近年,入会制度の環境保全機能が注目を集めているが,その機能に関する整理・検討は充分ではない.本稿では,沖縄県国頭村及び鹿児島県瀬戸内町における入会係争を通じて,1)入会制度は何らかの環境保全機能を有しているか,2)どのような機能がそれを担保しているのか,3)それらは如何なる条件のもとに機能するのか,を検討した.
その結果,環境保全に資する機能を,2つの開発抑止機能(権利型・慣習型),3つの生態保全機能(保存型・利用型・里山型),及び3つの資源維持機能(なわばり型・規律型・抑制型)に類型化して,入会制度は,一定の条件を満たす場合においては環境保全的な機能を有することを明らかにした.
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