理学療法学
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15 巻, 1 号
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報告
  • 武田 秀和, 黒澤 保壽, 石黒 友康, 岡本 慎哉, 西沢 利広, 渡辺 敏, 佐々木 俊樹, 小田 紀子, 岩下 覚
    原稿種別: 本文
    1988 年 15 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 1988/01/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    精神分裂病患者の長期在院による身体運動能力の低下など身体合併症の予防を目的に, 6週間の全身持久性トレーニングを実施し以下の結果を得た。(1)HR_<max>, SBP_<max>には変化が見られなかった。(2)運動持続時間は有意に延長した。(3)同一運動負荷時のHRとSBPは有意に低下した。(4)精神分裂病患者では生理的な反応と主観的な反応に「ずれ」があることが示唆された。(5)NOSIEの得点変化ではトレーニングに積極的に参加した者にSocial Interest (INT), Cooperation (COO)の改善が見られた。また1例に陽性症状の顕在化が認められた。
  • 沼田 憲治, 川名 隆治, 萩原 昇, 石井 久雄
    原稿種別: 本文
    1988 年 15 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 1988/01/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    失認, 失行を伴わない脳卒中片麻痺患者の, 麻痺側の違いによる体幹バランスの差異について検討した。方法は座位姿勢で左右方向の傾斜試験を行い, 左右側の荷重分布とEMG検査により調べた。さらに同様の方法で, 右片麻痺2例, 左片麻痺1例について, 歩行の獲得経過中, 経時的に測定を行った。(1)荷重分布の結果, 右片麻痺群は, 左右傾斜とも健常者群との間に有意差はみられなかったが, 左片麻痺群は左傾斜で右へ大きく偏位し, 有意差が見られた(P<0.01)。(2)EMG検査の結果, 両側中殿筋, 脊柱起立筋に多様な活動形態が見られ, 体幹バランスの偏位との関係は見られなかった。(3)経時的測定の結果, 荷重分布, EMG検査ともに, 最終的には各麻痺側群と同様の結果であった。
  • 木村 美子, 大峯 三郎, 江西 一成, 舌間 秀雄, 新小田 幸一, 大川 裕行
    原稿種別: 本文
    1988 年 15 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 1988/01/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    29名の脳卒中後在宅片麻痺患者の退院後の機能や体力低下の原因を, 日常身体活動水準の面から考察した。ADL実践度, 1日の歩行数と併せて, 心拍メモリー装置を用いて1日の活動時の心拍数を連続して記録した。機能の代表として歩行能力を取りあげ, 退院時及び退院後の歩行機能レベル, 10m歩行スピードを比較した。また, 典型的な3症例に対して起立動作を用いた同一運動強度の負荷試験を退院時と退院後の2回行い, その間の心拍数反応を体力判定の基準とした。その結果, 歩行能力の低下が認められた患者は1日の歩行数も少なく, 身体活動水準も低い傾向があることがわかった。退院後の自主訓練の主体は歩行訓練であり, 退院時の歩行能力が退院後の機能や体力の維持に大きく関与していると思われた。我々がホームプログラムを指導する際は, 歩行訓練を積極的にプログラムに取り入れ, 退院後の歩行能力の低下を最少限におさえるように指導していかなければならないであろう。
  • 八木 範彦, 津野 良一, 堅田 裕次, 野崎 久生, 金指 巌, 永松 靖子, 山下 隆昭
    原稿種別: 本文
    1988 年 15 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 1988/01/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    兵庫県下における理学療法士の必要数を推計するために理学療法の対象疾患を選択し, その患者数を求めた。有効回答の得られた23施設の一般病院において, 入院患者では理学療法の対象患者は全体の28%, 外来患者では特に運動療法を必要とするものは全外来患者数の5%であった。社会福祉施設や教育機関などについては, 現状を十分に検討し, 様々な条件を加味して, 必要数の算定根拠を決定した。この結果, 県下における理学療法士推定必要数は医療施設970名, 社会福祉施設140名, 教育施設・機関41名, その他の機関63名の合計1,214名となった。
症例研究
  • 古澤 正道, 椎名 英貴, 大根 みゆき, 玉田 美智子, 松本 玲子, 西村 卓
    原稿種別: 本文
    1988 年 15 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1988/01/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    人の情報伝達手段では言語のみでなく, 身振りや姿態などの非言語的コミュニケーションも重要な要素である。脳卒中後の顔面麻痺は表情の非対称を起こし, 社会的にも大きな不利を生じる。麻痺側顔面筋は全身の異常な姿勢緊張の影響を受けやすいゆえ, 表情の治療前には肩甲帯や体幹からの病的姿勢緊張の影響を極力排除せねばならない。この上で対称的微笑や不平などの表情筋の再活動が促進される必要がある。この概念を実証するために59歳女子の右片麻痺患者で右顔面麻痺を伴う症例を対象とした。発症後4カ月3日から4カ月間の運動療法を通じて, 右閉眼による視野制限の解消, 口唇の下制と右方偏位といった非対称的表情は改善された。
  • 太田 博士
    原稿種別: 本文
    1988 年 15 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 1988/01/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    片麻痺において運動麻痺の回復過程をみた場合多くの症例は下肢の方が上肢の回復より良好である。また上肢, 下肢においても遠位部の方が近位部に比較して回復過程が遅れるのが一般的である。これらの症例をCT像から脳の損傷部位を見た場合, 内包を中心とした病巣によるものが多い。しかし数多くの臨床症例を経験する中で上記の症例とは異なった逆の運動麻痺の回復過程を呈する5症例を経験した。これら逆の運動麻痺の回復過程を示す症例は脳の損傷部位と位置的な関係があるのではないか。以上の疑問点を解明すべく5症例をとおしてCT所見ならびに若干の文献的考察を加えて報告する。
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