理学療法学
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17 巻, 1 号
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原著
  • ―表面筋電図のパワースペクトルによる検討―
    高柳 清美, 井原 秀俊, 中山 彰一, 吉村 理, 下畑 博正
    原稿種別: 本文
    1990 年 17 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    膝周囲筋の遠心性および求心性収縮における筋出力特性について,表面筋電波形の周波数分析を用いて検討した。男性2名,女性3名を対象とし,左膝の屈曲,伸展(0〜90°)時の大腿直筋,内側広筋,外側広筋,内側ハム,外側ハム,腓腹筋の筋活動を記録,パワースペクトルとその平均周波数(MPF)を算出した。結果は以下の通りである。
    (1) 膝伸筋群のMPFは膝角度が増加するに従い徐々に減少したが(P < 0.01),屈筋群は異なった結果を示した。特にハムストリングスの遠心性収縮では膝角度には無関係に高値となった。
    (2) 一関節筋と二関節筋との比較では,前者は筋の収縮形態には影響されないのに対し,後者では全ての筋で影響され(P < 0.01),個々の筋固有の反応あるいは対応をおこなっていると考えられた。
報告
  • 水上 昌文, 岩﨑 洋, 後藤 充孝, 吉田 由美子
    原稿種別: 本文
    1990 年 17 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    脊髄損傷者の体力評価の手段として,車椅子トレッドミルを使用したスピード負荷法と角度負荷法を考案し,脊髄損傷者15名健常者9名に対して施行し,各負荷法の有用性及び両負荷法の比較検討をし,併せて脊髄損傷者の体力評価パフォーマンスとの関係についても検討した。
    その結果,1)両負荷法ともに心拍数と酸素摂取量との間には有意な相関を示し(P < 0.01)十分妥当性のある負荷法であった。2)all out時のデータより両負荷法を比較すると,健常者群にのみスピード負荷法で有意に低値を示した。3)両負荷法を通じてVO2maxは下位脊損群及び健常者群では28.9〜32.4ml/kg/min,上位脊損群では25.5〜25.6ml/kg/minであった。4)フィールドでのパフォーマンステストとの関係では,下位脊損群にのみ両負荷法で得られたVO2maxと,車椅子5分間走及び60m走との間にP < 0.05で有意な相関を認めた。
  • 江口 周司, 深水 英俊, 森 信孝, 下田 幸夫, 山口 拓明, 勝田 辰彦, 大川 裕, 緒方 省三, 紫藤 泰二, 浅山 滉
    原稿種別: 本文
    1990 年 17 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    いわゆるプラトーに達して退院した脳血管障害者182例の退院時の家庭内自立度について検討し,以下の結果を得た。
    1. 家庭復帰した脳血管障害者182例中58例(32%)が,家庭内自立に至らなかった。
    2. 移動は自立しながらも,身の回り動作に介助を要した症例が9例みられた。
    3. 家庭内自立群の下肢Brunnstrom Stageは,98%がStage IV上であった。
    4. 高次脳機能障害は,家庭内非自立群の76%にみられ,半側空間失認と構成失行,意欲低下と痴呆(長谷川式簡易知的機能スケールで痴呆・準痴呆)の重複が多かった。
    5. 日常生活動作の自立あるいは介助量の軽減の目的で行っている家屋改善は,トイレと風呂場の改善が多かった。
  • 小澤 和夫, 白石 久富, 大野 恭子, 西川 隆, 田伏 薫
    原稿種別: 本文
    1990 年 17 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    顔面運動においてMotor Impersistence(MI)が認められる患者では,車椅子駆動のような複合的な動作に関して,健側上下肢いずれかの肢における連続動作や上下肢の同時動作においても障害が認められる。この病態をより要素的に分析する目的で,手足の等尺性運動の維持能力を検討した。MI陽性左片麻痺群(6例)と対照群であるMI陰性右・左片麻痺群(各7例)の3群について,指腹つまみ単一動作,踏みつけ単一動作,指腹つまみと踏みつけの同時動作,の3種類の動作を各20秒間行わせ,圧力とその変動および保持時間を調べ各群を比較検討した。その結果,顔面運動でみられるような動作の中断はみられなかったが,上肢ではMI陽性左片麻痺群の圧力が他の群に比べ,時間の経過とともに有意に減衰していた。このことは,顔面と上肢および下肢の運動制御の水準の段階的な差を反映しており,より意図的な努力を要する動作において,定常的な運動の維持が困難になるものと考えられる。
  • ―筋電図学的分析―
    藤田 信子, 桝田 康彦, 山野 薫, 三木 晃, 糠野 猛人, 鎌谷 秀和
    原稿種別: 本文
    1990 年 17 巻 1 号 p. 27-30
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    中枢神経疾患に見られる姿勢運動パターンを正しく理解し,より効果的な治療を行なう指標にするため,健常人9名,平均年齢23.6歳を対象に椅坐位にて側方傾斜刺激を加え頚部・体幹・四肢の筋活動を表面筋電図によって分析した。
    測定は椅坐位にて坐面の右側を下降させて行ない,その刺激は角速度2.2゜/sec,角度を0〜30゜の範囲とした。結果は以下の通りである。
    1. 傾斜上位側の頚部・体幹筋群に筋放電の増加を認めたが,両側の上下肢筋群では特に筋放電を認めなかった。
    2. 傾斜下位側の体幹筋群は 被験者に安静を保たせている時より自発的な持続放電を認めた。これらより,姿勢を保持する上で頚部筋・体幹筋の活動が重要であることが示唆された。
  • 新田 収, 中嶋 和夫
    原稿種別: 本文
    1990 年 17 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    本研究においては,痙直および痙直―アテトイド型の脳性麻痺者56名を対象に,Cubb法で得られた彼らの脊柱側彎の程度と姿勢反射(非対称性緊張性頚反射,まきもどし反応,上肢保護伸展反応)および年齢成分の関連を準縦断的なデータにもとづいて分析した。
    その結果,姿勢反射の獲得水準が低いものほど脊柱側彎の程度が重篤でしかもその重篤度は年齢とともに高くなることが明らかにされた。なお,上肢保護伸展反応を有するものにおいては,脊柱側彎は観察されなかった。
  • 金子 断行, 古澤 正道
    原稿種別: 本文
    1990 年 17 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    重症脳損傷児の死因には気管支肺炎が依然第1位を占めており,呼吸機能への理学療法士の対応の重要性を示唆している。呼吸訓練は第1に頭頚部のコントロールの発達に努め,気道を確保する。第2に胸郭の姿勢緊張を整え,胸郭の運動性を促進する。第3に重症脳損傷児では発達しにくい胸郭の呼吸運動を促し,協調した胸腹式呼吸へ統合していくことが原則と考えられている。今回,この治療概念を2例の重症脳損傷児の治療を通して,検討し吟味したので報告する。
短報
  • ―6症例の経験から―
    永冨 史子, 渡辺 進, 伊勢 真樹, 舟木 健一, 林 和弘
    原稿種別: 本文
    1990 年 17 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    下肢切断と脳卒中片麻痺を重複した6症例を呈示し,訓練・義足処方,退院後の生活について報告する。
    切断と片麻痺の重複により,立位バランスが非常に得られにくく,訓練はこれを安定させることが中心となった。義足は安定性が良く,かつひとりで着脱可能となるものが処方され,アラインメントも屈曲共同運動の出現等を考慮し設定する必要があった。退院後の歩行能カは,自立2例,杖歩行+車椅子2例,歩行不能2例であった。歩行能カの高低に関係なく,断端のケアは続けられ,起居動作能カも退院時と同程度に保たれていた。
  • 堤 文生, 半田 一登, 下畑 博正
    原稿種別: 本文
    1990 年 17 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    毎日のリハビリ施行患者数の動向を把握することは,病院経営の面で重要なことである。リハビリ診療箋の集計作業の繁雑さは,どこの病院でも頭の痛い課題である。
    当院では,受付業務の省力化としてパソコンを用いてリハビリ診療箋の集計作業を行っている。今回,昭和63年4月の社会保険及び老人診療報酬の一部改定に伴い,従来のプログラムを大幅に改正したので紹介する。入力操作は,↓キー・↑キー・リターンキー・テンキーを主に用い簡素化した。
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