理学療法学
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19 巻, 4 号
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1990年度研究助成論文
  • 研究開発部
    原稿種別: 本文
    1992 年 19 巻 4 号 p. 353-
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
  • 木村 朗, 普天間 弘
    原稿種別: 本文
    1992 年 19 巻 4 号 p. 354-358
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,糖代謝異常を機能的に生じているインスリン非依存型糖尿病患者に対して,運動強度として「極低強度(最大心拍数の20%)」を負荷し,その影響の把握を目的とし,生化学的指標を同時に測定し,背景としてのメカニズムの考察を行なったものである。
    結果は,全症例とも,この強度で定常状態を得た。早朝空腹時血漿グルコース,FBGの減少傾向が認められたものの,中性脂肪,TG・高分画リポプロテイン-コレステロール,HDL-chはいずれも極低強度運動によって有意な変化は認めなかった。インスリンレセプターとインスリンの結合率は,極低強度運動では,低強度に比べ,インスリン濃度が低い状況で低いことが示された。極低強度運動は,エネルギー基質代謝への低刺激性が,安全な運動療法を提供する根拠になり,代謝障害のある障害者への理学療法の適応を広げることが期待される。
  • ―F波における検討―
    鈴木 俊明, 藤原 哲司, 武田 功
    原稿種別: 本文
    1992 年 19 巻 4 号 p. 359-364
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    理学療法において等尺性収縮が対側神経機能に促通効果を期待する訓練の神経生理学的裏づけを行うために,肘関節屈筋群の等尺性収縮が対側脊髄神経機能にあたえる影響をF波により検討した。全例右利きである健常者12例の両上肢24肢,平均年齢20.8歳を対象とし,肘関節屈筋群に安静時,最大等尺性収縮の25,50,75,100%を50秒間実施中に対側母指対立筋よりF波を記録した。結果は,等尺性収縮度の増加にともない対側F波出現頻度,振幅F/M比は増加し(分散分析p<0.01),特に最大収縮の75%および100%の等尺性収縮では安静時と比較して対側F波出現頻度,振幅F/M比は有意に増力した(t-検定 p<0.01,p<0.05)。
    これより,肘関節屈筋群の等尺性収縮度の増加は,対側の神経筋単位数の増加と各神経筋単位の興奮度の上昇により対側脊髄前角細胞プールの興奮性は増大し,その傾向は最大等尺性収縮の75%以上で著明であった。
  • 岩月 宏泰
    原稿種別: 本文
    1992 年 19 巻 4 号 p. 365-370
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    監視歩行レベル以上の脳卒中片麻痺患者34例を対象に200歩の平地歩行をさせて,万歩計の測定値の信頼性と歩行の各要因との関連について検索した。また在宅片麻痺患者26例の1日の歩数を測定し同年代の健常者と比較した。結果を以下に示した。①万歩計の測定値の誤差は青年群が約6.5歩,老年群が約17.9歩であり,片麻痺群は健側約80.1歩,患側約100歩で,健側より患側で増加した。②片麻痺群の誤差と200歩の所要時間には正の相関があり,歩行率,重複歩距離および歩行速度との間に相関を認めた。③誤差の変動係数は青年群が1.6%,老年群が5.3%であり,片麻痺群では麻痺側,健側とも約20%であった。④杖,下肢装具を用いる下肢BRS IV以下では誤差が多いが,独歩可能なVIでは誤差が患側,健側とも同年代の健常者と殆ど差を認めなかった。⑤在宅片麻痺患者の1日の歩数は5.7×103歩であったが,下肢BRS V,VIでは約7.0×103歩と健常群と差を認めなかった。
  • 小塚 直樹, 橋本 伸也, 宮本 重範, 小神 博, 横井 裕一郎, 仙石 泰仁, 三島 与志正
    原稿種別: 本文
    1992 年 19 巻 4 号 p. 371-375
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    大規模な設備が不要で,被検者に対しても様々な負担がかからない歩行分析を検討する目的で,痙直型脳性麻痺児20名,正常児10名を対象に側方からの映像歩行解析を行いスティックピクチュアにより定量化した。その結果,crouching gaitを呈する脳性麻痺群と正常群との間に歩行速度,股関節・膝関節の運動性,歩幅,立脚期/遊脚期の比率との間に有意差が認められたが,上下の重心動揺は有意差が認められなかった。また脳性麻痺群において,歩幅と歩行速度の間の相関傾向が,正常児群において,年齢と歩行速度の間の相関関係がそれぞれ認められ,その他のパラメーターも含めcrouching gaitの特徴を定量化により示すことができた。
  • 小室 透, 間瀬 教史, 和田 智弘, 居村 茂幸, 藤原 誠, 辻田 純三
    原稿種別: 本文
    1992 年 19 巻 4 号 p. 376-381
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    歩行可能な片麻痺患者10例に対して約3か月間の有酸素トレーニングを行った。
    トレーニング後,VTの有意な増加が見られ,動作筋の有酸素的エネルギー代謝の改善が示唆された。また,多くの症例に歩行能力の改善を認めた。しかし,運動終了後の患側大腿部皮膚温の有意な低下と3例における心拍反応の亢進を認め,片麻痺患者における自律神経系障害の存在が示唆された。
報告
  • 白石 貢一郎, 喜多岡 健二, 石戸谷 武
    原稿種別: 本文
    1992 年 19 巻 4 号 p. 383-387
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    五十肩筋性拘縮期(frozen phase)における局所麻酔下のマニピュレーション遂行が困難な一症例に対し,SSP療法の併用を試みた。SSP治療開始後の痛覚閾値と二点識別能力の経時的変化は徐々に増大傾向を示し(p < 0.05)(p < 0.01),局所麻酔下でのマニピュレーション遂行が可能となった。本法施行一週間後,自動介助肩関節屈曲角度と握力に増大傾向を認め(p < 0.005),日常生活動作においては右上肢が使用可能となり,困難な動作が消失した。本法は,理論的背景や禁忌事項を考慮し適応症例を選択すれば,有効的なアプローチになる可能性があると考える。
  • 市橋 則明, 伊藤 浩充, 吉田 正樹, 篠原 英記, 武富 由雄
    原稿種別: 本文
    1992 年 19 巻 4 号 p. 388-392
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    健常女性30名を対象に大腿四頭筋とハムストリングスの求心性収縮と遠心性収縮による筋力と角速度の変化の関係を検討した。その結果,求心性収縮においては,大腿四頭筋とハムストリングス共に角速度が増加するに従い有意にピークトルクは低下した。遠心性収縮においては,大腿四頭筋のピークトルクは角速度の変化の影響を受けなかったが,ハムストリングスのピークトルクは角速度が増加するとともに有意に増加した。また,H/Q比は求心性収縮においては,角速度が増加するに従い有意に大きくなったが,遠心性収縮においては,有意な変化を示さなかった。E/C比は角速度が増加するに従い両筋共に有意に大きくなった。
  • ―膝伸展不全改善のためのダイナスプリントとFESの使用―
    玉木 彰, 中井 保, 小澤 和夫, 平木 治朗, 安井 平吉, 北野 継弐
    原稿種別: 本文
    1992 年 19 巻 4 号 p. 393-398
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    従来,TKR後の膝伸展不全に対する理学療法は徒手的訓練が主であった。しかし徒手的訓練のみでは,その仕方により術後における痛みを増強してしまう恐れがあり,訓練の再検討の必要があった。そこでTKR後の膝伸展不全に対し,当院リハビリテーション部においてその改善を目的に行っている,ダイナスプリントおよびFESを使用した訓練プログラムを紹介し,検討を加えた。ダイナスプリントは,一定の正確な力を持続的に伸展方向に加え,組織の短縮をゆっくり伸張するという特性をもっている。またFESは,刺激条件を設定することで確実に筋収縮を得ることができる。いずれの方法も痛みをあまり伴わないため,術後の膝伸展不全改善には有効な治療手段だと思われる。従来の徒手的訓練に加え,これらを併用することでより効果的に,短期間で膝伸展不全を改善できると考える。
  • ―後傾刺激に対する足底圧中心軌跡の距離と面積による解析―
    木山 喬博, 室賀 辰夫, 岩月 宏泰, 猪田 邦雄
    原稿種別: 本文
    1992 年 19 巻 4 号 p. 399-404
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    安静立位と転倒性の外乱刺激を与えた場合の老年群と青年群との姿勢調節の巧拙を足底圧中心軌跡(重心動揺)の移動距離と面積で比較検討した。老年群(平均68.1歳)17名と青年群(平均21,2歳)10名を対象に,足底面0度と不意に踵下がりに3,6,9度で急傾斜させた場合の重心移動距離と面積を,重心動揺計で30秒間測定した。
    重心移動距離,面積共に0,3,6,9度において老年群の値は青年群よりも高値を示し,老年群で姿勢調節能は劣っていた。
    両群とも傾斜角度の増加に伴って0,3,6,9度の順に距離も面積も増大し,9度と6度間の増大が非常に大きかった。
    両群とも測定回数があとになるほど距離,面積共に小さい値を示す傾向がみられ,学習の影響を無視できないことを窺わせた。
    後方傾斜に対する姿勢調節は両群とも前後方向で行われていた。
  • ―徒手筋力テストにおける検者の左右差を推察する―
    和島 英明
    原稿種別: 本文
    1992 年 19 巻 4 号 p. 405-409
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,「力の感覚」に左右差があるかどうかを知ることである。健常者47名に対して,心理学的測定法を用い,両手の重量弁別におけるウエーバー比を調べ,左右差を検定した。その結果,利き手と非利き手との間に有意差はみられなかった。このことから,徒手筋力テストを行う際,検者の左右の手を厳密に区別しなくても差し支えないことを示唆するものと考える。
  • 高橋 茂, 佐藤 秀一, 三村 健, 庄子 美和, 佐藤 礼人, 本田 勇, 岡本 五十雄
    原稿種別: 本文
    1992 年 19 巻 4 号 p. 410-415
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    脳卒中患者210例に対し,骨粗鬆症と関連すると思われる因子10項目(年齢・性・発症後期間・6項目の機能障害・起居移動動作の自立度)および骨折との関係を調べた。骨粗鬆症を有する頻度は210例中34例(16.2%)で特に女性に有意に高かった(p < 0.01)。また起居移動動作の自立度が低くなるにつれて頻度は有意に増加した(p < 0.01)。骨折は21例(10.0%,椎体骨折18例,大腿骨頸部骨折3例)であった。椎体骨折は骨粗鬆症を有するものに有意に高く(p < 0.01),大腿骨頸部骨折は年齢が若く骨粗鬆症を有していない例におこっていた。以上から,脳卒中患者のリハビリテーションにおいて,骨粗鬆症に留意するとともに充分な転倒防止対策をとることが必要であると思われた。
  • 田島 徹朗, 日吉 俊紀, 川平 和美, 田中 信行
    原稿種別: 本文
    1992 年 19 巻 4 号 p. 416-420
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    脳卒中患者173名(♂85名,♀88名)に対して,炭酸ガスシストメトリーを施行し,以下の結果を得た。1)脳卒中後,約半数は異常膀胱を呈しており,その大半は無抑制膀胱であった。また,異常群(平均65.8 ± 9,6歳)では,正常群(平均58.8 ± 12.7歳)に比し全体に高齢であり,下肢能力も一様に低下していた。2)再検査の施行できた76名の中で異常膀胱を呈した者の34.8%に正常化を認めた。特に初回検査時,抑制膀胱を呈してしいた者の60%に正常化を認め,同時にこれらは残尿量,排尿回数,ADL得点などに著明な改善を示した。以上のことより,膀胱機能と下肢能力との間には密接な関係があることが示唆され,ついては,一方向からの視点にとらわれず他方向からの総合的アプローチが,必要と思われた。
  • 神戸 晃男, 山田 俊昭, 山崎 安朗, 東田 紀彦, ブリリアントン ムナディ, 山口 昌夫, 松浦 康孝
    原稿種別: 本文
    1992 年 19 巻 4 号 p. 421-426
    発行日: 1992/07/10
    公開日: 2018/10/25
    ジャーナル フリー
    健康成人11名に対して,大腿四頭筋のトルク値と表向筋電図の中間周波数 : Median Power Frequency(以下MdPFと略す)の関係を検討した。エリエール・ダイナミックス社製Ariel機により,膝関節60度屈曲位での大腿四頭筋の最大随意収縮 : Maximal Voluntary Contraction(以下MVCと略す)時の筋トルク値を求め,そのときのMdPFを測定した。さらにMVCの筋トルク値の50%で収縮させたとき,25%で収縮させたときのMdPFを求めて比較検討した。また周波数帯域を10-200Hzのバンドパスフィルターをかけた後,それを10-45Hz,46-80Hz,81-200Hzの3つに区分し,各範囲のMdPFの特徴も検討した。その結果,筋トルク値が高くなるにつれMdPFは高くなる傾向を示した。各トルク値のMdPFの間に統計的有意差を認めたのは100% MVCと25% MVCのMdPF間のみであり,その他のトルク値のMdPF間には有意差はなかった。以上から,表面筋電図のパワースペクトル解析で,筋の活動様式を推定することができると考えられる。
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