リハビリテーション連携科学
Online ISSN : 2435-7111
Print ISSN : 1880-7348
23 巻, 1 号
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展望
  • 廣田 栄子
    2022 年 23 巻 1 号 p. 3-15
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー

    近年では, 補聴器・人工内耳等の機器開発と医療・療育・教育領域の進歩により, 聴覚障害児者における聞き取りの向上や社会的なバリア, その支援の現状について注目されている. そこで本稿では, 日本と米国と英国, World Health Organization (WHO) の人口統計や政府統計・研究報告等を用いて, 難聴による, コミュニケーションのバリアと支援に関する法的背景と実態について紹介し, 同テーマについて展望することを目的とした. ろう/難聴児者にとって, 情報・コミュニケーションの制約は, ICF (International Classification of Functioning, Disability and Health) の生活機能の構成要素として, 幼児から高齢期の生活で重大な影響を及ぼすものと指摘されている. ICFの観点からも, 支援等に関わるリハビリテーション専門職は, 共生社会の構築に向けて, ろう/難聴児者の多様な情報・コミュニケーションのニーズに応じた, 社会的支援のあり方について理解が要請されていることが示唆される.

原著
  • 福 楓, 水上 勝義
    2022 年 23 巻 1 号 p. 16-24
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究はリワークプログラム参加者の復職状況と就労継続に関連する要因を, リワークプログラム利用状況, スタッフと職場の連携, 職場の対応から多面的に検討することを目的とした. 【方法】Aメンタルクリニック内のリワークプログラムに参加した81名のケース記録を後方視的に調査し, 就労継続群と再休職・退職群の2群間比較, Cox 比例ハザードモデルによる分析を行った. 【結果】1年後の推定就労継続率は64.2%であった. 若年, 服用薬剤数の多さ, 休職に明確な理由がなかったこと, 復職直前の不安感・焦燥感が再休職・退職に関連する一方, 既婚, 休職開始からプログラム参加までの期間の短さ, 集団プログラムへの参加, 復職直前の前向きな発言が就労継続と関連していた. また, スタッフと職場との面談や復職前の産業医面談が就労継続に関連していた. 【結論】リワークプログラム参加者の復職状況には, リワークプログラム利用状況, スタッフと職場の連携, 職場の対応が関連することが明らかになり, これらの要因に配慮した対応が就労継続の向上につながる可能性が示唆された.

資料
  • 二宮 一水, 佐島 毅
    2022 年 23 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー

    【目的】弱視通級指導担当教員を対象とし, 通常の小学校で学ぶ弱視児童が図画工作で用いる工具・接着剤・描画および写生に用いる道具の操作の困難と指導の工夫について明らかにする. 【方法】半構造化面接によって調査を行い, 取り上げた道具ごとに回答内容についてカテゴリー分けを行った. 【結果】困難に関しては合計で46件, 指導の工夫に関しては96件の回答が得られ, 複数の教員が共通して挙げた項目は極めて少なかった. 4つの道具における困難および指導の工夫において抽出したカテゴリーは, 《細部の見えにくさに関すること》や《道具・教材の工夫》など各道具に共通したカテゴリーや《色を混ぜること》など個々の道具に独自のカテゴリーがあった. 【結論】道具の操作の困難と指導の工夫は多様であった. 道具の操作は, 弱視児童の多様な見え方に伴う困難・指導の工夫および道具に共通する観点や, 道具特有の観点の側面から指導を行うことが重要と考える.

  • 朝日 華子, 小澤 温
    2022 年 23 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー

    【目的】高校教員のヤングケアラー支援に対する意識について明らかにする.

    【方法】I県立高校の管理職, 養護教諭, 教育相談担当教員を対象に, 郵送による無記名自記式質問紙調査を行った. 質問項目は, 基本属性, 教育相談における意識, ヤングケアラーとの関わりに関する40項目とした.

    【結果】153名 (91.0%) の教員が, これまで勤務した学校でヤングケアラーを認識していた. ヤングケアラー支援に対する教員の意識は, 管理職は「外部との連携」, 教育相談担当教員は「進路選択に関連する情報提供」, 養護教諭は「生徒の言動から家庭の問題に気づく」等, 役割によって「出来る」と考えていることが異なっていた(p<.05).「アルバイト等をして家計を支えている」ヤングケアラーを認識している教員は81%を超えたものの, 本人からケアについて話を聴いた教員は36.9%に留まった.

    【結論】ヤングケアラー支援における体制が未確立であるなかで, 高校教員はそれぞれの役割を活かし, 支援を推進してきたことが示唆された.

  • 藤川 雅人
    2022 年 23 巻 1 号 p. 41-
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー

    【目的】医療的ケア児を担当する特別支援学校教師の医療的ケアに関する認識の構造を因子分析で検討し, 得られた因子間の関係を検討することであった. 【方法】質問紙調査を行い, 396名を分析対象とし, 探索的因子分析および確認的因子分析を行った. 【結果】探索的因子分析の結果, 医療的ケアに関する教師の認識は「教育の充実」, 「看護師との連携」, 「医療的ケアへの懸念」, 「環境の不備」の4因子が抽出された. 確認的因子分析の結果, 「教育の充実」と「看護師との連携」, 「医療的ケアへの懸念」と「環境の不備」は正の相関, 「看護師との連携」と「環境の不備」は負の相関が認められた. 【結論】医療的ケア児への教育を充実させるため, 特別支援学校教師は看護師との連携を促進させる必要があることが示唆された.

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