理学療法学
Online ISSN : 2189-602X
Print ISSN : 0289-3770
ISSN-L : 0289-3770
29 巻, 6 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
2001年度研究助成論文
  • 嶋田 智明, 有馬 慶美, 池田 亨, 稲員 恵美, 奥村 直之, 岸川 典明, 小山 樹, 杉元 雅晴, 高浜 照, 田上 光男, 武政 ...
    原稿種別: 本文
    2002 年 29 巻 6 号 p. 169-170
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
  • -長期間の電気刺激による刺激強度と筋出力の変化-
    岩佐 聖彦, 前田 貴司, 広田 桂介, 岩崎 敏展, 柳 東次郎, 梅津 祐一, 志波 直人, 松尾 重明, 田川 善彦, 山本 敏泰, ...
    原稿種別: 本文
    2002 年 29 巻 6 号 p. 171-177
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    我々は関節運動中に拮抗筋を電気刺激する事により得られる筋収縮を主動筋の抵抗として利用する筋力増強法を考案した。この筋力増強法は従来の錘やバネなどの外部抵抗に代わり,自身の電気刺激による拮抗筋力を運動抵抗と捉えたものである。この方法を用いる事により,主動筋は随意性の求心性収縮を起こし,拮抗筋は電気刺激を受けながら遠心性収縮起こすため双方が同時に収縮する。今回,長期間の電気刺激を行う事で下肢の刺激強度がどのように変化するか,それにより得られる筋出力がどのように変化するか検討した。対象は健常男性7名(14肢)とし,左右の大腿四頭筋(大腿直筋と内側広筋,外側広筋各1極)とハムストリングス(内側ハムストリング,外側ハムストリングへ各1極)に対して電気刺激を行った。刺激条件は搬送周波数5,000Hz,刺激周波数20Hz,刺激強度は最大耐用電圧とし6週間電気刺激を行った。その時の閾値,最大耐用電圧,電流を計測,また最大耐用電圧にて得られる筋出力を刺激開始前,刺激開始3週経過後,刺激終了時,刺激終了4週経過後に計測し比較した。結果として4極とも刺激期間とともに刺激強度は増加した(p<0.05)。これにより得られる筋出力では,大腿四頭筋は増加した(p<0.05)がハムストリングスは増加しなかった。また,求心性収縮と遠心性収縮の比較では遠心性収縮が30〜50%高い値を示した(p<0.001)。
  • ー筋線維タイプと筋電図パワースペクトルとの関係ー
    加藤 浩, 神宮司 誠也, 高杉 紳一郎, 岩本 幸英, 吉村 理, 新小田 幸一
    原稿種別: 本文
    2002 年 29 巻 6 号 p. 178-184
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,股関節疾患患者の中殿筋を対象に,従来の静的表面筋電図周波数解析に加え,新たに歩行時の動的表面筋電図周波数解析を行い,その結果を筋組織学的レベルから検証することである。当院で手術を受けた股関節疾患患者11症例を対象とした。手術直前に100・50%MVCにおける等尺性股関節外転運動を行わせ,中殿筋筋腹部を電極部位とした静的な表面筋電図測定を行った。又,10m自由歩行を行わせ,動的な表面筋電図測定を行った。そして,wavelet変換を用いた静的・動的表面筋電図周波数解析を行った。手術中に中殿筋筋生検を行いATPase染色による筋線維のタイプ分類(typeI及びtypeII)を行った。さらに画像解析ソフトによる筋線維横断面の形態計測を行った。50%MVC時のパワースペクトルとtypeII線維数の間には,正の相関が認められた。また,歩行時の立脚期初期のパワースペクトル変化は,typeII線維の線維径とtypeII線維横断面の総面積比率が関与していた。wavelet変換を用いた静的・動的周波数解析は,筋線維組成比やtypeII線維の萎縮といった組織学特徴を推測する有効な手段になりうるものと思われた。
  • ー下り勾配のトレッドミルを用いてー
    木山 良二, 大重 匡, 前田 哲男, 佐々木 順一, 森本 典夫, 安楽 満男
    原稿種別: 本文
    2002 年 29 巻 6 号 p. 185-191
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,下り勾配歩行の勾配角度による影響を明確にすることである。健常男性19名を対象に,トレッドミルを用いて平地歩行と勾配角度4°,8°,10°の下り勾配歩行を測定し,比較した。測定項目は,関節角度,床反力,筋活動とした。その結果,各項目ともに勾配角度により影響がみられた。下り勾配歩行では重力により前下方への力が生じる。そのため下り勾配歩行では,平地歩行に比べ,身体を前方に推進する力よりも,重心を後上方へ制動する力が必要となる。このことが,下り勾配歩行を特徴づけていると考えられた。また膝関節の安定性に寄与するとされる半腱様筋の筋活動は,勾配4,8°の下り勾配歩行では平地歩行よりも低下し,勾配10°では筋活動が増加する傾向を示した。このことより,下り勾配歩行は勾配角度により運動制御の仕様が異なることが示唆された。
  • ー先行オーガナイザーを用いた検証ー
    杉原 敏道, 平林 弦大, 郷 貴大, 小川 恵一
    原稿種別: 本文
    2002 年 29 巻 6 号 p. 192-198
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    スキーマとは構造化された一群の概念から成り立つ知識のことで,問題解決過程において果たす役割りは大きい。本研究では,診断名により呼び起こされたスキーマが情報(先行オーガナイザー)を付加することによりどのように変化するのか,スキーマの構成要素である変数(量)およびフレーム(質)と,フレームの呼び起こしを指標に,理学療法学生,新人理学療法士および熟達理学療法士で比較を行い,理学療法士における問題解決スキーマの発達過程について検討した。その結果,熟達していくにつれ変数は増大し,呼び起こされるフレームおよびフレーム構成もより質が高くなることが明らかとなった。また,変数の増大とフレームの構成の質的向上がほぼ同時期に見られたことから,理学療法士の問題解決スキーマは直線的ではなく,らせん的に発達するものと推測された。これらの発達は,変数の増大ならびに質的向上が他の発達要素より先行して起こると推測されたことから,問題解決能力を育成するには知識獲得を優先に行い,獲得された知識が多面性を持つような教授方略を行う必要があると考えられた。しかし,問題解決能力の発達には情意的側面の関与も重要であり,今後はこれらを含めた検討が必要であると考えられた。
  • 玉利 光太郎
    原稿種別: 本文
    2002 年 29 巻 6 号 p. 199-
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    下肢の捻転・回旋角度と変形性膝関節症および付随する膝内反・外反変形との間の関連が過去に研究されてきたが,両者の関連はいまだ不明である。もし両者に関連があるとすれば,膝内反・外反変形の性差が存在することから,下肢捻転・回旋角度にも性差が存在する必要がある。しかし下肢捻転・回旋角度の性差を検討した研究は少ない。本研究では,1)下肢捻転・回旋角度の性差,年齢差,2)下肢捻転・回旋角度と大腿脛骨角との間の相関,を検討することを目的とした。対象は,健常日本人男女性144人(若年群,中年群,老年群)であった。信頼性のある臨床的大腿骨・脛骨捻転角度計測法,および股関節・膝関節回旋角度計測法により,下肢捻転・回旋角度の計測を,デジタル傾斜計を用いて行った。統計は二元配置分散分析,ピアソン相関分析を用いた。分析の結果,下肢捻転・回旋角度に有意な性差が存在した(p<0.05)。また股関節回旋では有意な年齢差も確認された(p<0.05)。老年男性群と若年女性群において,大腿脛骨角と股・膝関節回旋との間に有意な相関を認めた(p<0.05)。本研究より,下肢捻転・回旋角度と変形性膝関節症および付随する膝内反・外反変形との間の関連が示唆された。
総説
  • :研究成績とその方法論
    原田 和宏, 齋藤 圭介, 香川 幸次郎, 中嶋 和夫, 奈良 勲
    原稿種別: 本文
    2002 年 29 巻 6 号 p. 200-208
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    脳卒中の研究は近年,機能回復だけではなく,回復期を過ぎた生存者の機能予後への関心が高まっている。本稿の目的は脳卒中の長期機能予後に関する研究成績とその方法論を把握することであった。一般化可能性の高い業績を集めるために,一定地域内で脳卒中を発症した住民を洩れなく対象とした前向き研究で,発症後1年以降の予後成績を有する資料を国内外から選定した。それらの成績をまとめた結果,発症後1年以降では生存者の3〜4割がADLに介助を要することが報告され,機能予後は対象集団全体における障害分布の特徴として理解されてきたことが明らかとなった。また,長期機能予後に関与する要因は発症時年齢,病型および合併症,発症初期の意識障害と運動機能障害,そして高次脳機能と知的能力障害に集約できた。一方,研究方法論に関してみると,ADL能力の時系列変化に基づく分析はなされていないことが明らかになった。予後要因の同定は最終観察時点のADL水準と時間的に先行する発症初期の諸要因との関連に基づくもので,各要因とADL予後との因果関係の真偽を推論する工夫はみられなかった。今後の研究課題は(1)ADL能力の時間的変化の様相に関する検討,(2)年齢など交絡因子をあらかじめ補正した解析モデルの検討,(3)リハビリテーション専門諸家が介入可能な予後予測因子の探索と考えられた。
報告
  • 岡田 誠, 才藤 栄一, 大塚 圭, 櫻井 宏明, 武田 斉子, 寺西 利生, 鈴木 由佳理, 岡西 哲夫, 寺尾 研二, 加賀 順子, 金 ...
    原稿種別: 本文
    2002 年 29 巻 6 号 p. 209-217
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    現在,トレッドミル歩行は,省スペースで連続歩行が可能であるいう理由から,片麻痺患者や脊髄損傷患者などに多く利用されている評価・練習方法である。本研究の目的は,トレッドミル歩行における臨床的応用の予備的検討として,トレッドミル歩行と平地歩行の比較を運動力学的因子,特に床反力に着目して検討することにある。健常成人28名に対し,主観的な判断として「遅い」,「快適」,「速い」の3速度で平地歩行時とトレッドミル歩行時の床反力(垂直分力,前後分力,左右分力)を計測した。両歩行の床反力波形の類似性は,3分力ともに類似性の高い結果となった(r=0,76〜0,95)。床反力波形のピーク値の比較では,垂直分力第3ピーク値と前後分力第1ピーク値において3速度ともトレッドミル歩行の方が有意に低い値を示した(p<0.01)。これらの結果から,トレッドミル歩行と平地歩行には,相違点がいくつか認められたものの,床反力波形の全体としての類似性は高く,事前の予備練習や歩行速度の調整を行い環境的要因のことを考慮した上でトレッドミルを用いれば,有用な代替的手法になると考えられた。
  • 原 和彦, 細田 昌孝, 磯崎 弘司, 井上 和久, 田口 孝行, 久保田 章仁, 西原 賢, 丸岡 弘, 細田 多穂, 野本 彰, 葛山 ...
    原稿種別: 本文
    2002 年 29 巻 6 号 p. 218-224
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本研究は現有する多種多様な義足足部の特性を明らかにし,足部性能の客観評価指標について検討するとともに,足部の開発に関する基礎的検討を行うことを目的とする。対象は従来型足部6種類とエネルギ蓄積(ES;energy storing)型足部16種類の計22種類である。方法は材料試験機INSTRON1185に6分力計(pylon load cell;PLC)を取り付けて足部に対する荷重試験を行い,荷重と変位の履歴(ヒステリシス)から得た足部の各エネルギ(蓄積,放出,吸収エネルギ)とPLCから得られる足関節周りのモーメント(以下;足部モーメントと略す)を比較した。その結果,走行などのパフォーマンスの高いES型足部(RE-Flex VSP,Flex Foot WalkII)の放出エネルギは中等度であったが,底屈方向の足部モーメントは大きかった。このことは,足部エネルギに比べて足部モーメントのほうが踏切期の足部駆動性能との関係が深いことを示唆していた。足部モーメント計測を可能とするPLCを応用した静的足部材料特性評価は動的な足部性能を予測する上で有用な評価方法であると考えられた。また今後の研究課題として,さらに6分力計を応用した動的な歩行分析を行い,足部の違いが歩行におよぼす影響について明らかにすることが必要になると考えられた。
  • 建内 宏重, 市橋 則明, 大畑 光司, 楞田 眞弘, 大野 博司, 八幡 元清, 秋本 喜英, 山口 淳
    原稿種別: 本文
    2002 年 29 巻 6 号 p. 225-229
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,T字杖への荷重量と片脚立位時の安定性,および下肢筋活動との関係を明確にすることである。対象は健常成人10名とした。測定条件は、杖なし片脚立位(W_0)と杖への荷重量を100g未満(W_S),体重の10%(W_10),20%(W_20)とした場合の4項目とし,重心動揺(左右方向軌跡長,前後方向軌跡長,実効値面積)と筋活動(中殿筋、長腓骨筋、前脛骨筋、腓腹筋内側頭)の測定を同時におこなった。その結果,左右方向軌跡長はW_S,W_10とW_20においてW_0より有意に減少した。前後方向軌跡長はW_S,W_10においてW_0より有意に減少し、W_20においてW_S,W_10より有意に増加した。中殿筋筋活動は杖への荷重量の増加にともない減少したが、W_0とW_Sとの間では変化を示さなかった。長腓骨筋筋活動はW_S,W_10とW_20においてW_0より有意に減少した。これらの結果から、T字杖への荷重はわずかでもバランスの改善には有効であることや,強く荷重すると中殿筋の補助として効果的であることなどが示唆された。
  • 高橋 哲也, 石川 朗, 神津 玲, 桜田 弘治, 嶋先 晃, 千住 秀明, 眞渕 敏
    原稿種別: 本文
    2002 年 29 巻 6 号 p. 230-236
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    理学療法士がどの程度,またどのように人工呼吸管理に関与しているかを明らかにするために,全国470施設を対象に,人工呼吸器装着中の呼吸理学療法(Chest Physiotherapy for patients withmechanical ventilation; CPT-MV)に関するアンケート調査を行い,272施設から回答を得た(回収率57.9%)。そのうち,CPT-MVを行っていると答えた施設は176施設(64.7%)であった。CPT-MVを行う際に最もよく用いる手技としては呼吸介助法,スクイーズィング,四肢の関節可動域練習・筋力増強練習の順に多かった。過去1年間でCPT-MV中に人工呼吸器関連のトラブルがあったと答えた施設は104施設(59.1%)で,その内訳は,ファイティング,気道への結露流入,気道内圧上昇の順に多かった。また,人工呼吸器関連以外のトラブルでは,筋・肋骨・脊椎の疼痛や不快感,不整脈,呼吸困難,急激な血圧変動,低酸素血症の順に多かった。それらトラブル発生時には看護師や医師への報告は高率で行なわれていた一方で,事故報告書を作成している施設はわずかであった。272施設中,CPT-MVを行っていないと答えた施設は35.3%あり,今後CPT-MVの普及のためには医学的効果の証明と,啓発,理学療法士自身の知識と技術の向上の必要性が挙げられた。
feedback
Top