本研究の目的は,従来の肺機能予測式に胸郭拡張差を加味することにより,精度の高い予測式を作成すること,および肺機能における胸郭拡張差の影響を調べることである。健常中高年者200名を対象に,形態,肺機能,胸郭拡張差を測定し,重回帰分析を行い,肺機能予測式を作成した。その結果,肺活量予測式には,男女ともに身長,年齢,剣状突起高胸郭拡張差が,男性では加えて腋窩高呼気位周径が選択された。剣状突起高の拡張差は,男女ともに肺活量に大きく影響していた。われわれの予測式は,他の予測式と比較して精度が高かった。今後,呼吸理学療法の効果判定への応用や,高齢者などの肺機能測定が困難である者への適用が期待できる。
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