呼吸療法
Online ISSN : 2759-4289
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原著
  • 輪内 敬三, 小町 温, 越智 翔洋, 園田 拓矢, 富崎 翔, 今田 寛人
    2025 年42 巻2 号 p. 159-169
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/03
    ジャーナル フリー

     本研究は、新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease-19:COVID-19)患者に使用された医療機器のインシデント・アクシデントの発生傾向を解析し、安全管理の課題を明らかにすることを目的とした。2020~2023年の全国規模データを用い、COVID-19患者のインシデント14件、アクシデント36件を解析した。インシデントでは人工呼吸器や生体情報モニタの操作ミスが多く、チャネル設定ミスや電極装着ミスが顕著であった。一方、アクシデントでは接続不良や気管チューブの抜去・閉塞が多発し、人工呼吸器やECMO使用時のリスク要因となった。発生頻度は火~木曜日、12:00~17:59に集中し、病棟での発生率が高かった。また、男性、高齢患者、経験の浅い医療従事者の関与率が高かった。対策として、シミュレーショントレーニングの導入、接続部設計の改善、管理体制整備が必要である。

  • 濱坂 秀一
    2025 年42 巻2 号 p. 170-177
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/03
    ジャーナル フリー

     本研究は、テキストマイニングを用いて人工呼吸器回路関連のヒヤリ・ハット事例351件と医療事故情報110件を分析し、その発生する傾向を明らかにすることを目的とした。2010年から2023年までの報告を対象とし、KH Coderを使用して分析を実施した。ヒヤリ・ハット事例は年間平均25件で推移し、医療事故情報は2015年頃から増加傾向を示した。頻出語はヒヤリ・ハット事例で「呼吸」(505回)、「人工呼吸器」(275回)、医療事故情報で「看護師」(256回)、「患者」(251回)が上位だった。共起ネットワークではヒヤリ・ハット事例で9つ、医療事故情報で7つのサブグラフが抽出された。コレスポンデンス分析では医療の実施の有無による単語の出現パターンの違いが明らかになった。本研究は、人工呼吸器関連のヒヤリ・ハットと医療事故の要因を理解し、その防止策を検討する上で有用な情報を提供する可能性がある。

  • 真 昌美, 上野 高義, 篠﨑 正博
    2025 年42 巻2 号 p. 178-184
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/03
    ジャーナル フリー

    【目的】人工呼吸器装着患者に対し電子カルテオーダリングシステムを用いた自発覚醒トライアル(spontaneous awakening trial:SAT)および自発呼吸トライアル(spontaneous breathing trial:SBT)の人工呼吸器離脱プロトコルの有用性を検討した。

    【方法】対象は、2022年6月~2023年6月の期間に当施設のオープン救急ICU、オープンHCUにて人工呼吸器管理を行った117名で、プロトコル使用群およびプロトコル非使用群に傾向スコアマッチングを実施したそれぞれ28名を対象とし、プロトコル使用の有用性について検討した。

    【結果】プロトコル遵守率は70%であった。プロトコル使用群で人工呼吸器装着期間(p=0.02)および滞在日数は有意に短縮した(p=0.01)。

    【結論】電子カルテオーダリングシステムを活用した人工呼吸器離脱プロトコルの遵守率は70%であり、プロトコル遵守率向上につながる可能性が示唆され、また人工呼吸器離脱プロトコルの導入は、人工呼吸期間やICU滞在日数を短縮した。

  • 小髙 勇士, 佐藤 由実, 鶴田 友加里, 吉田 幸太郎, 加藤 博史, 保多 隆裕
    2025 年42 巻2 号 p. 185-190
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/03
    ジャーナル フリー

     従来、人工呼吸においてカテーテルマウント内に結露が認められる場合、吸気ガスの相対湿度は100%に達しているとされている。我々は、カテーテルマウント内の結露は必ずしも相対湿度100%を示すものではないという仮説を立て検証した。方法として、Yピース出口とカテーテルマウント出口において吸気ガスの相対湿度を測定するとともに、カテーテルマウント内に蓄積した結露量を測定するベンチテストを実施した。さまざまな条件下で15回の測定を行った結果、すべてのケースで結露の存在が認められたが、相対湿度は大部分のテストで100%に達しなかった。このことから、カテーテルマウント内の結露の存在は、相対湿度100%を明確に示すものではないことが示唆された。

症例報告
  • 宮崎 裕也
    2025 年42 巻2 号 p. 191-196
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/03
    ジャーナル フリー

     70歳代男性、市中肺炎で入院し第2病日に重症急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)で気管挿管となった。圧規定換気にてΔ吸気圧4cmH2O、PEEP 10cmH2OとしたがP/F比 71と低値であった。精査のため胸部X線動態撮影(dynamic chest radiography:DCR)を実施した。DCRでは吸気終末に対して呼気終末で浸潤影の範囲拡大と濃度上昇を認めた。また肺野の呼吸性濃度変化であるピクセル値の呼吸性変動率(Δpixel value%)を解析すると、右下肺野外側が17.2%と最も高く、呼気終末に気管支透亮像を伴う浸潤影が出現していた。一方、吸気終末は気管支透亮像が軽減しており、tidal recruitmentと考えた。酸素化改善と人工呼吸器関連肺傷害(ventilator-induced lung injury:VILI)リスク軽減のため腹臥位療法を行い、第3病日はP/F比 273、呼気終末の浸潤影も範囲縮小と濃度低下を認めた。右下肺野外側のΔpixel value%は9.8%に低下、呼気終末の気管支透亮像も消失し、tidal recruitmentは軽減したと考えた。DCRは動的病態であるtidal recruitmentの推測・VILI回避に役立つ可能性がある。

  • 渡邉 宏樹, 南 公人, 島谷 竜俊, 村上 紗羅, 渡辺 勇人, 竹内 宗之
    2025 年42 巻2 号 p. 197-200
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/03
    ジャーナル フリー

    背景:Marfan症候群(MFS)は胸郭変形を伴う拘束性換気障害を合併しやすく胸腹部大動脈瘤手術の術後呼吸不全リスクが増大する。耐術能が低いと予測された患者に二期的ハイブリッド手術と早期離床を組み合わせて術後良好な転帰が得られた1例を報告する。

    症例:50歳代男性。MFSに伴う側彎症で高度拘束性換気障害があり、術前より在宅酸素療法、非侵襲的陽圧換気を使用していた。解離性胸腹部大動脈瘤(Crawford Ⅲ型)に対し腹部人工血管置換術とThoracic endovascular aortic repair(TEVAR)の二期的ハイブリッド手術を実施した。第一期手術後に呼吸機能低下を認めたが人工呼吸器下での歩行を含む早期離床を行い術後7日目に抜管した。第二期手術後も順調に回復した。

    結語:重度拘束性換気障害を有するMFS患者に対し二期的ハイブリッド手術と早期離床を組み合わせた周術期管理が有効な選択肢となり得る。

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