環境経済・政策研究
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2 巻, 2 号
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Articles
  • 伊藤 豊, 馬奈木 俊介, 松田 あきみ
    2009 年 2 巻 2 号 p. 1-11
    発行日: 2009/07/30
    公開日: 2021/03/01
    ジャーナル フリー

    1990年代後半以降,社会的責任投資活動が欧米を中心に急速に拡大している.こうした動きはわが国にも波及し,金融機関をはじめとして多くの注目を集めている.本論ではこのような社会的責任投資活動のなかでも投資信託として販売されている「SRIファンド」に着目し,このカテゴリーに属しているファンドが他のファンドよリパフォーマンスが優れているか比較するために実証分析を試みる.本研究の手法は,リターンの大きさだけでなく,同時にリスクの小さなファンドも評価することが可能なノンパラメトリック手法を用いる.本研究ではSRIの歴史が古く,サンプルが十分に得られる米国とEUのファンドを対象に分析する.分析の結果,両地域ともにSRIがそれ以外のファンドパフォーマンスの平均値をやや上回っていたことが実証された.

  • 亀山 康子
    2009 年 2 巻 2 号 p. 12-21
    発行日: 2009/07/30
    公開日: 2021/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,気候変動に関する国際交渉の「成り行きシナリオ」を把握し,国際枠組みの構成要素間の関係や最終的に想定される合意パッケージを予想することを目的として,我が国内専門家を対象としたアンケート調査を実施した.回答の集約のためにデルファイ手法を用い,回答結果に対してクラスター分析を用いることにより,枠組みの構成要素の相互関係の明示を目指した.アンケート調査は2007年7–9月に実施され,最終的な回答者は25名となった.クラスター分析の結果,回答者が想定している将来シナリオには,3種類あることが明らかとなった.また,シナリオごとに,合意のカギとなるパッケージが異なっていることを示した.

  • 新澤 秀則
    2009 年 2 巻 2 号 p. 22-34
    発行日: 2009/07/30
    公開日: 2021/03/01
    ジャーナル フリー

    温室効果ガス排出削減費用の国際的な負担分担に関する示唆を得ることを目的として,欧州連合が,温室効果ガスの排出量目標をいかに分担するかについて考察した.京都会議前後に決定された2008年から2012年までの分担と,2008年12月に合意した2013年以降の分担をとりあげた.両者を比較すると,負担分担に関して方針転換があったようにみえる.排出権取引や再生可能エネルギーに関する協同メカニズムの導入によって,日標は負担能力のみを考慮して設定できるようになった.また,排出権取引対象部門では,域内市場の競争条件を等しくするために,分配調整と排出権の無償初期配分の分離が行われた.

  • 栗田 郁真
    2009 年 2 巻 2 号 p. 35-47
    発行日: 2009/07/30
    公開日: 2021/03/01
    ジャーナル フリー

    2008年4月,容器包装リサイクル法の下で事業者が市町村に資金を拠出する制度(資金拠出制度)が新たに施行され,1997年に施行された再商品化委託料金制度とともに,容器包装リサイクル法の下で2つの費用負担制度が併用される運びとなった.本稿は,2つの費用負担制度の並立がどのような政策効果をもたらすかを評価する.そのために,再商品化委託料金制度の概要を論じたうえで,資金拠出制度の制度枠組みの特徴を資金拠出水準ならびに資金分配方法に着目して検討した.そのなかで,事業者が拠出する資金の水準を定める算定体系が事業者の環境配慮設計の促進効果を減速させるインセンティブ構造を持つこと,その資金を市町村に分配する算定体系が市町村間の公平性の問題を新たにを引き起こすことを明らかにした.

  • 栗⼭ 浩一, 岸本 充生, 金本 良嗣
    2009 年 2 巻 2 号 p. 48-63
    発行日: 2009/07/30
    公開日: 2021/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,CVM(仮想評価法)を用いて死亡リスク削減の経済的価値を評価するとともに,死亡リスクが変化したときに評価額が変化するかを確認するスコープテストを実施し,死亡リスク評価の信頼性を検証することにある.理論分析では,リスク削減幅が大きいほど,支払意思額(WTP)は増大するのに対して,統計的生命の価値(VSL)は低下することが予想されることを示した.実証研究では,死亡リスク17%削減と50%削減の二種類のシナリオを設定することで,スコープテストを実施した.その結果,実証研究においても理論的に予測されたとおりの結果が得られた.

  • 三輪 大介
    2009 年 2 巻 2 号 p. 64-75
    発行日: 2009/07/30
    公開日: 2021/03/01
    ジャーナル フリー

    近年,入会制度の環境保全機能が注目を集めているが,その機能に関する整理・検討は充分ではない.本稿では,沖縄県国頭村及び鹿児島県瀬戸内町における入会係争を通じて,1)入会制度は何らかの環境保全機能を有しているか,2)どのような機能がそれを担保しているのか,3)それらは如何なる条件のもとに機能するのか,を検討した.

    その結果,環境保全に資する機能を,2つの開発抑止機能(権利型・慣習型),3つの生態保全機能(保存型・利用型・里山型),及び3つの資源維持機能(なわばり型・規律型・抑制型)に類型化して,入会制度は,一定の条件を満たす場合においては環境保全的な機能を有することを明らかにした.

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