理学療法学
Online ISSN : 2189-602X
Print ISSN : 0289-3770
ISSN-L : 0289-3770
24 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
報告
  • 米澤 有里, 八木 範彦
    原稿種別: 本文
    1997 年 24 巻 2 号 p. 55-60
    発行日: 1997/03/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ(以下RA)患者の住宅改造の実態を調査するために,Class 2または3の女性RA患者50名を対象に改造箇所とその規模の聞き取り調査を行った。大がかりな改造はトイレにおいて多く,その自立度は高かった。玄関と浴室は改造しても困難な場所であった。簡単な改造としてはシャワーイスの設置が最も多く,ついであがり框の台等の設置であった。一方,改造を行わずに動作方法を工夫することで解決している例がドアや浴槽において多くみられた。また,改造しても使用していない箇所はトイレの手すりが最も多かった。今回の結果より,症状に変動をきたしやすいRA患者においては,障害の変化に対応しやすく,受け入れられやすい動作方法の工夫や簡単な改造の検討が重要であると考えられた。また,今回の様な進行したRA患者にも,ADLの指導や情報提供は重要であることが再認識された。
  • 八並 光信, 上迫 道代, 遠藤 敏, 寺門 早苗, 大木 修子, 須藤 彰一, 長谷 公隆, 正門 由久, 千野 直一, 牧田 光代
    原稿種別: 本文
    1997 年 24 巻 2 号 p. 61-68
    発行日: 1997/03/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,通院片麻痺患者183名を対象として,ADL(機能的自立度評価:FIM)・保健行動(健康に対する自己管理能力の程度)・心理的状態(不眠・不安・抑鬱傾向・意欲の低下の有無)・QOL(主観的人生満足度評価:LSIA)について実態調査を行った。解析方法は,単純集計および年齢と下肢ブルンストロームステージに着目して分散分析を行った。その結果,ADLは,FIMにおいて平均78点(最高91点)と自立度が高かった。保健行動は,平均19点(最高20点)と良好であった。しかし,心理的状態は,不眠・不安・抑鬱傾向・意欲の低下を有する者が40%〜50%と高率であった。QOLは,人生に対するポジティブな反応の比率が低かった。分散分析の結果,ADL・保健行動・心理的状態・QOLに対して,年代または下肢ステージの主効果が認められた。しかし,交互作用に関しては認められなかった。今回の調査より,通院片麻痺患者の多くは,ADLの自立度が高く,保健行動も良好であった。しかし,心理面・QOLは低く,心理社会的側面を含めた評価およびサポートが必要であることが示唆された。
  • ―リウマチ女性患者と高齢健常女性について―
    吉村 茂和, 田口 孝行, 宮代 直枝, 猪飼 哲夫
    原稿種別: 本文
    1997 年 24 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 1997/03/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,慢性関節リウマチ女性患者(リウマチ)と高齢健常女性(高齢)の片側脚伸展筋力を体重で除した体重比が,片側脚で体重を支持できる能力の指標となりえるという観点から体重比を検討することである。リウマチ群6名と高齢群14名を被験者として,膝角度15,30,45,60および75度ごとの片側脚伸展筋力と体重比を求めた。その結果,リウマチ群の片側脚伸展筋力は,高齢群の38〜54%,体重比は高齢群の54〜67%であった。さらに,体重比が1以上であれば片側脚で立位支持ができるという関係が認められた。以上のことから,リウマチ群の片側脚伸展筋力と体重比は,高齢群のおよそ二分の一であり,片側脚で体重を支持できる能力の低いことが認められた。また,体重比は片側脚で立位支持する能力の指標として使用できることが示唆された。
  • 藤澤 宏幸, 末永 直樹, 三浪 明男, 石田 和宏
    原稿種別: 本文
    1997 年 24 巻 2 号 p. 75-81
    発行日: 1997/03/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    肩関節内旋運動時の肩甲下筋などの筋活動を検討した。対象は成年男性8名(平均年齢28.3 ± 4.4歳)の右肩,被験筋は肩甲下筋,大胸筋鎖骨部・胸肋部線維,広背筋,三角筋前部・中部・後部線維,棘上筋,棘下筋の9筋とした。テスト肢位はlift-off test(以下,LOT)middle・low・high position,下垂位,90度外転位,最大屈曲位の6種類で,運動の種類は自動運動と等尺性最大抵抗運動(以下,抵抗運動)とした。結果,各LOTにおける自動運動では肩甲下筋活動が他の筋活動よりも有意に高かった。抵抗運動では広背筋活動も高く肩甲下筋活動と有意な差はなかった。その他のテスト肢位における自動運動では,肩甲下筋活動が平均で2.0〜12.1%とLOT middle positionの場合と比較して有意に低かった。抵抗運動では,肩甲下筋活動が全ての肢位で高く,各肢位間で有意な差はなかった。また,最大屈曲位では肩甲下筋活動が他の筋活動と比較して相対的に高かった。以上より,3種類のLOTでは自動運動において肩甲下筋活動が選択的に高いこと,また肩甲下筋損傷・筋力低下の臨床テストとして,最大屈曲位での抵抗運動がLOTと相補的な役割を果たせる可能性のあることが示唆された。
短報
  • 江口 靖彦, 土井 篤, 藤本 英明, 野尻 晋一, 中西 亮二, 山永 裕明
    原稿種別: 本文
    1997 年 24 巻 2 号 p. 82-84
    発行日: 1997/03/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,パーキンソン病患者のそり返り動作時の体幹伸展度とYahrの重症度との間に関連があるかを検討することである。パーキンソン病患者38例と健常者7例について立位および腹臥位での体幹伸展度を測定した。腹臥位における体幹伸展度では健常者とパーキンソン病群との間に有意差は認められなかった。立位における体幹伸展度では健常者とパーキンソン病群との間で有意差が認められ,体幹伸展度はYahrの重症度(ただし,YahrのⅣ群を除く)と負の相関を示した。すなわち,立位ではパーキンソン病患者はYahrの重症度が増すにつれで上体をそらすという動作が次第に困難になることが示唆された。
feedback
Top