結果に対する補足等を尋ねる2回目調査(回答率68.0%)を行った(研究I)。その後,同学会員全員へ研究課題の重要度を評価する1回目調査(対象385名,回答率15.1%)と,1回目調査結果を参照し重要度を再評価する2回目調査(対象392名,回答率12.8%)を行った(研究II)。
    結果:研究Iで計51件の研究課題を同定した。研究IIの結果,重要度が最上位の研究課題は,普及・実装に関するものだった。重要度が2~10位の研究課題は,身体活動・座位行動の支援(計3件),子どもや高齢者の健康(計2件),健康への影響の多様性や量反応関係(計2件),質の高い介入・縦断研究(1件),および,実践の可視化(1件)に関するものだった。
    結論:運動疫学分野で重要性が認識されている研究課題が抽出・整理された。このことは,今後の研究推進や政策立案に資すると考えられる。
  • 奈良 香菜子, 天笠 志保, 福島 教照, 菊池 宏幸, 町田 征己, 井上 茂
    論文ID: 2504
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2025/10/07
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:加速度計による定量的な評価を用いて,労働者の通勤手段による強度別の身体活動量の違いを明らかにすることとした。
    方法:本研究は,2018〜2019年に実施した職域身体活動調査のデータを利用した横断研究である。対象者は,職場の健康づくりに関連する健康管理担当者向け講習会に参加した職場の社員・職員から募集した。対象者に加速度計(Active style Pro HJA-350IT,オムロンヘルスケア社)を連続7日間腰部に装着するよう依頼し,強度別の身体活動を評価した。通勤手段は質問紙により評価し,車通勤(不活動通勤)と非車通勤(活動的通勤)に分類した。通勤手段別の強度別の身体活動時間を比較するため,性,年齢,body mass index,勤務形態,仕事の種類,月の残業時間,加速度計装着時間で調整し,職場の所在地をクラスタとしたランダム効果を含む線形混合効果モデルを用いて解析を行った。
    結果:協力が得られたのは7職場で,労働者549名(男性295名,年齢20~64歳)から協力の申し出があった。データ採用の基準を満たした最終解析対象は458名(男性250名,平均年齢(標準偏差)44.7(11.5)歳)であった。非車通勤(n=209)に比べ車通勤(n=249)の群では中高強度の身体活動時間が11分程度短かった(車通勤:49.0分/日,非車通勤:60.3分/日,p<0.001)。通勤手段と強度別の身体活動との関連は中高強度の身体活動が最も大きかった(Cohen's d=0.320)。一方で,低強度の身体活動については違いがみられなかった(車通勤:267.0分/日,非車通勤:271.0分/日,p=0.628)。
    結論:通勤手段と強度別の身体活動の関連は中高強度の身体活動が最も大きく,車通勤者は非車通勤者に比べて一日あたり11分程度中高強度の身体活動時間が短かった。
  • 奈良 隆章, 島本 好平
    論文ID: 2501
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2025/09/24
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:本研究の目的は,同一大学の体育授業において実施されている複数の種目に着目し,各種目の受講を通じて受講生にもたらされる経験およびライフスキル(以下「LS」と略す)獲得の特徴を明らかにすることであった。
    方法:関東地区の総合大学であるZ大学で開講された体育授業のうち,リフレッシュ体操,柔道,サッカー,野外運動,ニュースポーツを2022年度秋学期に履修した学生212名(男子111名,女子101名)を対象とした。全10回の授業の内,第9回終了時に大学体育実技経験評価尺度による横断調査を,第1回および第9回終了時に日常生活スキル尺度(大学生版)による縦断調査をそれぞれ行った。大学体育実技経験評価尺度の各得点については一要因分散分析を,日常生活スキル尺度(大学生版)の各得点については二要因分散分析をそれぞれ適用した。
    結果:大学体育実技経験評価尺度の各得点については,全般的に野外運動の値が大きかった。また,各種目の受講前後におけるLS得点の変化については,「親和性」と「対人マナー」において種目×時間の交互作用が認められ(親和性:η²G=0.01,対人マナー:η²G=0.01),「親和性」については柔道の受講前後で有意な向上が,「対人マナー」についてはニュースポーツの受講前後で有意な低下が確認された。一方,「リーダーシップ」,「感受性」,「情報要約力」については,被験者内要因(時間)の主効果が有意であり,受講前よりも受講後の値が高かった(リーダーシップ:η²G=0.01,感受性:η²G=0.01,情報要約力:η²G=0.01)。
    結論:LS獲得に寄与する授業内での経験については,全般的に野外運動の値が大きい傾向にあった。LS獲得については,柔道における「親和性」の向上やニュースポーツにおける「対人マナー」の低下が特徴として挙げられたが,種目を問わず複数のLSの下位尺度が向上することが明らかとなった。そのため,本研究で対象とした5種目はいずれも受講生のLS獲得に貢献し得るものであると言えよう。
  • 門間 陽樹, 武田 典子, 本田 貴紀, 石毛 里美, 難波 秀行
    論文ID: 2510
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2025/09/08
    ジャーナル フリー 早期公開
     本稿は,日本運動疫学会のセミナー委員会と広報委員会の活動の一貫として行ったSNS企画『#研究あるある』(2023年5月6日~2024年5月4日)の内容に基づいて,緒言(Introducion)を書く際にやってしまいがちな事例集をまとめ,注意すべき事項やその対策について解説した。IMRaD(Introduction, Methods, Results, and Discussion)形式の論文構成を考えた場合,緒言は論文全体の前提に該当し,前提がしっかりしていなければ,その後に記載される方法,結果,考察は評価の対象にすらならない場合もある。緒言には,その研究テーマの過去(研究の背景),現在(knowlegde gapやアイデア),未来(研究の意義)を含めなければならず,これらが十分満たされてはじめて研究を行う合理的根拠(rationale)が読者に伝わるものと考えられる。論文の書き方は一つではなく正解もない。質の高い研究がいつもできるわけではないが,質の高い記述は研究の質に関係なく常にできる。本稿が少しでも論文を執筆する際の手助けとなれば幸いである。
  • 神谷 義人, 喜屋武 享, 金城 昇, 高倉 実
    論文ID: 2502
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/09/05
    ジャーナル フリー 早期公開

    目的:沖縄県のオフィスワーカーを対象に,通勤行動と加速度計で評価した中高強度身体活動および座位行動との関連を,勤務日と非勤務日で比較検討した。仮説として,active travel者は勤務日のみ中高強度身体活動が多く,sedentary travel者は非勤務日で勤務日の不活動を補わないことを検証した。
    方法:沖縄県内A社の職員88名を対象とした横断研究を実施した。通勤手段により,徒歩・公共交通利用のactive travel群と,オートバイ・自家用車利用のsedentary travel群の2群に分類した。身体活動および座位行動はActiGraph GT3Xで連続7日間評価した。共変量を調整した共分散分析を用いて検討した。
    結果:分析対象者62名のうち,active travel群34名(54.8%),sedentary travel群28名(45.2%)に分類された。共変量調整後,勤務日において,active travel群の中高強度身体活動時間は33.1 ± 2.6 分/日,sedentary travel群は18.7 ± 4.5 分/日であり,有意差が認められた(P=0.008)。非勤務日の中高強度身体活動時間は両群間で有意差がなかった。座位行動時間は勤務日・非勤務日ともに両群間で有意差は認められなかった。sedentary travel群では非勤務日において勤務日を上回る活動増加はみられなかった。
    結論:車依存が進む沖縄県のオフィスワーカーにおいて,active travel群の中高強度身体活動がsedentary travel群より約15分/日多く,この差は主に通勤時間帯を含む非勤務時間の活動に起因していた。座位行動に差はみられず,勤務日の不活動を非勤務日で補う代償行動も確認されなかった。active travelの実践は,働く世代が日常に身体活動を取り入れる効果的な手段となり得る。
  • 竹内 睦雄, 木村 鷹介, 金居 督之, 清水 夏生, 久保 宏紀, 小林 壮太, 吉田 啓志, 甲斐 匠, 鈴木 佳樹, 諸永 浩平, 山 ...
    論文ID: 2402
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/03/07
    ジャーナル フリー 早期公開
    目的:回復期リハビリテーション病棟における脳卒中者の強度別身体活動時間について,移動形態別に調査すること。
    方法:本研究は7施設の回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳卒中者を対象とした横断研究である。対象者119人に対し,入院後1か月時点のFunctional Ambulation Categories(FAC)とFunctional Independence Measure(FIM)を用いて,(1)歩行自立群(FAC 4以上),(2)車いす自走群(FAC 3以下,FIM車いす駆動6点),(3)移動非自立群(FAC 3以下,FIM車いす駆動5点以下)の3群に分類した。身体活動量は3軸加速度計(HJA-750C)を用いて測定し,入院1か月時点の座位行動,軽強度活動,中高強度活動を3群間で比較した。
    結果:座位行動の中央値(四分位範囲)は移動非自立群が600.6(547.6, 636.4)分で車いす自走群の537.6(480.0, 592.2)分と歩行自立群の502.1(449.9, 563.2)分に比べて有意に長かった。軽強度活動は移動非自立群の98.8(76.5, 134.0)分が車いす自走群の195.0(165.9, 247.3)分と歩行自立群の155.4(138.0, 218.5)分に比べて有意に短かった。中高強度活動は歩行自立群の17.4(5.6, 33.9)分が移動非自立群の2.4(1.3, 4.0)分と車いす自走群の2.3(1.7, 6.7)分に比べて有意に長かった。
    結論:回復期リハビリテーション病棟入院中の脳卒中者において,車いす駆動自立者の軽強度活動時間は歩行自立者と同程度であることが明らかとなった。
  • 中潟 崇, 笹井 浩行, 鈴木 宏哉, 渡邉 大輝
    論文ID: 2412
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/03/04
    ジャーナル フリー 早期公開
    統計法(平成19年法律第53号)の改正に伴い,公的統計の利活用が一層促進され,公的統計を含む既存の個票形式のデータ(以下,調査票情報)の利用可能性が広がっている。しかし,身体活動・運動および体力に関する公的統計の調査票情報を用いた研究は,栄養・食事を含む他分野に比べて少ない。この理由の1つとして,公的統計の調査票情報の利用申請方法や申請に要する時間,実際の活用事例が十分に共有されていない点が挙げられる。そこで本稿では,身体活動・運動および体力に関する公的統計の調査票情報の利用の現状や課題,活用事例を紹介しながら,身体活動・運動および体力に関する分野における今後の可能性について議論することを目的とした。本稿の内容は,2024年6月29 日~7月1日に開催された第26回日本運動疫学会学術総会におけるデータ活用セミナー「身体活動・運動に関する公的統計の二次利用」での発表と議論を土台に,最新の情報を追加してまとめたものである。本稿を通じて,身体活動・運動および体力に関する公的統計の調査票情報を利用した運動疫学研究がさらに発展することを期待する。
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