-
駅前通りからみた湖・山の可視性に着目して
林 みのり, 轟 慎一
2026 年25 巻1 号 p.
1-8
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
滋賀は中央に琵琶湖、周囲を山々が取り囲む近江盆地の大地形を有する。本研究は、環琵琶湖46駅の湖側と山側、計92箇所を視点場とする駅前通りからの眺望景観分析をもとに、近江盆地が形づくる大景観の特性を明らかにする。ウォーカブルな都市デザインにおいても、駅からの景観はその都市の顔となるものである。「個々のビスタ」と「広域景観」という着眼点からランドスケープの考察を試みる。92面の画像分析では景観構成要素とその割合を算定するとともに、地形や周辺空間を把握するため広域図・周辺図・都市計画図・断面図等を作成し、遠景・中景・近景等の観点から眺望景観の構成を判読した。「琵琶湖が見える駅」「対岸の山が見える駅」「山側の山の見え方」「都市計画と景観特性」「広域的な景観性」などランドスケープの構造的把握をはかった。
抄録全体を表示
-
地方都市における商店街別カルテとこれからの処方箋に向けて
川西 陽世里, 轟 慎一
2026 年25 巻1 号 p.
9-15
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
地方都市において商店街はそれぞれ性格や実状が様々で、現在に至る過程や課題の成り立ちを捉える必要があり、地方都市の街なかの将来像を展望し商店街夫々の存在意義を示していくことが求められる。本研究では、彦根中心市街地の6商店街を対象に、まず、半世紀前の1970年代から現在に至る商店建築の用途変遷をたどるとともに、敷地単位での変化パターンを把握した。商店経営者等へのヒヤリング調査については、異なる世代、異なる商店街、継承者・起業者・組合など、多様な主体に対して実施した。これらハード・ソフトの調査分析結果をもとに、商店街カルテとして類型化・課題抽出等、マトリクス化するともに、商店街夫々のパースペクティブの考察・提案をはかった。
抄録全体を表示
-
自治体環境政策担当者とのワークショップを通じて
白石 欣也, 保坂 朋輝, 徐 非凡, 杉山 範子, 村山 顕人
2026 年25 巻1 号 p.
16-21
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は、気候変動適応計画の空間的実装における課題を検討するものである。自治体環境政策担当者を対象とした構造化ワークショップを実施し、そこで得られた議論内容を主題分析した。その結果、適応策の実装を妨げる制度的・実務的な阻害要因が確認された。適応策を都市計画の枠組みに体系的に組み込むためには、部局横断的な制度連携および空間計画に関する計画ツールの整備が重要であることが示された。
抄録全体を表示
-
伊澤 友美, 太田 尚孝, 岸本 慧大
2026 年25 巻1 号 p.
22-27
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は、都市の樹木や緑地を周辺森林と統合的に管理するアーバンフォレストリー(UF)の観点から、神戸市の「森の未来都市 神戸」構想を評価した。近年、UFは多様な都市課題への対応策として国際的に導入が進む一方、日本では都市計画戦略としての導入事例は少ない。そこで本研究では、文献調査および関係者へのインタビューを通じて、神戸市における関連プロジェクトの特徴と課題を分析した。その結果、対象とした2つのプロジェクトには多分野主体の参加などUF的視点がみられるものの、分野横断的・地域横断的な統合枠組みとしては十分に機能していないことが明らかとなった。以上より、神戸市ではUFを分野間連携と機能統合を促進する概念として位置づける必要があることを示した。
抄録全体を表示
-
災害に強い観光まちづくりの検討
坂巻 哲, 大島 一夫, 前川 純一, 高津 諭, 岡田 邦喜, 蓬田 崇
2026 年25 巻1 号 p.
28-32
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本調査は、関東地方に立地する美術館・博物館・図書館1,978施設を対象に、洪水による浸水想定状況を把握し、観光地の水害レジリエンス向上に資する知見を得ることを目的とした。洪水浸水想定区域データをGISで重ね合わせ分析した結果、想定最大規模L2では、美術館18.4%、博物館25.5%、図書館32.6%で浸水が想定され、3m以上の浸水が想定される施設も一定数確認された。これらを踏まえ、施設(立地)・設備・収蔵物・応援体制を一体的に捉えた浸水対策の方向性を整理した。文化施設の浸水被害を最小化し早期再開を可能とすることは、観光地としての信頼性(安全性・継続性)を高め、被災後の誘客回復および地域ブランドの維持・向上に資すると考える。
抄録全体を表示
-
宇於﨑 勝也
2026 年25 巻1 号 p.
33-38
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
都市における落書きは、公共性の高い空間への無断の書き込みであり、景観の質を低下させるだけでなく、周囲の治安や安全性に対する不安感を生じさせる要因ともなる。東京都渋谷区は落書きが継続的に発生しやすい環境を有している。一方、落書きを除去する体制整備など、全国的にも先駆的な取り組みを行っている。さらに、地域住民を取り込んだ対策が広がりつつある。本研究は、渋谷区が展開する落書き対策の実態を明らかにし、「落書き対策プロジェクト」の課題を明らかにし、落書き対策の実態と課題を明らかにする。研究の方法は、①渋谷区の担当課、委託事業者に対して聞き取り調査と、②すでに落書き消去が行われた場所において再犯の調査を行う。
抄録全体を表示
-
全国調査との比較を通じて
上原 大幹, 後藤 智香子
2026 年25 巻1 号 p.
39-42
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は、フリーマーケット(FM)参加者の環境意識と環境配慮行動を調査し、フリーマーケットの役割を明らかにすることである。FM参加者(n=78)を対象としたアンケート調査の結果を、全国調査(n=686)の結果と比較した。その結果、参加者の環境意識は全国平均と同程度であることが示された。しかし、再利用に関連する行動を除き、環境配慮行動への全体的な関与度は比較的低く、個人間のばらつきも大きかった。これらの知見は、フリーマーケットが高度な環境意識を必要としない一方で、再利用などの具体的な実践に取り組む機会を提供していることを示唆している。したがって、フリーマーケットは多様な参加者にとっての開放的な場として機能している。
抄録全体を表示
-
国内外の学術誌レビュー
近藤 民代
2026 年25 巻1 号 p.
43-50
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本稿は、多拠点居住に関する国際研究と日本研究をレビューし、研究動向と課題を整理した。国外研究は説明的・理論的・批判的問いを重視し、流動的居住を社会構造や概念枠組みの中で再定義する傾向が強い。一方、国内研究は記述的・影響評価的・計画的問いを中心とし、地域実践や政策課題との関係から論じる傾向がある。すなわち、国外研究が「なぜ生じるのか」「いかに再定義するか」を重視するのに対し、国内研究は「どう活用できるか」「地域に何をもたらすか」といった実践的課題への対応を重視している。
抄録全体を表示
-
コネチカット州におけるプログラム運用実態を対象として
西浦 定継, 平 修久, 吉川 富夫
2026 年25 巻1 号 p.
51-57
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は、米国・コチカット州における裁判外紛争解決(Alternative Dispute Resolution: ADR) の運用と課題について明らかにした。2008年の金融危機は住宅差し押さえの増加を招き、各州はADRプログラムの導入を促された。本研究では、差し押さえ回避におけるその高い成功率、有効性、ならびに訴訟へ進んだ未解決事案の特徴を含め、当該プログラムの詳細を分析した。本プログラムでは、参加者の90%以上が解決に至り、そのうち73%が住宅を維持し、17%が円満な退去(amicable vacating)となったことが示された。まとめとして、コネチカット州の経験から、調停プログラムの重要性と、将来の制度運用改善に向けた示唆を整理した。
抄録全体を表示
-
広島市を例に
岩崎 喜也
2026 年25 巻1 号 p.
58-61
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本論文は、広島市を事例として、郊外住宅団地における居住世帯の特性を開発時期ごとに分析し、人口減少下での課題について検討するものである。その結果、1960年代および1970年代に開発された住宅団地では高齢者の割合が高く、空き家増加のリスクが高まっている一方で、1990年代以降に開発された団地では親世代と子世代の両方が比較的明確に存在していることが明らかとなった。これらの違いは、核家族世帯から高齢夫婦世帯や単身世帯へと移行するライフコースの変化を反映しており、とりわけ古い郊外住宅団地ほど空き家問題に対して脆弱であることを示唆している。
抄録全体を表示
-
建築賞の講評文に着目して
齊藤 大翼, 佐久間 康富, 森 友里歌
2026 年25 巻1 号 p.
62-67
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
日本は、スクラップ・アンド・ビルドを特徴とする「フロー型社会」から、既存の建築資産を再利用する「ストック型社会」へと移行しつつある。それに伴い、数値で測定できない性質や属性である「建築物の定性的価値」の重要性がますます高まっているものの、標準化された評価手法は未だ確立されていない。 本研究では、不動産価格などの定量的指標に基づいてこれらの定性的価値を評価する「ヘドニック・アプローチ」を用いて、市場が求める属性を特定する。建築賞受賞作品の講評文から得られる定性的価値を分析に組み込むことで、成熟社会における意思決定(特に既存建築物のどの側面を保存、活用、あるいはリノベーションすべきか)に対して、合理的な知見を提供するものである。
抄録全体を表示
-
垣本 彩織, 岸本 慧大, 木村 敏文, 太田 尚孝
2026 年25 巻1 号 p.
68-71
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
日本の都市政策において、公共空間は従来、地域社会の交流を促進する場として捉えられてきた。しかし、「ソロ活」といった言葉の流行が示すように、他者といることを前提としない場所に対する需要も一定程度存在すると考えられる。本研究では、神戸市中央区に位置する東遊園地におけるひとり利用者の行動観察を行い、「ひとり利用」の空間的分布と行動を明らかにした。その結果、ひとり利用者は、ソーシャルディスタンスを確保できる什器や日陰のあるエリアを利用する際、滞在時間が長くなり、より多様な活動を行う傾向があることが示された。
抄録全体を表示
-
下田 健太, 吉川 徹
2026 年25 巻1 号 p.
72-78
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
近年、多くの自治体では、公園維持管理財源の減少や公園施設の老朽化が課題となっている。また、公園の役割が変化している。これに対して、従来の多機能型の都市公園、特に小規模公園では、特定の利用目的に対して十分な環境が整備されていない場合もあるため、公園機能を見直し、効率的に再編する必要性が高まっている。そこで本研究では、最も小規模な都市公園である街区公園が単一機能を担う「機能分担」の成立条件と空間的影響を、近隣・地区公園への代替も視野に分析するため、最適化モデルを用いて機能再編の可能性を検討した。結果として、誘致距離の設定が機能構成に大きく影響し、特に遊び系とスポーツ系で顕著な機能の入れ替わりが見られた。
抄録全体を表示
-
安全性と居住環境の改善に着目して
兼澤 拓斗, 吉川 徹, 讃岐 亮
2026 年25 巻1 号 p.
79-85
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
平成30年7月豪雨により岡山県倉敷市真備町では甚大な被害が生じた。本研究では、その復興におけるハードの再整備の効果を包括的に明らかにする。第一に治水事業および施設立地の評価を行った。第二に地域の生活を支える公共施設の復旧について調査を行った。第三に高リスク地域の居住実態について検証した。第四に避難所の整備による避難行動の変化について評価を行った。結果として、真備町の復興は治水事業によるリスク低減に加え、特に復興公営住宅の整備が居住と避難の両面で役割を持ち、まち全体で生活利便性と安全性が構築されている。一方で、全住民の近隣収容は物理的に困難であるため、住み分け避難の実装が不可欠である。
抄録全体を表示
-
佐々木 凜音, 吉川 徹, 讃岐 亮
2026 年25 巻1 号 p.
86-91
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は、災害時に避難所へ移動する「避難所避難者」と、自宅に留まる「在宅避難者」の双方を支援する拠点として避難所を捉え、その最適な配置を検討したものである。埼玉県入間市を対象に、避難所避難者の「最大移動距離の最小化」と、在宅避難者への物資支援等を想定した「総移動距離の最小化」という、異なる二つの指標を同時に満たす最適解を、遺伝的アルゴリズムを用いて算出した。結果として、52か所の避難所開設可能点から25か所を選択するケースにおいて、二つの指標間に明確なトレードオフ関係が確認された。また、人口密度や避難所の密集度といった地域特性が最適配置に大きく影響しており共通して選ばれる「核となる避難所」の存在も明らかになった。
抄録全体を表示
-
宿谷 昂介, 吉川 徹, 讃岐 亮
2026 年25 巻1 号 p.
92-98
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では、人口100万人以下の政令指定都市、政令指定都市を除く県庁所在地、県庁所在地を除く中核市、計75都市の中心市街地に立地する大型小売店421店舗における余剰床の実態を把握し、都市特性と立地特性を説明変数とした順序ロジスティック回帰分析により余剰床に関連する特性を明らかにした。さらに、行政利用の有無を目的変数としたロジスティック回帰分析を行った。その結果、商業集積度が高いと余剰床発生が抑制される一方で、高齢化が進行している都市や、ベッドタウンなど住宅を中心とした低密度な都市では余剰床が発生しやすい傾向があった。行政利用は、都市としての活気を維持している都市や、高齢化が進行した工業地域では多く見られた。
抄録全体を表示
-
神奈川県厚木市を対象として
永田 拓渡, 吉川 徹
2026 年25 巻1 号 p.
99-105
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では、都市郊外に立地する商業施設の立地の変遷の要因を把握するため、本厚木駅北郊において、1974年から2024年まで10年ごとに、競合店舗の影響範囲や用途地域、道路条件などの立地要因が閉店確率に与える影響をロジスティック回帰分析によって把握した。結果として、閉店要因は時代とともに変化しつつも、競合店舗数と用途地域が一貫して重要であった。また、バイパス沿道では道路自体構造、沿道外では競合環境やアクセス性・視認性が閉店に影響していた。競合店舗数の影響範囲は時代とともに縮小し、接道数は2000年代までは閉店確率を低下させていたが、2010年代以降はその影響が弱まった。また、2000年代以降にはチェーン店が閉店しにくかった。
抄録全体を表示
-
「銀座デザインルール」及び「歩行者が認識する地域の個性」の分析
松田 晃太, 児玉 陽斗, 原田 夏実, 泉山 塁威
2026 年25 巻1 号 p.
106-111
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は、「銀座デザインルール」及び「歩行者が認識する地域の個性」の分析から、地域の個性を活かした「アイレベル空間」形成の特徴を明らかにした。街路を空間的特徴に基づいて類型化し、歩行者を対象とした印象評価アンケートを実施した。その結果、高級感、統一感、緑量、低層部の視認性などの要素が、地域らしさの認識に強く影響していることが明らかとなった。また、地域らしさは、デザインルールによって規定された要素だけでなく、ルールには明示されていない固有の空間特性によっても形成されていることが示された。
抄録全体を表示
-
今村 洋一
2026 年25 巻1 号 p.
112-117
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では、九州地方南部の国立大学を対象に、戦後の旧軍施設転用の実態を整理する。空襲被害を受けた旧制学校のうち、熊本医科大学、大分師範学校、宮崎師範学校、第七高等学校、鹿児島師範学校、鹿児島県立工業専門学校は、附属病院や校舎の代替施設として旧軍の病院や兵営を使用した。一方、空襲被害を受けていない学校では、旧軍施設を利用した事例は確認されなかった。旧軍施設の使用は一時的なもので、新制移行前に旧校地への復帰した事例もあれば、新制移行後にキャンパスの集約のために統合移転した事例もある。現在においても旧軍用地を使用している例は、大分大学王子キャンパスのみであり、附属幼・小・中学校の校地として使用されている。
抄録全体を表示
-
「門真の虎~門真の課題を解決せよ!」による試み
吉田 恭
2026 年25 巻1 号 p.
118-125
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
子どもの頃から地域社会とかかわることは、ソーシャル・キャピタルの形成やシビックプライドの向上につながり、結果として地域の持続可能性を高めると考えられている。大阪府門真市の古川橋エリアでは、子どもたちが地域の課題を探り、自ら解決策を考え実行する「子どもエリアマネジメント事業」が進められている。この取り組みの一環として、地元のデベロッパーが主導し、速見小学校の総合的な学習の時間と連携して、子どもたちによるまちづくりプロジェクトの発表会が開催された。審査を経て、プロジェクトの実施に必要な資金が提供されることとなった。今後、子どもたちはこの資金を活用して、それぞれのプロジェクトを実行していく予定である。
抄録全体を表示
-
雑賀 天寧, 川端 光昭
2026 年25 巻1 号 p.
126-129
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
近年,記録的な豪雪が各地で頻発し,交通機能の麻痺や社会的影響が問題となっている.本研究では,大雪時の交通問題とその対応の変遷を整理するとともに,国立高等専門学校における通学マネジメントの実態を把握することを目的としている.道路管理者は,従来の「通行維持」を前提とした対応から,「人命最優先・滞留回避」を重視した事前規制型の対応へと転換している.一方で,国立高専における休校基準は「気象警報」「交通機関」「柔軟判断」の3つのタイプに分類でき,特に気象警報を基準とするケースが多数を占めた.また,一部ではオンライン授業への切替も行われていた.道路管理者の大雪対応は事前対応型へと変化している.一方で,国立高専では気象条件にもとづく運用が中心であり,地域や各校の特性を踏まえながら,社会情勢に対応した通学マネジメントのあり方を検討する必要があると考えられる.
抄録全体を表示
-
都営・区営・セーフティネット住宅の居住者アンケートを通じて
矢口 哲也, 鈴木 万由, 桃崎 晶至, 丹羽 太一, 丹羽 菜生, 河西 奈緒
2026 年25 巻1 号 p.
130-137
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は新宿区の公営住宅における居住環境と生活実態の解明を目的とし、区営住宅(n=81)、都営住宅(n=219)、セーフティネット住宅(n=26)を対象にアンケート調査を実施した。回答者は単身・高齢の経済的困窮層が中心であった。住戸内各室の評価では、あらゆる室で「狭い」ことが最大の不満要因となり、設備寸法が現在の居住者に適合していない実態が両住宅に共通して認められた。区営・都営を統合した重回帰分析では、総合満足度が住戸の広さに加えゴミ置場等の共用部の状態にも有意に規定されていた。低家賃と引き換えに狭さや老朽化を受容する構図は共通し、専有空間に加え共用部の維持管理と高齢化に対応した管理体制の充実が課題である。
抄録全体を表示
-
岩尾 萌愛, 渡辺 貴史
2026 年25 巻1 号 p.
138-143
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
地方都市における自然体験活動は、子供の主体的な学びや自然への関心を育む機会として重要である。本研究では、親子参加型自然体験活動に参加した保護者を対象に、子供の行動・状況と保護者の関与との関係、及び保護者の自然体験経験や養育態度と関与との関係を明らかにした。主要な結果は、次の3点にまとめられる。(1)保護者の関与は、子供が興味関心を持っている場面では介入抑制が多く、失敗や危険な場面では介入や声かけが多くみられた。(2)自然体験経験の多様度と関与の間には、関係がみられなかった。しかし、主体的・探索的な要素を含む自然体験の経験は、関与に影響を与える可能性が示された。(3)主体性を尊重する養育態度は、関与のうち介入抑制と関連していた。
抄録全体を表示
-
田坂 太一, 渡辺 貴史
2026 年25 巻1 号 p.
144-149
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
地方中核都市にある長距離自然歩道は、高齢化及び「ワン・ヘルス」等の観点から、重要性が高まっている。本研究は、長崎県長崎市の長距離自然歩道を対象に、管理実態を、明らかにした。本研究の主要な成果は,次の3点にまとめられる。(1)主要な維持管理は、長崎県と契約を結んだ長崎市が委託した自治会等の地域組織によって行われていた。主な課題としては、1)維持管理の委託先の確保、2)行政の予算・人手の配分先としての優先度の低さ等が挙げられた。(2)標識の管理不全は、標高が高く、傾斜度が大きく、人口が少ない環境において発生しやすい。(3)管理不良となる路面は、標高が高く、傾斜度が大きく、人口が少なく、人口集中地区からの距離が遠い環境において発生しやすい。
抄録全体を表示
-
川名 航至, 國廣 歩瑠香, 熊澤 龍, 近藤 準之助, 市川 千尋, 佐々木 成己, 鈴木 寿菜, 安田 光汰, 猿渡 豪, 甲斐田 直子
2026 年25 巻1 号 p.
150-155
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は、国内の大学構内の駐輪行動の改善における構造的介入(個別白線枠の設置)および心理的介入(啓発ポスターの掲示)の効果について、実地実験および質問紙調査により検証した。介入前後の迷惑駐輪率の変化に関する対応のあるt検定の結果、心理的介入では統計的有意性が十分ではないものの、介入によって迷惑駐輪が有意に減少したことが示された。また、駐輪行動のリアルタイム観察の結果、駐輪の乱れが負の連鎖を誘発「割れ窓理論」現象と、迷惑駐輪を是正することで秩序ある状態が持続するという逆方向の連鎖も確認された。さらに、利用者に対する質問紙調査の結果、構造的・心理的介入いずれも迷惑駐輪者に対して効果的であり、特に構造的方策は効果が高いことが示唆された。以上の知見をふまえ、秩序ある駐輪を利用者の相互協力を通じた持続可能で快適な大学構内環境の実現に関する提案が示された。
抄録全体を表示
-
秋葉原駅ー御徒町駅間 ・東京駅ー神田駅間・新橋駅ー有楽町駅間を対象として
阿部 真実, 児玉 陽斗, 本田 薫子, 中村 佳乃, 橋本 瑛, 松田 晃太, 泉山 塁威
2026 年25 巻1 号 p.
156-163
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
近年、連続立体交差事業により創出された高架下空間の活用が進む一方で、周辺市街地との分断が課題となっている。そこで本研究では、秋葉原駅‐御徒町駅間、東京駅‐神田駅間、新橋駅‐有楽町駅間を対象に、高架下及び周辺エリアの特性を分析し、「高架下をまちに開く」手法を検討した。その結果、建物内部の活動の可視化、屋外空間の活用、周辺施設や地域との連携が、高架下の回遊性やエリア価値向上に重要であることを明らかにした。
抄録全体を表示
-
建物用途と水辺空間の関係に着目して
須藤 大陽, 落合 正行
2026 年25 巻1 号 p.
164-167
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
河川や運河などの水辺空間は,高架下空間の魅力向上において重要な役割を果たしている.そこで本稿では,都市部における水辺に隣接する高架下空間の活用事例8事例を対象に現地調査を行い,建物用途と水辺空間との関係性を把握するとともに,その傾向を明らかにすることを目的とする.その結果,各建物用途(1) 飲食用途,(2) 販売用途,(3) 展示・集会用途,(4) スポーツ用途,(5) 宿泊・式場用途と水辺に接する構成要素として屋外空間・ファサード・開口部との関係性を明らかにした.
抄録全体を表示
-
山口 紗来, 寺木 彰浩, 磯野 綾
2026 年25 巻1 号 p.
168-171
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は、ChatGPTを用いて商業系用途地域の景観画像を生成し、日本における用途地域の認識に関連する視覚的特徴を分析するものである。商業地域および近隣商業地域に焦点を当て、合成したGoogleストリートビュー画像と、ChatGPTを用いたテキストからの画像生成という二つの手法を比較した。生成された画像をChatGPTを用いて評価した。その結果、テキスト生成画像は典型的な用途地域の特徴を強調するため、より高い分類精度を示した。一方、合成画像は実際の都市環境に見られる多様性や用途の混在を反映しており、分類がより曖昧になることが示された。また、建物の高さ、道路幅員、都市の規模感が、用途地域の認識に強く影響することが明らかになった。
抄録全体を表示
-
齋藤 悠介, 松本 邦彦
2026 年25 巻1 号 p.
172-179
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は、連続的な歩道拡幅が構造的に困難な非戦災都市である金沢市において、既存の沿道敷地活用による市街地の中心街路における歩行者空間拡張の可能性を検討するものである。小規模な空間や段差のある空間を含む沿道敷地に着目し、歩行者の通行および滞留に必要な基準に照らして、幅員の充足度を評価した。分析の結果、これらの不連続な空間が幅員の充足度を向上させることが示された。これらの知見は、小規模な空間や段差を伴う不連続な沿道敷地を街路の至る所で点在的に活用することで、整備完了に長期間を要する壁面後退を補完できる可能性を示唆している。
抄録全体を表示
-
神奈川県横須賀市「ハマちゃんバス」を対象として
伊東 夏輝, 後藤 智香子
2026 年25 巻1 号 p.
180-184
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は、神奈川県横須賀市におけるハマちゃんバスを対象として、行政による赤字補填に依存せずに運行が継続されている要因を分析したものである。分析にあたっては、利用者アンケート、利用データ、および行政へのインタビュー調査を用いた。その結果、ハマちゃんバスの運行を支える要因として、①高低差の大きい住宅地に居住する高齢者を中心とした明確かつ安定した地域需要、②行政の積極的な関与と継続的な運行改善、③運賃や運行形態に対する利用者の受容と「使って支える」という意識、④地域住民の交流の場としての機能、の4点が明らかとなった。これら4つの要因が相互に作用することで、赤字補填に依存しない運営が成立していると考えられる。
抄録全体を表示
-
UR武庫川団地を事例として
吉野 咲郁, 伊丹 康二
2026 年25 巻1 号 p.
185-188
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では、地域コミュニティの絆が希薄化しているUR武庫川団地において、ラジオ体操を通じた「ゆるい社会参加」の可能性について検討した。この実践研究の結果、①従来の対面・集団型のラジオ体操だけでなく、②オンライン・個人型(非対面)のラジオ体操を開催し、さらに③非対面型ラジオ体操参加者の可視化を行うことで、ラジオ体操を通じて多様な社会参加が可能になったと考えられる。さらに、適度な距離感を保ちながら精神的なつながりを重視する「ゆるい社会参加」の仕組みは、孤立化が進む団地コミュニティにおいて有効な仕組みと考えられる。
抄録全体を表示
-
令和6年能登半島地震で被災した能登町鵜川地区での取り組み
IM Hyun, 饗庭 伸, 齋藤 樹, 伊藤 圭汰郎, BROHI Shaharyar
2026 年25 巻1 号 p.
189-191
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は、2024年能登半島地震によって甚大な被害を受けた能登町鵜川地区を対象として、ARを活用した被災前の町並み景観復元と、そのためのワークショップ手法を開発・検証するものである。航空写真、現地調査、および歴史資料をもとに119棟の建物の3Dモデルを作成し、3D-GIS上に統合した。ARを活用したまち歩きワークショップでは、住民が被災前の町並みをその場で見ながら、場所に結びついた記憶や地域の歴史について語り合った。その結果、ARは地域の記憶を想起し共有するための触媒として機能することが確認され、復興計画やコミュニティ再生における参加型ツールとしての可能性が示された。
抄録全体を表示
-
横浜市中山エリアの753village を対象として
森田 彩日, 尹 莊植, 野原 卓, 矢吹 剣一
2026 年25 巻1 号 p.
192-197
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では、首都圏近郊地域に位置する753villageを対象にヒアリング調査を行い、地主と地域プレイヤーの協働による地域資産活用のプロセスを明らかにした。地主は所有する中古住宅をレンタルスペースとして開放し、挑戦を許容する環境を整えることで、地域プレイヤーの移住・関与を促していた。また、空き家や車庫、庭なども保全し、活動の場として提供していた。一方、地域プレイヤーは自然資源や建物ストックを活用し、拠点群を面的に捉えながら地域の魅力発信を行っていた。以上より、地主が所有不動産を開き、地域プレイヤーがそれらを活用することで、地域資産を活かしながらまちの価値を高める可能性が示唆された。
抄録全体を表示
-
大森銀山地区と八女福島地区を対象にして
名和 香菜子, 吉田 隼斗, 岡井 有佳
2026 年25 巻1 号 p.
198-203
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
日本において人口減少と高齢化が進む中、重伝建地区では地域主体の不足や空き家の増加という課題に直面している。したがって、重伝建地区を生活の場として維持するためには居住の促進が不可欠である。本研究では、大森銀山地区(島根県大田市)および八女福島地区(福岡県八女市)を対象に、居住推進につながる空き家活用と、行政による制度的支援の特徴を分析した。その結果、重伝建地区における居住推進には、地域主体による一体的な空き家活用と行政支援により、資金・技術・所有者面の課題に対応しながら、生活機能の維持や関係人口の創出につなげることが重要であることを明らかにした。
抄録全体を表示
-
ブリュッセルにおける地域交通計画と人優先の道づくり
勝 和歌菜, 薬袋 奈美子
2026 年25 巻1 号 p.
204-209
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
ブリュッセルでは、2020-2030年の計画期間の地域交通計画(仏語Plan régional de Mobilité・蘭語Gewestelijk mobiliteitsplan)で、交通安全と生活の質向上を目指して、“Good Move”という6つの軸からなる交通戦略を打ち出した。市内の道路は一部を除いて時速30㎞以下の導入、中心部ペンタゴン地区内ではボンエルフ(Woonerf/ Zone de Rencontre)を多用し、人が歩きやすい環境を整えた。交通ネットワーク図として歩行者用、自転車用等通行主体別のものを作成したり、事業所に従業員の通勤実態調査を課す等、移動の在り方の変化を全市民で取り組む体制である大規模な反対でも等もあったが、丁寧な市民との対話を通した交通規制の導入や、Living Labという夏季の社会実験的取り組みの推奨等の市民の活躍を中心とした取り組みも導入することで、多角的な取り組みが実現している。
抄録全体を表示
-
吉城 秀治, 吉野 和泰, 橋本 成仁, 寺内 義典, 中迫 由実, 後藤 智香子, 樋野 公宏
2026 年25 巻1 号 p.
210-213
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
パリ市では、幼稚園や小学校周辺の道路を歩行者専用道路にする「スクールストリート」の導入が進められている。本稿は、自動車中心から人間中心の都市へ転換を図るパリ市の「スクールストリート」に着目し、現地調査とヒアリングを通じて日本の通学路整備への示唆を得ることを目的とするものである。現地では、その通りや沿道環境の制約に応じて整備形態や規制の異なるスクールストリートが確認された。また、同市担当者へのヒアリング調査を通じて、段階的な合意形成手法のほか、多職種連携を通じた取り組みについても把握できている。パリ市のスクールストリートは、単に学校周辺から自動車を排除する交通安全の枠組みを超え、子どもたちのために都市空間が根本から再構築されつつあり、自動車中心の社会から人間中心の都市へと転換を図る上で、パリの挑戦は重要な先例と考えられる。
抄録全体を表示
-
伊豆の国市伊豆長岡地域を対象として
永橋 のぞみ, 野原 卓, 尹 莊植, 矢吹 剣一
2026 年25 巻1 号 p.
214-217
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は、地方市街地において歩行促進のためには、「歩きやすい環境」だけでなく「歩きたくなる環境」が重要であるという仮説のもと、歩きたくなる動機を誘発する要因は何かを明らかにすることを目的とする。歩きたくなる動機を誘発する11の環境指標を設定し、対象地である伊豆の国市民及び観光客等を対象に、アンケートを実施した。アンケートの結果、「回遊性」及び「景観まちづくり」は属性や年代を問わず、「歩きたくなる」と回答した人が多かった。歩くことでしか得られない楽しさを生み出す環境の重要性がうかがえた一方で、これらの項目は現状のまちの印象では低評価にとどまっていることから、今後優先的に環境改善を図るべきであるということも明らかになった。
抄録全体を表示
-
官民連携まちなか再生推進事業における全国62事例の分析を通して
五味 桃花, 細矢 瑞稀, 吉岡 知輝, 柚﨑 廉太朗, 久保 隼人, 泉山 塁威
2026 年25 巻1 号 p.
218-222
発行日: 2026/06/10
公開日: 2026/06/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は、エリアプラットフォームにおける将来ビジョン策定及び事業実施の特徴を明らかにするものである。将来ビジョン及びアンケート調査の分析を通じて、エリアプラットフォームの設立時期やビジョン策定時期の違いによって、ステックホルダーの役割や組織構造に差異が生じることを明らかにした。その結果、計画段階から実施段階へ移行する中で、ステックホルダーの役割が変化することが確認された。計画段階では、行政主体が調整をする一方、実施段階では地域団体、民間主体、専門支援組織が実務的・技術的な役割を担っていた。
抄録全体を表示