心筋梗塞症(MI)患者における,運動耐容能評価としてのAnaerobic Threshold(AT)の有用性について,従来から運動耐容能の指標として用いられてきた最高酸素摂取量(PeakVO
2)と比較し検討を加えた。対象は心筋梗塞症患者25例で,年齢は58.7 ± 10.7歳である。発症後1・3・6ヵ月の各時点でトレッドミルによる運動負荷試験を施行し,peakVO
2とAT(V-slope法)を測定した。ATの検出率は発症早期ほど低い傾向にあったが,1・3・6ヵ月でそれぞれ75%,80%,93%と比較的良好であった。ATとPeakVO
2の推移はほぼ同様の傾向を示し,AT/PeakVO
2は1・3・6ヵ月ともに約65%であった。ATとpeakVO
2の相関係数は1・3・6ヵ月で,それぞれ0.80,0.83,0.78と良好な相関を認めた(p < 0.01)同様に1〜3ヵ月・3〜6ヵ月のATならびにpeakVO
2の増分においても0.63,0.74と良好な相関を認めた(p < 0.02)。以上のことからATは急性期からMI患者の運動耐容能の指標として臨床に応用し得ると考えられた。
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