理学療法学
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26 巻, 4 号
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1997年度研究助成論文
  • 嶋田 智明, 有馬 慶美, 池田 亨, 稲員 恵美, 奥村 直之, 岸川 典明, 小山 樹, 杉元 雅晴, 高浜 照, 田上 光男, 武政 ...
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 4 号 p. 141-142
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
  • ―最大呼気流速と関連因子の考察―
    三浦 利彦, 石川 悠加, 石川 朗
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 4 号 p. 143-148
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    今回,私達はDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)患者において,自然咳嗽時と介助咳嗽時における最大呼気流速(peak cough flow: PCF)と,肺活量(VC),最大強制吸気量(MIC),最大吸気圧(PImax),最大呼気圧(PEmax),脊柱変形との関係を検討した。対象は,気管切開をしていないDMD52例とし,このうち23例が非侵襲的陽圧人工呼吸(NPPV)を使用していた。自然咳嗽のPCFは,%VCとの相関が高かった。PCFは,MICを得た後,下部胸郭に呼気介助を加えることにより,著明に増加した。介助咳嗽時のPCFは,MICと最も高い相関を認めた。脊柱変形と呼気機能との関連については,PCFは前後彎,側彎がほとんど無い患者群で,自然咳嗽時のPCF及び介助咳嗽時のPCFともに最も高かった。自然咳嗽時のPCFと呼吸筋力の関係では,PImaxとPEmax共に,有意な相関を認めた。介助咳嗽時のPCFは,PImaxとのみ相関を認め,PEmaxとは相関を認めなかった。
  • 弓削 類
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 4 号 p. 149-150
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    【目的】機械的刺激に対する細胞応答の研究報告は少なく,今のところ細胞レベルでの機械刺激受容機構の解明までには至っていない。本研究では,培養筋菌芽細胞内に磁性体を直接導入し,磁場により細胞を伸展する実験デザインを開発し,細胞にmechanical stretchを発生させ,細胞化学的変化を観察した。
    【方法】筋芽細胞L6の細胞内にDNA導入装置を使って磁性体(magnetic microparticle : 直径0.05μm)を導入した。磁場の発生装置を試作してCO2インキュベーターに入れ,培養皿中の細胞に磁束密度0.01,0.03,0.05Tの磁場をかけ,mechanical stretchと磁場が細胞形態,細胞骨格,細胞増殖及び分化に及ぼす影響を経時的に観察した。
    【結果と考察】1)磁性体を導入し磁場をかけて細胞を伸展した群では,細胞が長軸方向に伸びてstress fiber(細胞に加わった張力に反応して形成され,張力がなくなると消失するactionからなる線維)を形成する等の形態的変化を示した。細胞伸展刺激下では,細胞が伸展されることにより細胞間マトリックスの形成が促進して,接触点(細胞が細胞外基質と接触する部位)からの張力を支える細胞骨格の構造を強化するためにstress fiberが発現するのかも知れない。2)また,同群では培養開始2日後から細胞のコロニーが出現し,10日後に筋芽細胞から分化した最初の筋管細胞が出現した。対照群(磁性体・磁場とも無し,磁性体のみ,磁場のみ)では,3日後から細胞のコロニーが出現し,15日後に筋管細胞が出現した。このことからmechanical stretchにより筋細胞の分化誘導が早まる可能性が考えられた。
  • 貞森 エリ子, 金子 断行, 山口 明, 佐々木 征行, 平野 悟, 高嶋 幸男, 吉野 克樹
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 4 号 p. 151-157
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,成人の肺機能メカニクスの評価法として用いられている食道・胃内圧測定法を呼吸障害を呈する重症心身障害児(者)に適用し,換気力学的観点から呼吸障害を客観的定量的に評価することと,呼吸理学療法が呼吸状態を改善させる機構を明らかにすることである。呼吸障害を呈する重症心身障害児(者)8名において,食道・胃内圧,経皮ガス分圧,パルスオキシメータによる酸素飽和度および脈拍を連続的にモニターし,呼吸介助手技を2~4分間施工した。手技5分後に,安静呼気位の食道内圧,経横隔膜圧差,経皮炭酸ガス分圧が有意に減少し,経皮酸素分圧が有意に増加した。重症心身障害児(者)に対する呼吸理学療法が呼吸状態を改善させる機構として,手技後に胸壁の筋緊張がゆるみ胸郭の拡張性が増し,より少ない呼吸筋収縮力で有効な換気が行われることが推察された。
  • 前野 里恵, 栗山 信江, 藤谷 尚子, 水落 和也
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 4 号 p. 158-162
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    健常な女性高齢者14名を対象に(平均62.9歳)水中トレッドミル歩行時における水位の差異が呼吸循環器系に及ぼす影響について陸上トレッドミル歩行と比較検討した。方法は同一被検者が時速2.5kmの一定運動負荷で,水温33℃,水位を臍部(臍群)及び剣状突起部(剣状突起群)に設定した水中トレッドミル歩行と陸上トレッドミル歩行(陸上群)の3種類を各10分間ランダムに施工した。その結果,心拍数は3群全て最大心拍数の60%,自覚的運動強度は11点に位置し,3群間に有意な差は認められなかった。酸素摂取量は剣状突起群が陸上群と臍群に対して有意に低かった(p < 0.05)。運動前後の血圧の比較は,剣状突起群の収縮期血圧だけ有意に高かった(p < 0.05)。高齢者の剣状突起に設定した水中トレッドミル歩行は,他2群と比較して浮力が運動エネルギーに効率的な作用をするため,運動強度は軽度であることが判明した。さらに,運動強度の設定は,心拍数より酸素摂取量で判断する方が望ましいと考えられた。
報告
  • ―学習動機の形態及び学業成績との関連性―
    敷地 雄一, 宮本 省三, 森岡 周, 小野 美紀, 板場 英行
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 4 号 p. 163-167
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    理学療法学科学生の学習動機を明らかにするため,理学療法学科学生77名(2年次学生36名,1年次学生41名)の学習動機を自作の評価表を用い,アンケート調査を行った。理学療法学科学生の学習動機は,実用志向,賞志向,充実志向が高い傾向が示された。また,得られた学習動機の結果からクラスター分析を行い,全体を4群に分類し,学業成績との比較検定を行った。検定には一元配置分散分析,多重比較検定を用いた。4群間で学業成績が有意に高得点を示した群では,全体的に高い動機形態を示し,また,多発的な動機(罰志向)に拠らない,内発的な動機形態を示した。以上より,「生涯学習」という観点のみでなく,学業成績という学習結果に関しても内発的動機の重要性が示唆された。
短報
  • 佐藤 滋, 鎌田 潤也, 上嶋 健治, 斎藤 花織, 斎藤 雅彦, 小林 昇, 荒川 直志, 川副 浩平, 平盛 勝彦
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 4 号 p. 168-170
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    心疾患患者における運動制限因子を明らかにすることを目的に,最大換気量(MVV)と運動時の自覚症状の関係を検討した。対象は心疾患患者37例(男性25例,女性12例)である。対象の心肺運動負荷試験における最大運動時のdyspnea indexを求め,0.5未満のA群と0.5以上のB群に分けた。また運動終了時にはBorg指数を下肢疲労と呼吸困難とにわけて聴取した。その結果,両群で年齢,身長,体重,peak VO2,仕事量,最大酸素脈に有意差はなかった。しかしB群では運動終了時に呼吸困難感が下肢疲労感より強かった症例がA群に比し高頻度であった。またA群およびB群のMVVと%MVVは,おのおの100.9 ± 29.6 l/minと76.1 ± 17.9 l/minおよび118.2 ± 27.4%と93.6 ± 17.6%でいずれもB群で有意に低値であった。すなわち心疾患患者のMVVや%MVVの低下が心不全患者の呼吸困難感を増強させ運動耐容能の低下の原因になり得ることを示した。
症例研究
  • ―人工呼吸器管理を要した頚髄損傷2症例―
    土田 真司, 手塚 昌男, 原田 卓志, 嶋先 晃, 土田 正勝
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 4 号 p. 171-177
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    我々は頚髄損傷後に,無気肺,肺炎を生じた為,人工呼吸器管理を要した2症例に対し呼吸理学療法を約1~2ヶ月間施工した。そして,呼吸理学療法施行による効果を,リアルタイムに変化する呼吸音を聴診上にて,また,胸部レントゲン写真での改善として確認することができた。さらに,呼吸理学療法施行中,気管内で痰がどのように移動するかを気管支ファイバースコープで撮らえることに成功した。呼吸介助手技施行中の映像より確認できたこととして,痰は空気の流れと共に①吸気時にはやや末梢側に移動した。②次の呼気時にはより中枢側に移動した。③呼吸介助施工後には多量の痰の排出を見た。等が挙げられる。このことにより,痰の移動には重力だけでなく,換気の改善が必要不可欠であることが示唆された。この点において,我々が用いた呼吸介助手技は効果的であり,換気障害を伴う様々な呼吸障害の症例に適応できると考えられた。
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