理学療法学
Online ISSN : 2189-602X
Print ISSN : 0289-3770
ISSN-L : 0289-3770
20 巻, 8 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
報告
  • 白井 誠, 米谷 論, 中塚 久美子, 守屋 智里, 高橋 誠
    原稿種別: 本文
    1993 年 20 巻 8 号 p. 487-492
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は,腰部痛を主訴としReactive painと診断された症例に対して,我々が考案し実施した運動療法の有効性を検索することである。この運動療法は,腰部周囲の筋過緊張を筋伸張運動にて抑制することを症例に学習させることを目的とした。運動療法の継続による疼痛の変化と,この特異的効果を示すための一回の運動療法による客観的効果を検討した。客観的評価は,単位時間あたりの上肢変換運動回数を測定した。その結果,運動療法の継続により19例中16例が疼痛軽減し,そして,45例に対する一回の運動療法において上肢変換運動回数は正常化をみた。
  • 檀辻󠄀 雅広, 松田 淳子, 松尾 薫, 祝部 美樹子, 朝倉 健, 吉尾 雅春
    原稿種別: 本文
    1993 年 20 巻 8 号 p. 493-498
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    脳卒中片麻痺患者の歩行時に見られる足趾の屈曲変化の有無と形状の違いを調査し,歩行能力や運動機能との関係を分析した。対象は片麻痺患者48名で,椅坐位時と歩行時の足趾を写真撮影し足趾変化の有無を判定した。さらに,足趾の屈曲変化をclaw toe,hammer toe,mallet toeの三種類に分類した。
    足趾の屈曲変化が見られた群は,裸足歩行不可能群に多かった。足趾の屈曲変化が見られた裸足歩行可能群では,歩行速度が遅く,運動機能も低かった。claw toeはhammer toeと比較して裸足歩行不可能群に多かった。裸足歩行可能群でもclaw toeはhammer toeよりも歩行速度が遅く,運動機能が低かった。以上より,両者間に機能の優劣があることが考えられた。
  • ―健常成人における運動角速度と運動回数の比較―
    明日 徹, 田中 正一, 白土 瑞穂, 楢原 貴雄
    原稿種別: 本文
    1993 年 20 巻 8 号 p. 499-503
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    健常成人男性6名(平均26.8歳)を対象に軀幹等速度回旋運動での循環動態を調査した。
    3種類の運動角速度(60,90,120度/秒)で各3種類の運動回数(5,10,15回)の運動を行い,非観血的連続自動血圧計で,回旋運動時の血圧・心拍数を一拍毎に測定した。各運動間の最高収縮期血圧・拡張期血圧・平均血圧・心拍数・Rate-Pressure Product(RPP)の比較を行い,また運動後に対照実験値と有意差のなくなる回復時間も調べた。
    同一運動角速度では運動回数が多くなるほど血圧・心拍数とも高値を示し,回復時間も長くなり,また同一運動回数では運動角速度が遅いほど血圧・心拍数とも高値を示し,回復時間も長くなった。つまり,等速度回旋運動実施にあたっては運動角速度と運動回数を考慮する必要がある。
  • 杉本 諭, 網本 和, 牧田 光代, 三好 邦達, 高橋 哲也
    原稿種別: 本文
    1993 年 20 巻 8 号 p. 504-508
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    退院時歩行自立できなかった脳血管障害患者(N = 85,平均年齢66.4歳)の歩行自立度についてフォローアップを行い検討し,以下の結果を得た。
    1 )年齢が低く,下肢の運動麻痺が軽症なものほどフォローアップ時の歩行自立度が良好であった。
    2 )退院時における坐位および歩行能力が高いものほどフォローアップ時の歩行自立度が良好であった。
    3 )フォローアップ時の歩行自立度を従属変数とし,年齢・下肢Brunnstrom stage・歩行能力・高次脳機能障害を独立変数として多変量解析を行った結果,慢性期脳血管障害患者の歩行自立度を規定する因子としては,退院時における歩行能力が最も重要であり,その他の諸要因として年齢,下肢Brunnstrom stage,高次脳機能障害などが関係してくると考えられた。
  • 加藤 祝也, 巻島 宏, 上野 晃, 園田 滋, 荒川 智江, 佐藤 昌代
    原稿種別: 本文
    1993 年 20 巻 8 号 p. 509-513
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    過去2年6カ月間に理学療法室内でみられた急変患者例を集計分析し,急変内容とその原因,そしてそれらの予防対策について検討した。
    急変患者総数は12例であり,転倒によるものが最も多くまた訓練時間内に再発作を起こしその後死亡したものが2例みられた。急変内容から環境設備上の問題,患者側の問題,スタッフ側の問題,その他の4種類の原因別に分類でき,これらの原因別分類に応じたそれぞれの対策をまとめた。
    安全対策および事故防止には理学療法士(以下PT)個々の努力と,治療に対する理解と協力を求める患者教育が必要である。
  • ―長下肢装具の多目的使用について―
    松永 篤彦, 神内 拡行, 石田 暉
    原稿種別: 本文
    1993 年 20 巻 8 号 p. 514-519
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    Step-lock式膝継手付き長下肢装具を使用した15症例(両側片麻痺4例,右片麻痺6例,左片麻痺5例)の装具使用状況について追跡調査し,その適応と効果について検討した。
    本膝継手は,伸展方向の動きがあれば15°ずつ9段階に連続して自動ロック可能な特徴をもち,下肢の重度機能障害や重複障害を呈する症例に処方された。
    本膝継手の導入により長下肢装具の実用的な使用が可能となり,装具の多目的な使用(膝伸展位自力ロック,立ち上がり・移乗動作時の介助量の軽減,膝関節の伸展位持続伸張,歩行獲得)とその使用範囲の拡大がもたらされ,併せて下肢機能の改善に良好な結果が得られた。
症例研究
  • 今石 喜成, 松尾 健一, 高柳 朔司, 片伯部 裕次郎, 矢野 楨二, 志波 直人, 井上 明生
    原稿種別: 本文
    1993 年 20 巻 8 号 p. 520-524
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    40%前後の両脚延長術を施行した2症例の軟骨無形成症の理学療法を実施し,以下の知見が得られた。①一側下肢延長術終了後,早期に延長側の松葉杖歩行を自立させる必要がある。②骨の延長に伴う筋の伸長による関節可動域制限を予防するために延長中,延長後の訓練は重要である。また,脚延長の術前に予測可能な障害に対して訓練や指導を行うことが必要である。
  • ―臨床症状と退院時の歩行能力に関して―
    土井 篤, 野尻 晋一, 野崎 雄二, 池田 耕治, 中西 亮二, 山永 裕明
    原稿種別: 本文
    1993 年 20 巻 8 号 p. 525-531
    発行日: 1993/12/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    生命危機を脱してリハビリテーション目的で入院した脳幹部出血患者10例について入院時,退院時の機能評価を検討した。その結果,退院時の歩行能力は2例が独立歩行,5例が介助歩行,3例が歩行不能であった。退院時に一側のBrunnstrom stageがⅤ以下である症例は独立歩行に至らず,両側共Brunnstrom stageがⅥの症例でも両側に失調症状のある例や失調症状を有する側に感覚脱失のある例は,独立歩行に到達しなかった。退院時の独立歩行例は入院時から両下肢Brunnstrom stageがⅥで,且つ座位バランスが確立しており,退院時には下肢失調症状が1側の症例であった。
feedback
Top