理学療法学
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23 巻, 6 号
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原著
  • 山崎 俊明, 立野 勝彦, 灰田 信英, 武舎 進
    原稿種別: 本文
    1996 年 23 巻 6 号 p. 349-354
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    成熟ラットヒラメ筋の廃用性萎縮予防に及ぼす,短時間筋伸張位保持の効果を麻酔下で検索した。 14匹の成熟ウィスター系雄ラット(24週齢)を,実験群と対照群に分けた。実験群は2週間の後肢懸垂法にて筋萎縮を惹起した。その間,右足関節を一日20分間(5日/週),麻酔下で最大背屈位に保持し,ヒラメ筋を伸張した(伸張群)。左側は懸垂のみとした(懸垂群)。対照群は懸垂せずに,麻酔のみ実施した。実験終了時にヒラメ筋重量を測定後,ATP染色を行い組織化学的に分析した。 その結果,筋湿重量および筋線維タイプ構成比率は,実験群間に差はなかった。伸張群の筋線維断面積の平均値は,タイプI・IIともに対照群より萎縮を示したが,懸垂群より有意に大きかった。以上より,短時間筋伸張位保持は,成熟ラットヒラメ筋の廃用性萎縮による断面積の減少を,抑制できることが示唆された。
報告
  • 大城 昌平, 穐山 富太郎, 後藤 ヨシ子, 横山 茂樹, 鋤崎 利貴
    原稿種別: 本文
    1996 年 23 巻 6 号 p. 355-358
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本論文は低出生体重児77名を対象として,在胎週数に換算して(修正)44週時のブラゼルトン新生児行動評価(NBAS)とベイリー乳幼児精神運動発達検査(BSID)による修正12カ月時の精神運動発達との関連について統計学的に検討し,NBASが低出生体重児の早期介入及び療育の適応決定に有効であるかどうか考察した。NBASの8つのクラスター(漸減反応,方位反応,運動,状態の幅,状態調整,自律神経系の安定性,誘発反応,補足項目)と12カ月時の精神運動発達指数との関連を単相関分析により概観した結果,自律神経系の安定性クラスターを除いた他のクラスターと精神運動発達指数は有意な相関を示した。12カ月時の精神運動発達指数を目的変数,NBASの各行動クラスターを説明変数とした重回帰分析の結果,高い相関が認められ,精神運動発達指数はNBASから約60%の精度で説明することができるという結果であった。また,標準偏回帰係数を算出した結果,運動,状態の幅,誘発反応の各クラスターが統計的に有意に影響を及ぼす因子であった。これらのことから,修正44週時のNBAS評価は初期乳児期の精神運動発達を予測するうえで有用であり,早期介入及び療育の適応決定において有益であると考えられた。
  • 佐藤 峰善, 島田 洋一, 佐藤 光三, 加賀谷 斉, 小西 奈津雄, 宮本 誠也, 松永 俊樹, 飯塚 清美
    原稿種別: 本文
    1996 年 23 巻 6 号 p. 359-364
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    完全対麻痺患者2例の歩行を再建する目的で,経皮的埋め込み電極を用いた多チャンネルの機能的電気刺激,短下肢装具,L型歩行器を組み合わせ,これらに閉ループ制御機構を有するシステムを導入した。動作再建においてはシステムの安定性,歩容,連続歩行距離を評価した。2例とも起立・着席,交互歩行が可能であり,連続歩行距離はそれぞれ20m,25m,平均歩行速度はそれぞれ0.02m/sec,0.03m/secであった。機能的電気刺激による起立・歩行の再建において筋疲労は重要な問題の一つであるが,閉ループ制御により電気刺激を抑制し筋疲労を軽減することが可能であった。完全対麻痺患者においても閉ループ制御を併用した機能的電気刺激システムにより立位のみならず交互歩行も可能であった。
  • ー健常者と片麻痺患者の比較ー
    山田 道廣, 田中 正昭, 小野 英規, 真島 東一郎, 山口 洋一, 山口 徳久, 森 勝彦
    原稿種別: 本文
    1996 年 23 巻 6 号 p. 365-370
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    片麻痺患者27名と健常者31名を対象に,超小型荷重変換器を用いて股関節外転トルクを測定し,最大歩行速度との関連性を検討した。体重と両側股外転筋力の関係では,高い正の相関を認めた。Brunnstrom stage別にみた外転トルクの比較では,III IVに比べV VIでトルクが高く差を認めた。歩行速度は健常者に比べIII IVは1/3,V VIではおよそ1/2の速度であった。またstage別にみた外転トルクと歩行速度の関係では,V VIで高い正の相関を認めた。以上のことから外転トルクが高ければ,患側下肢立脚時の骨盤の安定化により,健側下肢のスムーズな振り出しを可能にし,その結果歩行速度が速くなると考えられた。
症例報告
  • 上杉 雅之, 原 章, 村田 知子, 木村 義浩, 富永 通裕
    原稿種別: 本文
    1996 年 23 巻 6 号 p. 371-375
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    先天性筋線維型不均等症は,臨床的に生下時あるいはその直後より筋緊張低下,筋力低下を示し,2歳を過ぎると症状は固定,ときに改善を示すことを特徴とする極希な疾患である。今回,先天性筋線維型不均等症の女児に対して,2歳5カ月より6歳1カ月まで,主に立位姿勢を積極的に取り入れた神経発達学的治療法に基づく運動療法を実施した。その結果,2歳を過ぎても症状は固定せず,3歳11カ月に四つ這いが可能,5歳3カ月に独歩が可能となり,緩徐ながらも運動機能は発達する経過を示した。
紹介
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