理学療法学
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34 巻, 7 号
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研究報告
  • 荒尾 雅文, 木野田 典法, 潮見 泰藏
    原稿種別: 本文
    2007 年 34 巻 7 号 p. 279-285
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は脳血管障害者における多方向のリーチテストの信頼性と妥当性を検証することである。対象は脳血管障害者24名(平均年齢55.5±11.7歳)であった。リーチテストはFunctional Reach Test(以下FRT),Multi-Directional Reach Testの変法(以下MDRT)と,筆者らが考案したFour Directional Functional Reach Test(以下FFRT)を計測した。FFRTの特徴は片手で行えること,ADL上使用しやすい動作であることである。評価の信頼性の検討は級内相関係数(1.1)を用いた。再現性はいずれのテストでも高かった(ICC=0.91〜0.99)。妥当性の検討は重心動揺計を用いて,各テスト実施中の重心移動範囲を測定した。また歩行能力の指標としてTimed Up and Go Test(以下TUG),歩行自立度(屋外歩行自立群・屋内歩行自立群)を評価した。結果は重心移動範囲との相関はFRTがr=0.78,MDRTの各方向がr=0.42〜0.78,FFRTの各方向がr=0.52〜0.78であった。TUGとの相関はFRTがr=-0.42,MDRT合計がr=-0.55,FFRT合計がr=-0.52であった。歩行自立度2群間ではFFRTで有意差が見られた。結論として重心移動範囲と歩行能力を反映していることから,脳血管障害者の多方向リーチテストとしてFFRTの有効性が確認できた。
  • 米津 亮, 新田 收
    原稿種別: 本文
    2007 年 34 巻 7 号 p. 286-293
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺の動作を客観的に評価する指標を得ることを目的に,起立動作を焦点に当て類型化を試みた。対象は,痙直型両麻痺を呈する脳性麻痺51名(平均年齢9歳11ヵ月 : 3歳2ヵ月から17歳4ヵ月)と運動発達に問題のない健常児10名(平均年齢7歳2ヵ月 : 4歳5ヵ月から11歳10ヵ月)とした。分析は,手すりを用いた椅子からの起立動作をデジタルビデオで側方から撮影し行った。具体的には,体幹・四肢の状態に関する15項目の評価項目を作成し,この評価項目に基づいて動作をYES/NOの2項目で記録した。評価結果を基にクラスター分析を実施した結果,健常児のみで1群が形成され,痙直型両麻痺児の中で5群の類型に分類された。今回の分析より,起立動作の特徴から健常児と痙直型両麻痺児を鑑別することが可能であり,同時にこの特徴を基に痙直型両麻痺の起立動作を5群に分類できることが示された。
  • 佐々木 秀明, 勝平 純司, 渡辺 仁史, 西條 富美代, 齋藤 昭彦
    原稿種別: 本文
    2007 年 34 巻 7 号 p. 294-301
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は移乗補助器具を用いた移乗介助動作において介助者の身体的負担軽減に着目し,福祉用具の有無および種類による身体的負担への影響を明らかにすることである。計測条件は補助器具を用いない移乗動作,トランスファーボードを用いた移乗動作,腰ベルトを用いた移乗動作とした。計測には三次元動作分析装置と床反力計を用いて腰部モーメント,体幹・膝関節角度,床反力を測定し,さらに主観的負担度を測定した。その結果トランスファーボードを用いた移乗動作において主観的負担度,腰部後屈モーメント,床反力が他の計測条件より有意に低値を示した。以上のことから被介助者の体重を介助者が持ち上げるか否かが腰部負担に大きく影響しており,トランスファーボードの使用が介助者の身体的負担の軽減につながることが明らかとなった。
症例研究
  • ―筋力強化練習についての検討―
    岡 徹, 黒木 裕士, 水野 泰行, 古川 泰三, 中川 泰彰
    原稿種別: 本文
    2007 年 34 巻 7 号 p. 302-307
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    近年,膝関節軟骨損傷部位を硝子軟骨で修復する目的で自家骨軟骨移植術(Mosaicplasty)が行われているが,術後理学療法についての詳細な報告はされていない。そこで症例を通し自家骨軟骨移植術後の理学療法,特に筋力強化練習について検討した。本症例は広範囲の軟骨損傷であったが移植軟骨部位への負担に注意しながら筋力強化練習・荷重練習を行うことにより術後20週でスポーツ復帰が可能となった。自家骨軟骨移植術は症例により損傷部位・範囲や移植部位が異なる。また膝靭帯再建術や半月板損傷などの他手術と併用されることも多いため一律な理学療法プログラムを行うことはできない。軟骨移植部位の膝関節接触面の位置・圧迫力を推察し運動角度や荷重時期を注意しながらプログラムを立案する工夫が重要である。
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