理学療法学
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23 巻, 2 号
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報告
  • 白土 幸子, 市江 雅芳, 半田 康延
    原稿種別: 本文
    1996 年 23 巻 2 号 p. 51-58
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    我々は,経皮的埋め込み電極法による機能的電気刺激(Functional Electrical Stimulation : FES)を,頸髄損傷者のADL拡大の方法に取り入れている。今回,C6完全四肢麻痺の上肢および下肢についてFESによる動作再建を行った。上肢では,食事・書字動作を実用的なレベルまで制御した。下肢については,ベットから車椅子への移乗時の上肢の負担軽減を目的とし,両下肢の膝伸展刺激制御を行った。この際,移乗動作時の足部への体重負荷量を床反力計で測定したところ,FESでは自力での移乗動作に比し10kg荷重量が増加していた。その結果,ベット・車椅子間の移乗動作は介助レベルから監視レベルに向上させることができた。
  • 伊藤 浩充, 丸山 孝樹, 木田 晃弘, 古賀 友弥, 佐浦 隆一, 黒坂 昌弘, 水野 耕作, 市橋 則明
    原稿種別: 本文
    1996 年 23 巻 2 号 p. 59-65
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,前十字靱帯再建術後患者の下肢の機能的運動能力テストが膝関節安定性評価と膝屈伸筋力評価に並ぶ重要な評価であることを明らかにするために,その臨床的意義を検討した。前十字靱帯再建術後患者65例について,膝関節安定性評価(KT-1000),膝屈伸筋力評価(Cybex II)および機能的運動能力テスト(片脚8の字跳躍・片脚段差昇降・片脚横跳び・片脚幅跳び)を行った。膝関節安定性評価の結果では,NormalとNearly Normalが合わせて60例,膝屈伸筋力評価の結果では筋力良好の者が35例であった。機能的運動能力テストの結果については,片脚8の字跳躍で35例,片脚段差昇降で44例,片脚横跳びで55例,片脚幅跳びで46例が良好であったが,4つのテスト全てが良好であった者は26例であった。半月板の処置の仕方による差異については,膝関節安定性,膝屈伸筋力,機能的運動能力テストのいずれの評価においても認められなかった。前十字靱帯再建術後の評価において,膝関節前方安定性の評価や膝屈伸筋力評価だけでは術後の膝関節機能を過大評価してしまう可能性があるので,片脚跳躍能力評価のような機能的運動能力テストも臨床で行っていく必要があると考えられた。
  • 田平 一行, 神津 玲, 千住 秀明
    原稿種別: 本文
    1996 年 23 巻 2 号 p. 66-71
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,従来の肺機能予測式に胸郭拡張差を加味することにより,精度の高い予測式を作成すること,および肺機能における胸郭拡張差の影響を調べることである。健常中高年者200名を対象に,形態,肺機能,胸郭拡張差を測定し,重回帰分析を行い,肺機能予測式を作成した。その結果,肺活量予測式には,男女ともに身長,年齢,剣状突起高胸郭拡張差が,男性では加えて腋窩高呼気位周径が選択された。剣状突起高の拡張差は,男女ともに肺活量に大きく影響していた。われわれの予測式は,他の予測式と比較して精度が高かった。今後,呼吸理学療法の効果判定への応用や,高齢者などの肺機能測定が困難である者への適用が期待できる。
  • ラットの筋・腱組織におけるコラーゲンの生化学的分析
    須釜 聡, 立野 勝彦, 灰田 信英
    原稿種別: 本文
    1996 年 23 巻 2 号 p. 72-79
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    関節拘縮発生にはコラーゲン中の架橋結合が関与し,この架橋結合はコラーゲンの可溶性に影響を及ぼす。今回我々は,ラットの足関節を7週間固定し筋および腱組織の可溶性の変化を検索しコラーゲン線維内の架橋結合の変化を推察した。その結果,ヒラメ筋については塩可溶コラーゲンとペプシン可溶化率に有意な減少を認めたが,アキレス腱については塩可溶コラーゲンに有意な減少を認めたのみであった。以上の結果から,7週間の固定により,コラーゲン線維内の架橋結合について,筋組織では架橋結合の数や強度の増加が推察されるが,腱組織では架橋結合の変化も少ないものと推察される。このことから,固定による影響は筋組織コラーゲンの方が大きいことが示唆され,組織の柔軟性の低下へつながる方向へ移行しているものと考えられる。
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