本調査研究は,65歳以上の在宅高齢者を対象に,要援護高齢者対策事業6項目(機能訓練,訪問指導,家庭奉仕員派遣事業,デイサービス事業,ショートステイ事業,老人日常生活用具等給付事業)の認知状況と人口学的要因,社会構造的要因,健康的要因の関連性の検討を目的とした。調査地域は,北海道「石狩・空知・後志保健福祉圏」とし,調査対象は,層化多段無作為抽出法により65歳以上の高齢者2,200名を抽出した。調査は調査員による留置法によって実施した。調査票が回収できた1,611名(73.2%)の中から,投入したすべての変数に回答がなされ,自記人となっていた934名の資料を分析した。統計解析には,主成分分析,一元配置分散分析,多重分類分析を用いた。その結果,要援護高齢者対策事業に対する高齢者の認知の程度が,性,教育歴,地域特性,活動能力に関連していることが示された。以上のことから,従来の行政広報誌にみられる周知型の情報提供のみならず,高齢者の特性に対応した情報体系の構築が必要なことが示唆された。
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