失認, 失行を伴わない脳卒中片麻痺患者の, 麻痺側の違いによる体幹バランスの差異について検討した。方法は座位姿勢で左右方向の傾斜試験を行い, 左右側の荷重分布とEMG検査により調べた。さらに同様の方法で, 右片麻痺2例, 左片麻痺1例について, 歩行の獲得経過中, 経時的に測定を行った。(1)荷重分布の結果, 右片麻痺群は, 左右傾斜とも健常者群との間に有意差はみられなかったが, 左片麻痺群は左傾斜で右へ大きく偏位し, 有意差が見られた(P<0.01)。(2)EMG検査の結果, 両側中殿筋, 脊柱起立筋に多様な活動形態が見られ, 体幹バランスの偏位との関係は見られなかった。(3)経時的測定の結果, 荷重分布, EMG検査ともに, 最終的には各麻痺側群と同様の結果であった。
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