本研究では,韓国全体の農村地域を対象に,農漁村道路整備が地域環境に及ばす影響を把握し,地域環境を考慮した今後の農漁村道路整備方向をさぐることを目的とする.まず、現在までの農村地域の道路整備の推進実績および史的経緯に関する最も基礎的な現況把握を行い,農村地域における道路整備の諸問題を確認する.次に、韓国全体の農村地域を対象に,統計指標および農業関連指標を用いた因子分析により,農村の地域環境を分析し農漁村道路整備との関連性を把握する.最後に、因子得点を用いたクラスター分析より,農村地域の類型化と各グループへの農漁村道路整備の影響を分析し,今後の韓国農村の地域環境を考慮した農漁村道路整備方向を検討する.
ハワイ島のヒロは,これまでに多くの津波被害を受けており, 1946年アリューシャン地震津波と1960年チリ地震津波により沿岸部住宅地で壊滅的な被害を受けた.被災後,将来の津波被害軽減のための都市復興計画が進められ,その結果大規模な沿岸緑地帯が生まれた.沿岸部の建築規制と住宅の高所移転は,津波により被災した地区の復興手法のひとつであるが,住民の合意形成や漁業の利便性追求のため困難もともなう.ヒロで実現した計画は津波に脆弱な沿岸都市における津波復興のひとつの模範を示しているともいえる.本稿ではチリ津波地震50周年を迎えた現地の状況も含め,被災と復興の変遷について都市形成の観点から報告する.
本研究は、沖縄県那覇市が進めている高齢者住宅(シルバーハウジング(以下、SH))を事例に、SHの実態把握と、SHの生活援助員及び併設福祉施設の現状と課題を探ることを目的とした。その結果、SHの居住高齢者は、生活援助員の支援、併設福祉施設のサービスに満足し、安心してSHに居住していることが確認できた。特に、生活援助員の専門性、福祉施設の多様性が重要な役割を果たしている。今後、日本の高齢社会が進む中で、シルバーハウジングでの高齢者支援の充実を図ることが大きな課題である。
歴史的特性を生かした町並みの貴重性が高まっており、全国各地で町並みの保全継承のための取組みが進められているが、現実的には様々な要因で町並みが喪失している。静岡県掛川市横須賀地区では、横須賀町道に沿って歴史的な町並みが保全継承されている。この要因を探ると、地区住民の神様に対する絶大な崇敬心があり、これにより継承されている三熊野神社等の祭礼が大きな影響を与えている。また、近年は、この町並みを生かして様々なまちづくりの活動が展開されており、これらも注目すべき点である。本論では、横須賀町道の町並みと祭礼との関係を明らかにするとともに、保全継承されてきた要因と町並みを生かしたまちづくり活動の展開について整理し、近年抱える課題への対応策を考察する。
アメリカの総人口は増加し続けているが、中には人口が減少しつつある都市もある。そして、中には独自の政策により空き家の増加などの問題に対処している都市がある。本研究ではそのような独自の政策を行っている都市の調査を行った。我々はアメリカのミシガン州フリント市とオハイオ州ヤングスタウン市の2都市を訪れた。フリント市では「ランドバンク」と呼ばれる政策が行われており、ランドバンクでは固定資産税を払えなくなった人の物件が不動産投機家の手に渡る前に、ランドバンクの所有になるようにしている。ランドバンクが管理することにより、放棄地のコントロールが可能となった。ヤングスタウン市には「ヤングスタウン2010」と呼ばれるマスタープランがある。それは縮小型都市政策であり、現在、実行されているところである。
本研究は、都市熱の緩和方策の検討を行うことを目的として、大規模丘陵緑地に隣接する市街地内住宅地における冷気流の発生状況を観測調査により分析した。さらに各観測点の温度と緑被からの距離や高低差や測点の周辺土地利用等の空間データとの関連性について分析した。
わが国では昨年9月の政権交代後,国会において道路整備の方向性に対して様々な角度から議論されているが,国民が真に道路整備に対して何を望み,何を求めているのかを探るためにアンケート調査は実施したものである。アンケート調査はWEBアンケート手法を用いて全国各県に人口按分して実施した。高速道路の無料化に対する意見や,身近に感じている道路に対する要望や不満,意見などを直接的に聞き,地域ごとに今後どのような道路整備が望まれ、必要になるかを考えていく上での基礎的資料とすることを目的とする。
近年、国民の健康志向が高まるにつれて様々なメーカーが健康志向を売りとする商品を発売するなど、健康ブームはますます過熱している。そんな状況の中でタバコをめぐる環境も大きく変化してきた。喫煙所の撤去や飲食店の禁煙化、路上喫煙禁止条例など、喫煙者は肩身が狭くなる一方だ。ここで今回私たちは、“喫煙空間”に関する現状と、今後どのように喫煙空間を整備していくべきかについて調査した。
現在地球上には様々な環境問題が起こり、現代を生き抜く私たちはその解決のためにいくつもの策を投じている。しかし、自然災害とは否応なしに襲いかかってくるものである。今まで私たちはそれらに対して半ば当り前のこととしてうまく付き合ってきたといえる。それでも現代のように技術が進歩し高度に発達した文明下においては、自然の脅威を最小限にすることが求められている。“荒川ロックゲート”は私たちの生活の身近にはあるが、あまり注目されてはいない。それで、ここではその歴史・有用性、ひいては今後の在り方について言及していくことにする。
欧州ランドスケープ条約は、ランドスケープに関わる国際条約としては世界初めてのものであり、2000年欧州評議会で採択されて以来、ヨーロッパの30ヶ国が批准、7ヶ国が署名している。本条約の目的は、欧州大陸のランドスケープの持つ役割の重要性を認識し、地域のランドスケープの質を守るために、欧州全住民・政府の役割と責任を規定することにある。2008年の国土利用計画ではランドスケープと言う用語が初めて公式用語として登場しているが、そのきっかけとなった欧州ランドスケープ条約の内容や意義について紹介されて例は数少ない。本研究では、欧州諸国が当条約を取り入れるようになった社会的背景と意義、ランドスケープの用語定義に焦点を当て、既往研究・資料を基に諸議論の内容・結果を分析する。
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