理学療法学
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13 巻, 5 号
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報告
  • 上原 数之, 松村 秩, 小沼 正臣, 山本 信行, 富田 昇, 外山 憲治, 高島 耕, 片岡 熙
    原稿種別: 本文
    1986 年 13 巻 5 号 p. 317-320
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    リハビリテーションを目的に入院した高齢脳卒中片麻痺患者109症例の入・退院時の起居移動動作の変化・Brunnstrom stage・退院先などについて分析した。起居移動動作を寝たきり,起き上り自立,トランスファー自立,屋内歩行自立とし,自立度合から群分けを行なった。寝たきりより開始した症例で終了時屋内歩行自立した例はなく,起き上り自立より開始した症例では屋内歩行自立に変化した症例がみられた。起居移動動作とBrunnstrom stageの関係は,stageが高くなるに従い起居移動動作も上っていることがわかった。退院先においては,起き上りが自立することにより,自宅退院者が増加する傾向がみられた。
  • ―痙直型両麻痺児への治療を例として―
    辻 清張, 山川 友康
    原稿種別: 本文
    1986 年 13 巻 5 号 p. 321-326
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    今回,歩行バランスの発達の原則を見つけ出すことを目的として,脳性麻痺痙直型両麻痺児の歩行獲得過程を重心計及び連続写真を用いて分析したところ,以下の3期に分類できた。
    第Ⅰ期 : 歩行バランス欠如期
    第Ⅱ期 : 歩行バランス代償期
    第Ⅲ期 : 歩行バランス適応期
    第Ⅰ期では全身の伸展を保っての突進歩行を呈し,第Ⅱ期では逆に両脚支持期が長く過剰に固定を強めた屈曲姿勢での歩容に変化し,第Ⅲ期で抗重力肢位を維持する静的要素と重心移動に適応する動的要素の統合が認められた。
  • 渡辺 隆
    原稿種別: 本文
    1986 年 13 巻 5 号 p. 327-332
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺を治療するうち,脊柱に彎曲があっても運動機能の改善に伴い,彎曲変形が治る実証を得ている。
    そこで,その生起メカニズムに相違はあるにせよ,運動学的には,その基盤である軸器官に機能障害を起こしているという観点から,突発性側彎症に対しボイタの反射性移動運動を適用できると考えた。
    特発性側彎症の構築学的特性は,脊柱の捻れ,側屈であるが,これらの要素を改善するためには,脊柱に関るAutochtone muscleや体幹の筋肉の非対称性を除去し有効な機能を賦活する必要がある。ボイタのファシリテーションは,姿勢の変化に対し調整する反応能と支持の確立と支持点に向う筋の収縮機能と相運動を内包しているが,この立体的運動を再現して,筋の収縮活動を変換し脊柱をまっすぐに伸展させ,そして回旋を賦活する方法により良好な結果を得た。
  • 平上 二九三, 伊勢 真樹, 小野 仁之, 平田 敏彦
    原稿種別: 本文
    1986 年 13 巻 5 号 p. 333-336
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    神経・筋疾患患者における起立動作前にみられるsilent period(SP)の出現率を検討し,次の結果を得た。
    1) 正常群のSP出現率は77%以上の高い傾向を示した。
    2) ギラン・バレー症候群も正常人と同様に高い出現傾向であった。片麻痺群の患側のSP出現率はBrunnstrom stageのわるいものほど低下し,失調症群は歩行障害が重度になると消失した。一方,パーキンソン症候群のSP出現率は45%以下であったが,L-Dopa療法によりSP出現率が高くなった。
    以上のことからSP出現率は,本症の重症度にともない低下ないし消失傾向にあることから,理学療法の臨床評価に指標になりうると考えた。
  • ―携帯型歩行解析装置による検討―
    西 昭次, 分木 ひとみ, 今井 至, 牧川 方昭, 七川 歓次, 川村 次郎, 堀尾 裕幸, 長谷川 利典
    原稿種別: 本文
    1986 年 13 巻 5 号 p. 337-342
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    本研究では義足ソケットの適合判定をより客観的かつ定量的に行なう目的から,超薄型圧力センサーならびに本学で開発された携帯型歩行解析装置を使用し,下腿義足ソケット内各所の圧の動的変化を記録,解析した。
    結果は脛骨先端にかかる圧は大きく,その傾向は立位時より歩行時に著明で,膝蓋腱部の圧を上回っていた。これは静的状態と動的状態においてソケット内でなんらかの異なった作用が生じていることを示すものである。また膝蓋腱部,脛骨先端の時間波形は2峰性を示しており,正常歩行の床反力の垂直方向成分のものと類似していた。
    このようにPTの推量,患者の主観による適合判定では得られない事実が客観的,定量的に得られた。
  • 伊神 直子, 松本 規男, 白岡 照美, 柳原 幸治, 山口 明, 古賀 良平
    原稿種別: 本文
    1986 年 13 巻 5 号 p. 343-348
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    地域リハサービス活動の必要性が認められ,徐々に行われて来ているが,はたして実際に必要な所に必要に応じた形で供給されているのであろうか。当院を退院した在宅脳血管障害者120名にアンケート調査を行い,移動機能を屋内群と屋外群に分けて比較検討し,それらの問題について考察した。①屋内群は維持的機能訓練が必要であり,また希望しているが「付添い」と「交通手段」の問題をかかえ結果的に屋外群より機能訓練が受けられていない。②屋外群はより幅広く地域社会に出る事を希望しているが,それらのニーズに答えられる環境が整備されていない。③各種在宅サービスの不足及び地域におけるリハサービス活動の分散により,効率の低い地域リハサービスの現状がうかがえる。④以上の事より,今後地域の医療・福祉・行政を統合したシステムづくりが必要である。
  • ―物理学的および生理学的検討―
    岸本 信夫, 今井 保, 宮川 博次, 國澤 雅裕, 井上 悟, 鮎澤 芳穂
    原稿種別: 本文
    1986 年 13 巻 5 号 p. 349-355
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    脳血管障害患者にみられる異常筋緊張の程度を,定量的に機能訓練の場で評価することを目的として,下腿の懸振性運動を用いた膝角度法を考案し,評価を行った。次に本法の生理学的妥当性を筋電図を用いて検討し,同時に臨床の場で使われている腱反射との関係についても検討し,以下の結果を得た。
    1) 膝角度法による筋緊張の程度の評価と徒手的な評価とはほぼ一致した。
    2) 筋緊張亢進例では,下腿の懸振性運動時に大腿直筋の高振幅の筋電図が得られた。
    3) 膝角度法によるR01は伸張反射の程度を表していると考えられた。
    本法が筋緊張の評価に妥当であると結論された。
  • 玉井 敦, 高見 正利, 松山 徹, 光安 郁雄, 山田 雪雄
    原稿種別: 本文
    1986 年 13 巻 5 号 p. 357-365
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    脳卒中後遺症片麻痺患者(CVA)の歩行能力の定量的評価の試みとして,歩容の分類を床反力計を用いることによっておこなった。 対象は41名のCVAで,床反力計上を自由歩行をおこなわせ,歩容と床反力波形と対応させた。歩容を周期に分け床反力波形と対応させることにより,内反尖足,膝のSnapping,骨盤後退,外転外旋,分まわし,ひきづり体幹側屈などの歩容の特徴が波形に認められた。
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