理学療法学
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28 巻, 7 号
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2000年度研究助成論文
  • 嶋田 智明, 有馬 慶美, 池田 亨, 稲員 恵美, 奥村 直之, 岸川 典明, 小山 樹, 杉元 雅晴, 高浜 照, 田上 光男, 武政 ...
    原稿種別: 本文
    2001 年 28 巻 7 号 p. 293-294
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
  • ―解剖・運動学的特性―
    松永 秀俊, 宮本 秀臣
    原稿種別: 本文
    2001 年 28 巻 7 号 p. 295-301
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    脊椎では,屈伸・側屈・回旋の組み合わせが可動性に様々な影響を与えている。このことは徒手療法にも利用され,手技を決定する一要因となっている。この研究の目的は基本的な三方向への動きを組み合わせることで起こる脊椎の回旋可動域の変化を把握し,その原因について検討することである。対象者は全例男性で健常者30名,脊椎に何らかの問題を抱えている者(以下,体幹機能障害者)10名の計40名とした。彼らの第1,5,9胸椎棘突起および第1,5腰椎棘突起にマーカーを付け,体幹屈曲または伸展に右側屈を加えた肢位から左右への回旋を行った場合の棘突起の動きを求めた。その結果,それぞれの脊椎に於ける肢位別の可動性を示すことができた。これにより,脊椎が屈曲・右側屈位にある場合と伸展・右側屈位にある場合では左右回旋の可動域に違いを生じ,その原因は複雑な関節面にあることが理解できた。また,健常者と体幹機能障害者の比較では有意差を認めた部位があり,今後の課題が示唆された。
  • 前田 貴司, 岩佐 聖彦, 荻野 美佐, 志波 直人, 松尾 重明, 田川 善彦
    原稿種別: 本文
    2001 年 28 巻 7 号 p. 302-306
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    肩内外旋筋の筋力増強訓練の指標を考えるため,MRIを用いて内外旋筋の活動状態を2つの肢位にて観察した。対象は健常男性9名。方法は右肩内外旋筋力を第一及び第二肢位にて測定後,最大筋力の50%の負荷にて2つの肢位で内外旋運動を行い,その直後にMRIを撮像した。また安静時のMRIも撮像した。MRI画像より肩甲下筋と棘下筋を同定しROIを設定した。ROIの値からT2値を算出し,安静時に対する各運動後の増加率を求め比較した。結果は,内外旋の筋トルクは2つの肢位で有意差はなかった。肩甲下筋の活動状態は,第一肢位が有意に大きくなった。棘下筋の活動状態は2つの肢位で有意差はなかった。内外旋運動による腱板の筋力増強訓練は,第二肢位より第一肢位の方が良いと考えられた。また,針筋電図を用いた評価と同様な緒果となり,MRIを用いた筋活動評価は,非侵襲的等の利点が考えられ,有用な評価法であると考えられた。
  • ―ファントム(疑似生体組織)を使用して―
    大渡 昭彦, 中野 栄子
    原稿種別: 本文
    2001 年 28 巻 7 号 p. 307-312
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,ファントムにより超音波照射時の全体的な温度分布の変化を経時的にサーモグラフィーで観察することにある。異なる大きさの金属や骨をファントムに挿入した場合の経時的な温度分布について検証を試みた。何も挿入されていない場合の温度分布は,過去の研究で述べられている内容を支持するものであり,サーモグラフィーにより視覚的に再確認できると同時に本研究方法の妥当性も示唆している。金属を挿入した場合は反射や干渉以外に回折の様子もサーモグラフィーにより観察でき,金属挿人部への超音波使用時には挿入物の大きさ,周波数,距離,収束率についても考慮する必要性が示唆された。骨を挿入した場合は金属挿入時と明らかに異なる変化を示し,更なる検討の必要性が考えられた。
  • 木藤 伸宏, 井原 秀俊, 三輪 恵, 神谷 秀樹, 島沢 真一, 馬場 八千代, 田口 直彦
    原稿種別: 本文
    2001 年 28 巻 7 号 p. 313-319
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    この研究では足指機能を定量的に測定する評価機器(足指把握力測定機器・足指運動機能測定機器)を開発し,測定機器の再現性を検討した。また,高齢者168名を対象として足指機能と身体運動能力(握力,膝伸展筋力,10m歩行時間,静止立位時の足圧中心動揺,動的バランス)との関連性を検討した。さらに転倒予防としての足指トレーニングの有用性を検討した。評価機器の再現性は同一被験者(n = 27名)に日時を変えて測定を2回行い,検討した。168名を過去の転倒既往より転倒群と非転倒群に分け足指把握力・足指運動機能の比較検討を行った。さらに転倒予防としての足指トレーニングの妥当性を検討するためにトレーニング群(n = 23名)とコントロール群(n = 15名)に分け効果の比較検討を行った。トレーニング群は足指機能訓練機器【くりりん君】を用い,8週間のトレーニングを実施した。結果は以下の通りであった。1)我々が作製した足指把握力測定機器・足指運動機能測定機器は再現性が高く足指機能を客観的に評価する信頼性のある測定機器である。2)転倒群では非転倒群と比較して足指把握力が有意に劣っていた。3)足指把握力は,握力,足指運動機能,膝伸展筋力,動的バランス,10m歩行時間との相関が認められた。足指運動機能では握力,足指把握力,動的バランス,膝伸展筋力,10m歩行時間との相関が認められた。4)訓練群では動的バランス,膝伸展筋力の向上が認められたが,コントロール群では認められなかった。足指機能は身体運動機能や転倒との関連性から重要な機能である。また,足指機能訓練は自主訓練として簡単に取り組め,転倒予防として有効なトレーニンクであることが示峻された。
2000年度指定研究論文
  • 斎藤 花織, 荒川 直志, 上嶋 健治, 佐藤 滋, 外久保 恵美, 小林 昇, 鎌田 潤也, 川副 浩平, 平盛 勝彦
    原稿種別: 本文
    2001 年 28 巻 7 号 p. 320-324
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本研究では心臓外科手術前後の高齢者と若年者の運動耐容能などの差異を検討した。待機的に心臓外科手術を施行した35症例を65歳以上の高齢者(以下E群)と65歳未満の若年者(以下C群)の2群にわけ,運動耐容能と呼吸機能および下肢筋力を経時的に評価した。その緒果,E群ではC群に比較して術前より有意に運動耐容能が低かった。また嫌気性代謝閾値での酸素摂取量(以下AT VO2)はC群で術後に一時的に低下した後改善し,最高酸素摂取量(以下Peak VO2)は両群で術後に一時的に低下した後,退院時には改善した。肺活量(以下VC)は,両群ともに術後に有意に低下したものの,退院時には有意に改善した。1秒量(以下FEV1.0)はE群では術前術後を通しC群に比し低値のままであったが,C群では術後に低下した後若干の改善傾向を認めた。また筋力はC群では術後有意に低下したが退院時には改善した。しかしE群では術後に低下するものの,退院時にも改善は見られなかった。もともと筋力の低下した高齢者では,QOL(Quality Of Life)を改善する目的で筋力トレーニングが重要と考えられた。今後,高齢心疾患患者が増加する事につれ本来の活動能力の低下や合併症を持つ高齢患者への心臓リハビリテーションを普及させる事により,より早期の社会復帰に努めるべきと考えられた。
報告
  • 森岡 周
    原稿種別: 本文
    2001 年 28 巻 7 号 p. 325-328
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,幼児期から学童期における子どもの片脚立位時間の発達過程が線形変化であるか,非線形変化であるかを明らかにすることである。対象は18ヵ月から128ヵ月までの健康な子ども231名である。開眼時および閉眼時の2条件で片脚立位時間を計測した。回帰分析を用いて月齢と片脚立位時間の関係を一次関数式,二次関数式,指数関数式,ロジスティック関数式に表し,決定係数から適合性を判断した。結果から,開眼時および閉眼時片脚立位時間ともに,一次関数よりも二次関数,指数関数,ロジスティック関数の係数が高かった。特に,指数関数,ロジスティック関数が高い係数を示したが,開眼時の値においては月齢幅を成人までひろげるとロジスティック関数の適合性が高くなることが推察された。本研究結果から,子どもの片脚立位保持の発達過程は線形変化ではなく,非線形変化であることが示唆された。
  • 立石 圭祐, 山田 純生, 大森 豊, 小林 亨, 森尾 裕志, 青木 治人
    原稿種別: 本文
    2001 年 28 巻 7 号 p. 329-331
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,新しく開発されたペダル駆動型等速性運動機器であるストレングスエルゴ(StrengthErgo240,SE240)の筋力測定における信頼性を検討することである。SE240は等速性運動が可能なトレーニング機器であるのに加え,脚伸展筋力が測定可能な機器として開発されたものである。対象は骨関節疾患の既往がない男性9名(18脚)とした。測定は60回転/分,80回転/分の異なった速度にて脚伸展ピークトルク値及び最高仕事量を測定した。初回則定後5日目に再則定を行い各測定値の検者内信頼性を求めた。統計学的分析には級内相関係数を用いた。結果,脚伸展ピークトルク値,最高仕事量の級内相関係数は,それぞれ60回転/分で0.93,0.91,80回転/分で0.98,0.96であった。SE240は脚伸展筋力測定において極めて高い信煩性を示した。よってSE240は,臨床における測定機器としての活用が十分可能であることが示唆された。
  • 矢野 秀典, 稲村 厚志, 渡辺 留美子, 阿川 恵美, 吉水 信裕, 箱木 北斗
    原稿種別: 本文
    2001 年 28 巻 7 号 p. 332-337
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本研究は理学療法士(PT)の膝関節可動域(ROM)訓練における徒手的負荷量の定量化の可能性を探ることを目的とした。測定には我々の開発した膝関節用反力測定装置を用い,他動的膝屈曲訓練時の膝関節への負荷トルク値,膝関節屈曲ROMを測定し,負荷トルク-時間曲線,膝関節屈曲ROM-時間曲線,負荷トルク-膝関節屈曲ROM曲線を検討した。他に,痛みの程度,PTが感じた屈曲時の関節の硬さを測定した。対象は,膝関節にROM制限を有する45例とした。負荷トルク値,負荷トルク-時間曲線,膝関節屈曲ROM-時間曲線,負荷トルク-膝関節屈曲ROM曲線は症例および操作したPTによらず,類似の経時的変化を示した。負荷トルク値に影響を及ぼす因子としては,最大膝関節屈曲ROM値,PTが感じ取る関節の硬さ,ペインスケール,経過日数が強く関与していた。最大負荷トルク値は測定開始時が16.5Nm,全可動域を獲得した終了時は57.4Nmであった。これらの負荷トルク値の定量化により,理学療法士の他動的ROM訓練の技術を有する新たなROM訓練装置開発の可能性が示唆された。
  • 小林 亨, 山田 純生, 大森 豊, 立石 圭祐, 森尾 裕志, 青木 治人
    原稿種別: 本文
    2001 年 28 巻 7 号 p. 338-342
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は,新開発されたペダル駆動型の等速性筋力測定器(StrengthErgo β; SE-β)と従来より用いられてきた等速性筋力測定器(BIODEX 2AP)の測定筋力の関連性を調べることである。対象は20代の健常女性10名20脚である。SE-βは安定した坐位姿勢で下肢の複数の筋群が関与する複合関節運動(脚伸展筋力)を測定できるという特徴を持つ。SE-βでは脚伸展ピークトルクを60と80回転/分で,BIODEX 2APでは膝仲展ピークトルクを60,180,300度/秒でそれぞれ測定し,体重で除したピークトルク体重比を用いてピアソンの相関係数を求めた。その結果r = 0.753〜0.896(p < 0.001)の有意な正相関が得られたことより,測定形態は異なるものの,SE-βでの測定トルク値は膝伸展筋力を大きく反映するものと思われた。今後は臨床応用にむけて筋力測定における測定肢位や回転数による相違などの検討が必要である。
  • ―脳血管障害患者の膝へ与える影響―
    瀬戸口 佳史, 山下 貴幸, 重水 久美子, 新名主 宏一, 松本 秀也, 大勝 洋祐, 山下 則夫, 北 義一
    原稿種別: 本文
    2001 年 28 巻 7 号 p. 343-347
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    脳血管障害片麻痺患者に対する短下肢装具として,我々は従来のRIE-ストラップにプラスチックの芯材を取り入れて改良を加えたModified RIE-strap(MR)を考案し,裸足歩行時にロッキングまたはスナッピングが観察される者11例を対象として,装具による膝の屈曲誘導と伸展制動の効果を判定した。MRは靴べら式短下肢装具ほどではないが,立脚初期に膝を前方に押し出す屈曲誘導作用や立脚中期から後期にかけて衝撃的な膝伸展を抑制する伸展制動作用があることが確認された。外観・装着感が良く,軽量で現在履いている靴をそのまま使用できるなどの利点から本装具は障害者のニーズに応えるための一装具として有用であると考えられた。
  • 齋藤 圭介, 原田 和宏, 津田 陽一郎, 香川 幸次郎, 中嶋 和夫, 高尾 芳樹
    原稿種別: 本文
    2001 年 28 巻 7 号 p. 348-355
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本調査研究は,慢性期脳卒中患者において,障害が抑うつ状態を引き起こす心理的プロセスの解明をねらいとして,ストレス・コーピングと抑うつ状態との関係について検討することを目的とした。調査対象は,岡山県K市内の医療施設ならびに同市が開催している機能訓練事業を利用する在宅脳卒中患者807名とし,面接調査法により調査を突施した。障害が抑うつ状態を引き起こす心理的プロセスを,Lazarusらの「ストレス認知理論」の概念枠組みを基礎に整理し,障害,コーピング,抑うつ状態,そして主観的QOLに関する多重回帰モデルを構築し,その適合度と変数間の関連を検討した。障害とコーピングは,著者らが提起した「拡大ADL尺度」8項目版ならびにコーピング尺度を用い,抑うつ状態は「Geriatric depression Scale短縮版」,主観的QOLは「心理的QOL指標」を用い測定した。統計解析の結果,前記モデルは標本に対して統計的な許容水準を満たす適合度を示すと共に,障害が抑うつ状態を高め,同時に調整コーピングが抑うつ状態を低下させる関係にあることが示された。さらにコーピングのストレス緩衝効果について共分散分析を用い検討した結果,調整コーピングは抑うつ状態に対して障害と共に統計的に有意な交互作用を有することが確認された。これらの事から,脳卒中患者に関して,障害と抑うつ状態との間にストレス認知理論で想定されている心理的プロセスが存在する可能性が示唆された。
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