理学療法学
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22 巻, 4 号
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1993年度研究助成論文
  • 石田 和人, 野々垣 嘉男, 谷田 武喜, 高柳 和史, 浅井 友詞, 水口 静子, 堀場 充哉, 和田 郁雄
    原稿種別: 本文
    1995 年 22 巻 4 号 p. 147-152
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    股関節外転筋の等尺性筋力増強訓練が表面筋電図周波数に及ぼす影響について検討した。最大随意収縮の負荷強度で6秒間,3回を行う群と最大随意収縮の50%で30秒間10回行う群で各々,週5回,8週間の訓練プログラムを課した。それぞれ最大筋力,筋持久力の増加がみられた。その際,筋電図周波数は中間パワー周波数で見ると,大きな変化は見られなかった。しかし,周波数帯域別に見ると,持久力増大が低周波域(0〜45Hz)の上昇に,最大筋力増大が高周波域(80Hz以上)の上昇として現れる可能性が示唆された。
  • 小塚 直樹, 舘 延忠, 黒澤 洋一, 菅 和洋, 平野 精一, 津川 敏
    原稿種別: 本文
    1995 年 22 巻 4 号 p. 153-159
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺児12例(痙直型両麻痺7例,アテトーゼ型四肢麻痺5例)に対して眼輪筋反射検査(BR検査)および聴性脳幹反応検査(ABR検査)を実施した。痙直型両麻痺は全例,BR・ABR共に正常所見であった。アテトーゼ型四肢麻痺は潜時延長や振幅低下,反応消失などBRの異常を認め,ABRにおいても成分消失や中枢伝導時間(CCT)延長などの異常所見を認めた。BRの出現状況やABR検査所見はその反射弓の活性,あるいは上位中枢との連絡を含む伝導機能を反映しており,BR検査およびABR検査は,理学療法の中で運動機能障害に注目されがちな脳性麻痺児の潜在的な脳幹機能障害の評価という点で,妥当性のある検査であった。
報告
  • 廣瀬 浩昭, 鈴木 俊明, 大工谷 新一, 藤原 哲司, 武田 功, 廣瀬 亜由美
    原稿種別: 本文
    1995 年 22 巻 4 号 p. 160-164
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    理学療法領域における,治療効果やその病態に関する神経生理学的評価の手段にLLR検査を応用することを目的として,等尺性収縮度の変化に対する長潜時反対の反応性を検討した。
    対象は健常者15名の利き手側上肢15肢,方法は,母指と中指の対立運動による最大収縮力を測定し,その25,50,75,100%での収縮中に,正中神経を手関節部で20回電気刺激し,母指対立筋より長潜時反射を導出した。結果は,振幅比は収縮度の増加に比例して増大し,位相数は減少した。また,立ち上がり潜時と持続時間には変化が認められなかった。本研究の結果から,皮質を経由すると考えられる長潜時反射は,導出筋の収縮度に大きく影響をうけることが示唆された。
  • 小野田 英也, 土屋 辰夫, 森井 和枝, 北村 啓, 玉垣 努, 松本 琢麿, 池田 恭敏, 秋穂 験師, 江原 義弘, 別府 政敏, 野 ...
    原稿種別: 本文
    1995 年 22 巻 4 号 p. 165-170
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    頸髄損傷者は寝返り,起き上がりなどの姿勢変換動作において頭頸部の反動を利用し,動作を遂行することが多くみられる。そこで本研究の目的は頸髄損傷者のADL動作にみられる頭頸部の反動動作についての動力学的作用を明らかにすることである。頚髄損傷による完全四肢麻痺者15名を対象とし,リクライニング姿勢から頭頸部の反動を利用した起き上がり動作を解析した。解析にはエリートシステムを用い,体節のマーカーは8ヵ所とした。併せてコンピュータシミュレーションにより実験結果の検証を試みた。起き上がり可能な背もたれの限界角度は水平から50.9度であった。この角度から頭頸部の位置変化のみで起き上がることは全例不可能であり,反動動作の重要性が確認された。データの分析から頭頸部のモーメントが減少するとき,体幹のモーメントが増加しており,この時に頭頸部のモーメントが体幹に伝わったことがわかった。起き上がり限界角度と矢状面での体幹可動性との間には相関関係が認められ,動作に影響を与える因子として体幹の可動性が示唆された。コンピュータシミュレーションにおいても実験と同様の傾向が得られ,体幹可動性が起き上がり動作を容易にすることが確認された。
  • ―心負荷の減少を目的とした検討―
    長谷川 輝美, 山崎 裕司, 山田 純生, 深井 和良, 三好 邦達, 田辺 一彦, 長田 尚彦, 渡辺 敏, 大森 豊, 久保田 京子
    原稿種別: 本文
    1995 年 22 巻 4 号 p. 171-174
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    心負荷を低く抑えることを目的とした筋力増強運動中の心拍血圧反応について検討した。対象は健常男性7名で,膝伸筋の筋力増強運動中の心拍血圧反応をトノメトリ法(CBM7000)を用いて測定した。筋力増強運動は椅子坐位における膝伸展運動と臥位伸展挙上を行った。筋力増強運動中の心負荷は運動強度,反複回数の増加に伴い上昇した。逆に,休止期を長くとることで筋力増強運動中の心負荷を低く抑えることが可能であった。運動様式の違いでは坐位膝伸展運動に比べ,臥位伸展挙上運動で血圧反応は有意に高い値を示した。以上のことから1セットの反復回数を少なくし,休止期を長くとること及び運動様式を変化させることで心負荷を低く抑えた筋力増強運動を行うことが可能と考えられた。
短報
  • 富田 浩, 柳澤 健, 竹井 仁
    原稿種別: 本文
    1995 年 22 巻 4 号 p. 175-177
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    運動療法で用いられる固有受容性神経筋促通手技(PNF)の運動パターンや開始肢位では回旋運動や回旋肢位が強調されている。この回旋肢位が身体に与える影響をみるため,ヒラメ筋H波による検索をおこなった。11名の健常男性を対象とし,左右の肩関節,右股関節それぞれに内旋位,外旋位を他動的にとらせ,左ヒラメ筋よりH波を導出し,その振幅を対照肢位(肩関節の回旋では肩関節90度外転位・内外旋中間位,肘関節90°屈曲位,股関節の回旋では股関節90°屈曲・内外旋中間位,膝関節90°屈曲位)のものと比較した。その結果,左右肩関節内旋位および外旋位で左ヒラメ筋H波振幅が対照肢位に比べ増大したが,右股関節では内旋位,外旋位ともに増減はなかった。これらの結果から,上肢の回旋肢位が下肢運動ニューロンの興奮性を増大させることが示唆された。
  • 横地 正裕, 新実 光朗
    原稿種別: 本文
    1995 年 22 巻 4 号 p. 178-180
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    インスリン非依存型糖尿病患者21例の換気性作業閾値の強度に基づく歩行運動において,加速度計測機能を持つカロリーカウンターが測定した総消費エネルギー量と運動によるエネルギー需要量の妥当性を検証するため,呼気ガス分析法より求めた値と比較検討した。その結果,両方法により求められたエネルギー量の間に,有意差は認められなかった。また,総消費エネルギー量測定において,両方法の間には,高い相関があった。以上のことから,糖尿病患者の歩行運動程度の強度ならば,カロリーカウンターは,総消費エネルギー量や運動によるエネルギー需要量を反映すると考えられる。
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