理学療法学
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33 巻, 5 号
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原著
  • 原田 和宏, 佐藤 ゆかり, 齋藤 圭介, 小林 正人, 香川 幸次郎
    原稿種別: 本文
    2006 年 33 巻 5 号 p. 263-271
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,在宅で生活を続ける自立高齢者における機能低下の実態を地域ベースで把握することをねらいに,ADL(歩行,入浴,トイレ動作,食事,着替え)および活動能力(老研式活動能力指標)の自立者を1年半後に追跡し,ADLまたは活動能力障害の新規出現に対する転倒既往と閉じこもりの関与を縦断的に検討することを目的とした。調査は中国地方の某町の在宅高齢者全員を対象に2002年12月と2004年6月に行い,ADL障害の出現では1,085名,活動能力障害の出現では525名のデータを分析した。その結果,在宅で生活を続ける自立高齢者のうち1年半でADL障害は4.7%に生じ,手段的自立の障害は9.0%,知的能動性は13.3%,社会的役割は15.4%,後者3指標いずれかの活動能力障害は25.9%に生じた。また,障害の新規出現は高年齢と併せて転倒既往や閉じこもりによってその割合が高まることが認められた。自立高齢者から機能低下のハイリスク者を選定するにあたり,転倒経験や外出しようとしない閉じこもり状況を考慮することは意義があると推察される。
  • 吉川 紗智, 渡部 由香, 片岡 紀香, 片岡 英樹, 吉川 和代, 中野 治郎, 沖田 実
    原稿種別: 本文
    2006 年 33 巻 5 号 p. 272-278
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,ラットヒラメ筋の廃用性筋萎縮の進行抑制に対する低温刺激の効果を明らかにすることである。7週齢のWistar系雄ラット26匹を無作為に対照群5匹と実験群21匹に分け,7日間の後肢懸垂法(以下,HS)により,実験群のヒラメ筋に廃用性筋萎縮を惹起させた。そして,実験群の内5匹はHSのみとし(HS群),残りの16匹はHSの過程で毎日60分間,冷水浴によって後肢に低温刺激を負荷した(HS&Cold群)。なお,低温刺激の温度条件は10℃,20℃,30℃の3条件とし,HS&Cold群のラットを無作為に振り分けた(10℃,n = 6;20℃,n = 5;30℃,n = 5)。低温刺激の負荷による廃用性筋萎縮の進行抑制効果は,30℃では認められないものの,20℃ではタイプI線維のみに,10℃ではタイプI・II線維ともに認められた。また,10℃での低温刺激の負荷でヒラメ筋内の毛細血管数が増加した。以上のことから,低温刺激の負荷は廃用性筋萎縮の進行を抑制する作用があり,これは刺激温度が低いほど効果的であることが示唆された。
研究報告
  • ―肩関節可動域の改善を中心に―
    赤羽根 良和, 林 典雄, 篠田 光俊, 田中 幸彦, 細居 雅敏, 河合 真矢, 笠井 勉
    原稿種別: 本文
    2006 年 33 巻 5 号 p. 279-282
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は上腕骨大結節単独骨折の骨折形態が治療成績に影響を与えるか否かについて検討することである。対象は保存的に加療した上腕骨大結節の単独骨折20例とし,これらをX線所見より,裂離骨折群と嵌入骨折群に分類した。受傷原因は裂離骨折群で歩行中の転倒,スキー・スノーボード中の転倒が多く,嵌入骨折群はすべて歩行中の転倒であった。転位は全例軽度に認め、外固定期間及び理学療法の開始時期は両群間に有意差を認めなかった。しかし嵌入骨折群は夜間痛の発生率が高く,受傷後8週目及び12週目の肩関節可動域は上腕下垂位外旋及び結帯動作において著明な制限を有し,拘縮により治療期間が遷延した。嵌入骨折群の発生機序は,転倒の際に肩峰のエッジから受ける剪断力によって生じる縦割れ骨折である。このため受傷時に腱板及び肩峰下滑液包は損傷している可能性が高く,その後の経過で上方支持組織に癒着が生じ,頑固な夜間痛や関節可動域制限を招来したと考えられた。最終的な治療成績は両群間に差を認めなかったが,治療期間は嵌入骨折群で長期間を要することが本研究より示された。
  • ―臨床的バランス機能検査による検討―
    島田 裕之, 内山 靖, 原田 和宏, 大渕 修一, Lord Stephen, 鈴木 隆雄
    原稿種別: 本文
    2006 年 33 巻 5 号 p. 283-288
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    姿勢バランスを論理的に大別すると,静的姿勢保持,外乱負荷応答,随意運動中のバランス機能に分類できるが,検査項目間での相関及び因子構造は実証されていない。本研究では,種々の臨床的バランス検査の機能的分類を明らかにすることを目的とした。対象は通所リハビリテーションを受けている高齢者79名(平均年齢79.2 ± 5.9歳)とし,重心動揺検査,Manual Perturbation Test,Functional Reach Test,Functional Balance Scale,Performance-Oriented Mobility Assessmentを実施した。因子分析の結果,4因子のときに最適解を得た。第1因子は重心動揺検査(静的姿勢保持),第2因子はManual Perturbation Test(外乱負荷応答),第3因子はFunctional Reach Test(随意運動中のバランス機能〔支持基底面固定〕),第4因子はFunctional Balance Scale,Performance-Oriented Mobility Assessment(随意運動中のバランス機能〔支持基底面移動〕)により構成された。また,各因子を代表する検査項目は「姿勢バランス機能」とみなせる共通の潜在変数を上位概念として有することが明らかとなり,バランス検査を4因子から選択することで,総合的な機能評価につながる可能性が示唆された。
  • 有薗 信一, 小川 智也, 渡辺 文子, 寶門 玲美, 西村 正士
    原稿種別: 本文
    2006 年 33 巻 5 号 p. 289-295
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    肺葉切除術後患者における理学療法の介入頻度の違いによる効果を無作為化比較対照試験によって検討した。研究の同意を得た肺癌患者63例を手術に先立って無作為に2群に割り振った。通常の看護ケアに,理学療法士による理学療法介入を1日1回行う群を1回群とし,理学療法介入を1日3回行う群を3回群とした。当院の理学療法は,排痰,早期離床,呼吸練習などを中心に行い,手術当日から介入した。手術後1週間毎日の肺活量,酸素投与期間,歩行開始日,歩行自立日,手術後呼吸器合併症の有無を評価した。肺葉切除術を実施した症例は51例であり,1回群27例,3回群24例であった。手術後1週間毎日の肺活量,酸素投与期間,歩行開始日,歩行自立日は1回群と3回群の間に差を認めなかった。また,手術後呼吸器合併症は,1回群に膿胸1例,遷延性肺瘻1例,無気肺1例,肺炎1例の計4例であり,3回群には呼吸器合併症を認めず,2群間で有意な差を認めた。肺葉切除術後患者における多頻度の理学療法介入は,手術後呼吸器合併症を減少させるかもしれない。
症例研究
  • 田平 一行, 関川 清一, 小林 美穂, 関川 則子, 岩城 基, 河戸 誠司, 川口 浩太郎, 稲水 惇, 森田 直樹, 大成 浄志
    原稿種別: 本文
    2006 年 33 巻 5 号 p. 296-302
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    慢性閉塞性肺疾患患者の運動筋酸素消費の特徴を明らかにすることを目的に,慢性閉塞性肺疾患患者12名を対象に自重負荷および最大随意筋力の10%の負荷強度で3分間の下肢伸展運動を行った。換気と呼気ガス分析はbreath by breathでコンピュータに取り込み,局所筋酸素動態は近赤外分光法を用いて大腿四頭筋外側広筋で測定した。局所筋酸素消費は動脈血遮断時のヘモグロビン・ミオグロビン酸素較差の変化率で評価した。局所筋酸素消費は運動時増加し,全身の酸素摂取量,二酸化炭素排出量,分時換気量,1回換気量,酸素脈と関連が認められた。運動時の局所筋酸素消費と1秒率および予測1秒率との間に有意な負相関が認められたが,身体組成や運動耐容能など他の測定項目とは関連が認められなかった。これらの結果は,閉塞性換気障害の程度と運動筋の酸素利用との関係を示唆しており,運動中の組織酸素需要量を満たすための機能的な代償と考えられた。
短報
  • 辻村 康彦, 高田 直也
    原稿種別: 本文
    2006 年 33 巻 5 号 p. 303-306
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    超高齢者大腿骨頸部骨折の治療目標である,歩行自立能力の獲得や自宅退院は,身体・精神機能や社会的要因などの諸問題により困難を極めているのが現状である。そこで,当院にて治療を行った90歳以上の29例を対象に,退院時歩行能力,自宅退院率,自宅退院患者のADL能力の経時的推移につき調査し,その問題点を検討した。退院時歩行自立能力の獲得には,認知症の有無が大きな影響を与えていたが,合併症数は,ほぼ全例が複数の合併症を有していたことからそれによる影響はなかった。また,認知症に関しては,単に計画的な術後リハビリテーションの遂行が困難であることのみではなく,徘徊の危険性から患者家族の多くが,患者の積極的な歩行を望んでいないという特徴があった。また,自宅退院を困難とする原因は,歩行自立の可否よりも,超高齢者世帯における介護者自体が高齢者であることや,介護可能者数不足などの受け入れ体制の不備であった。一方,ADL自立レベルにて自宅退院した症例に対しては,家庭環境整備や外来通院での経過管理がその能力維持に有効であった。
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