理学療法学
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38 巻, 2 号
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研究論文
  • 信迫 悟志, 清水 重和, 三鬼 健太, 玉置 裕久, 森岡 周
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 65-73
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】後方観察における視線方向認知には,両側前運動皮質が関与し,これは自己の頭頸部運動のシミュレーションを表している。そこで,後方観察における視線方向認知課題が,頭頸部の回旋運動とその痛みに与える影響について調査した。【方法】対象は,頸部関節可動域制限と痛みがある患者34名とし,他者の視線移動の後方観察課題を実施するA群(17名)と後方観察による視線方向認知課題を実施するB群(17名)に割付けて準ランダム化比較試験を実施した。両群とも課題前後で,頸部回旋可動域と痛みを評価した。【結果】B群において頸部回旋可動域と痛みが有意に改善した(p < 0.01)。【結論】頭頸部運動のシミュレーションが,頸部運動器疾患患者の頸部関節可動域制限や痛みに効果的に作用する可能性が示唆された。
  • 野添 匡史, 間瀬 教史, 村上 茂史, 荻野 智之, 和田 智弘, 眞渕 敏, 寺山 修史, 福田 能啓, 道免 和久
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 74-83
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者を対象に,動的肺過膨張の程度と呼吸機能や換気様式との関係を観察し,動的肺過膨張が生じやすい患者の特徴を検討する。【方法】慢性安定期にある16例のCOPD患者を対象に,自転車エルゴメーター,もしくは歩行車を用いた歩行にて運動させ,その際の呼吸パターン,呼気流量制限,肺気量位変化を測定した。【結果】16例中8例は自転車エルゴメーターにて,残りの8例は歩行車歩行にて運動負荷を行った。動的肺過膨張の程度と呼吸機能との関係では肺活量や%肺活量,最大吸気量,一秒量,%一秒量,最高呼気流量と相関関係が認められた。また,安静時換気様式との関係は認められなかったが,運動時換気様式のなかでは呼吸数,平均呼気流量,分時換気量との間で相関関係が認められた。【結論】COPD患者における動的肺過膨張の程度は,肺活量や最大吸気量,一秒量や最高呼気流量が高い例や,運動時に呼気流量,呼吸数,分時換気量が増加しやすい例で生じやすいと考えられた。
  • 永井 宏達, 山田 実, 上村 一貴, 森 周平, 青山 朋樹, 市橋 則明, 坪山 直生
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 84-89
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】姿勢制御エクササイズの反復が足関節周囲筋の同時活動に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は健常若年者22名とし,介入群(11名)と対照群(11名)に無作為に分類した。不安定板上で10秒間姿勢を保持する課題を行い,その際の筋活動を前脛骨筋,ヒラメ筋より導出した。介入群には不安定板上での反復エクササイズを行い,その後不安定板上での評価を再度実施した。得られた筋電図波形より,同時活動の指標であるco-contraction index(CI)を求めた。【結果】介入群のCIは,エクササイズ後に有意に減少し,介入前50.7 ± 23.9%,介入後38.5 ± 22.0%であった。一方,対照群のCIには変化が認められず,介入前58.7 ± 23.9%,介入後60.9 ± 23.1%であった(p < 0.05)。【結論】不安定場面での同時活動は,姿勢制御エクササイズを行うことで減少する。このことは,姿勢制御エクササイズにより筋の過剰な同時活動が減少することを示唆している。
  • 相本 啓太, 太田 進, 上田 誠, 鈴木 康雄, 元田 英一, 木村 宏樹
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 90-96
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】膝歩きは臨床で骨盤に対するアプローチとして使われることがあるものの,その動作特性の解析に関する報告は少ない。そのため本研究は骨盤に着目し,膝歩きを歩行と比較することで,膝歩きの運動特性を解析することを目的とした。【方法】対象の健常者24名(22 ± 2歳)に三次元動作解析装置用マーカーを貼付し,歩行と膝歩きの1歩行周期における骨盤可動域の平均変化量,重心移動を解析し,比較を行った。また,体幹・骨盤近位の7筋での立脚期,遊脚期における% MVC(% Maximum Voluntary Contraction:最大随意収縮に対する割合)を求め,歩行と膝歩きの比較を行った。【結果】骨盤前後傾・水平回旋可動域の平均変化量において,膝歩きの方が有意に高値を示した。筋活動量は立脚期,遊脚期において計測した多くの筋で歩行と比較し,膝歩きの方が有意に高値を示した。【結論】膝歩きは,骨盤の可動性・近位筋の活動性を高める運動療法として有用である可能性があると考えられた。
  • ―数学的モデルを用いた解析―
    小栢 進也, 建内 宏重, 高島 慎吾, 市橋 則明
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 97-104
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】筋の作用は解剖学的肢位で考えられることが多いが,実際の運動では関節角度変化に伴い,筋の作用や発揮できる筋力が異なる。本研究では数学的モデルを用いて角度変化に伴う股関節周囲筋の屈伸トルクを検討した。【方法】股関節周囲筋を対象とし,生理学的断面積,羽状角,モーメントアーム,筋線維長から股関節屈曲角度を変化させた際に筋が発揮する屈伸トルクを求めた。なお,大殿筋下部線維,縫工筋,腸腰筋は走行変化点を考慮したモデルを用いた。【結果】大腿直筋は屈曲10〜30°で大きな屈曲トルクを有し,伸展域や深い屈曲域ではトルクが小さくなった。一方,腸腰筋は深い屈曲域で強い力を発揮し,伸展域でもトルクは維持された。また,ハムストリングスは屈曲域で大きな伸展トルクを発揮するが,伸展につれて急激に小さくなり,伸展域では大殿筋下部線維が主動筋となることがわかった。内転筋は伸展域で屈筋,屈曲域で伸筋になる筋が多かった。【結論】関節角度によって変化する筋の発揮トルク特性を考慮することで,弱化した筋の特定など筋力の詳細な評価が可能になると考えられる。
  • 田中 裕子, 山田 純生, 奥村 比沙子, 清水 優子
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 105-113
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,温浴と運動の併用刺激が血管内皮機能に与える短期的介入効果を検討することである。【方法】冠危険因子を保有する地域在住高齢者20名(71 ± 5歳)を対象とした。各対象者を温浴(41℃10分の半身浴)のみを行う温浴単独群と温浴後に運動(立位踵上げ,起立着座運動,座位での股関節内転運動)を行う温浴+運動群に10名ずつ無作為に割り付けた。対象者は温浴および運動を2週間毎日実施し,介入前後で上腕動脈血流依存性血管拡張反応(percent flow-mediated dilation;% FMD)と血圧を測定し,両群で介入効果を比較検討した。【結果】温浴+運動群では% FMDが増加し(p = 0.019),収縮期血圧は低下傾向を示し(p = 0.050),拡張期血圧は有意に低下したが(p = 0.030),温浴単独群では% FMDと血圧は変化しなかった。【結論】血管内皮機能改善には温浴と運動の併用が有効であることが示唆された。
症例研究
  • 山内 真哉, 森下 慎一郎, 眞渕 敏, 児玉 典彦, 道免 和久
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 114-120
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,亜急性期の皮膚筋炎患者2症例に対して運動療法を実施し,運動負荷量の検討を行うことである。【方法】皮膚筋炎患者2名に対し,一定の運動負荷量を設定したうえで運動療法を実施した。筋力トレーニングについては,主観的運動強度としてボルグスケールを用いて筋疲労を指標に負荷量を設定した。持久力トレーニングについては,心肺運動負荷試験を実施して有酸素運動の負荷量を設定した。約4週間の運動療法を実施し,運動療法実施前後の筋力と持久力を評価した。【結果】2症例ともに膝伸展筋力,嫌気性代謝閾値の酸素摂取量(AT時のV̇O2),6分間歩行距離が向上を示した。また,運動療法実施期間中の筋原性酵素の悪化は認められず,安全に実施可能であった。【結論】全身性疾患で多彩な合併症を有し,症状の悪化を招きやすい亜急性期の筋炎患者に対する運動療法は,骨格筋や心肺機能に考慮するとともに,症例に応じた負荷設定が必要であると考えられた。
平成21年度研究助成報告書
  • 森下 慎一郎, 瀬戸川 啓, 中原 健次, 太田 徹, 眞渕 敏, 海田 勝仁, 小川 啓恭, 児玉 典彦, 道免 和久
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 122-123
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】造血幹細胞移植患者に対し無菌室内で運動療法を実施し,その効果と安全性を検討することである。【対象および方法】造血幹細胞移植を受けた患者30名(運動療法群15名,コントロール群15名)を対象とした。造血幹細胞生着の有無,生着までの日数,感染症,移植前後の身体機能を評価した。【結果】運動療法群,コントロール群共に造血幹細胞は全例生着し感染症も認めなかった。身体機能は移植前と比べると移植後,筋力,体重,6分間歩行は低下したものの,歩数は有意差がなく,逆に15名中6名は増大した。【結語】免疫機能が低下している期間中でも感染予防を徹底すれば,安全に運動療法を実施できた。しかしながら,移植前と比べると移植後は身体機能は低下していた。本研究では,運動療法群のみ身体機能評価を行っており,今後,運動療法の効果を検証するには無作為化比較試験の実施が必要であると考えられる。
  • ―referred sensationと共感指数との関係―
    高杉 潤, 樋口 大介, 杉山 聡, 吉田 拓, 松澤 大輔, 沼田 憲治, 村山 尊司, 中澤 健, 清水 栄司
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 124-125
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    触刺激される体肢の鏡像の観察によって誘発される体性感覚(referred sensation:RS)の有無や程度には個人差があることが知られている。しかしなぜ個人差が生じるのか調べた研究はなく,個人因子は明らかになっていない。本研究は,RS誘発には個人の持つ共感能力の高さが要因にあると仮説を立て,Empathizing Quotient(EQ)を用いてRSとの関係を明らかにすることを目的とした。23名の健常者を対象にRS誘発課題とEQ課題を実施した結果,EQおよびEQの細項目のひとつ,emotional reactivity(ER)の得点とRSの程度との間に正の相関が見られた。視覚―体性感覚の共感覚とERとの間に相関が見られるとするBanissyらの報告と今回の結果が合致することからも,RS誘発の個人因子のひとつとして,個々の共感能力の高さが関与していることが示唆された。
  • 生野 公貴, 北別府 慎介, 森本 茂, 松尾 篤, 庄本 康治
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 126-127
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,回復期脳卒中患者に対する末梢神経感覚刺激(PSS)と課題指向型練習の組み合わせが上肢機能改善に与える影響を調査することである。【方法】研究デザインはランダム化クロスオーバーデザインである。対象は回復期脳卒中患者11名である。対象者をランダムに2群に割り付け,A群はまずPSSと課題指向型練習の併用を1週間週6回行い,後に課題指向型練習のみを1週間週6回行うこととし,B群は先に課題指向型練習を1週間週6回行い,その後クロスオーバーさせることとした。【結果】Wolf Motor Function Testにおいて,A群ではPSS併用前後での有意な改善を認めた。B群では介入前とPSS併用後の間に有意な改善を認め,PSS併用前後では改善傾向を示した。Modified Jebsen TestとPurdue Pegboard Testでは有意差はなかったものの,両群ともPSS併用前後に改善傾向を示した。【結語】PSSは,回復期脳卒中患者における課題指向型練習の治療効果を高める新たな物理療法として有効である可能性がある。
  • 峯松 亮, 羽崎 完
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 128-129
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,デイサービス利用高齢者を対象に,足底への振動刺激(FVS)がバランス機能に与える影響を調査することを目的とした。対象高齢者は要支援1から要介護4のいずれかの介護認定を受けている18名(84.9 ± 5.0歳)であった。対象者へのFVSを15分間/回,2回/週で3ヵ月間実施した。対象者へのFVSの介入前後に,重心動揺計にて開眼時と閉眼時の重心動揺パラメータを測定した。また,10 m自然歩行時間(10 m歩行),Timed Up & Goテスト(TUG),ファンクショナルリーチテスト,体重負荷率を測定した。さらに足底の痛覚および二点識別覚を調べた。その結果,開眼時の総軌跡長,外周面積,実効値面積,実効値,Y方向最大振幅および閉眼時の総軌跡長はFVS介入後に有意に低値を示した。10 m歩行,TUGはFVS介入後に有意に低値を,体重負荷率は有意に高値を示した。痛覚は小指球および踵部はFVS介入後に有意に低値を示した。本研究では,FVSの実施によりバランス機能の改善が認められた。FVSは足底感覚を改善することにより,体重負荷率の増加をもたらすと考えられ,これにより重心動揺が減少(特に前後方向動揺)し,立位時の安定性が改善したと考えられる。また,10 m歩行,TUGの有意な減少は動的バランス機能が改善したためと考えられ,FVSの実施による足底感覚の改善,体重負荷率の増加が下肢の運動機能に何らかの影響を与えた可能性が考えられる。
  • ―教育現場と臨床現場の比較―
    堀本 佳誉, 髙橋 恵里, 髙田 千春, 大須田 祐亮, 吉田 晋, 小塚 直樹, 三和 真人
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 130-131
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,現在の発達障害理学療法の,養成校で指導されている評価法と臨床施設で使用されている評価法の実態を明らかにすることを目的にアンケート調査を行った。また,評価法に対する知識や考え方に関する意識調査を行い,今後の発達障害理学療法の教育のあり方を検討した。
     その結果,約10年前の岩崎の報告と比較して,より統一され,標準化された評価スケールが,教育の場で教授され,臨床の場で使用されている現状が明らかになった。
     評価法に対する知識や考え方に関する意識調査に関しては,統計用語に関する知識で,養成校と臨床施設の間に差が見られたのが特徴的であった。統計用語の知識に関しては,評価スケールの選択・使用に影響を及ぼすとされている。今後,講義の中で評価スケールを提示するのみでなく,その評価スケールが持つ統計的情報の提示も行っていく必要があると考えた。
  • 松本 大輔, 瓜谷 大輔, 神崎 かおり
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 132-133
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は特定健康診査対象者への教育的運動指導が与える生活習慣病や運動器疾患等に対する包括的な予防効果の検証を行い,効果的な運動指導の方法を検討することとした。対象は特定健診対象者75名で対照群と介入群に分け,介入群には2週間に1回を6ヵ月間の計12回の教育的運動指導を行った。評価項目は身体組成,血管機能,運動機能,健康関連Quality of Life(QOL),運動習慣および健康阻害要因(運動器疾患等)とした。結果として,介入群では腹囲は改善し,その他の項目では維持されていた。また,QOLと運動頻度においても介入群のみ改善がみられた。一方で対照群においては身体組成,運動機能で悪化傾向がみられた。健康阻害要因については両群とも変化は認められなかったが,全体で約10〜40%程度も存在した。これらの結果から,理学療法士による教育的運動指導が身体組成・QOL・運動頻度を改善させる可能性が示唆された。また,理学療法士の専門性を活かし,健康阻害要因を考慮した運動指導が実施されるべきである。今後は効果的な運動指導についてさらに詳細な検討が必要である。
  • ―歩行中の頸部屈曲に着目して―
    吉田 啓晃, 樋口 貴広, 渡邉 観世子, 安田 和弘, 中山 恭秀, 安保 雅博, 今中 國泰
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 134-135
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    脳卒中片麻痺患者において麻痺側下肢の視覚情報遮断が歩行に及ぼす影響を検討した。対象は,発症より3ヵ月以上経過した片麻痺患者24名とした。A)両下肢遮蔽,B)麻痺側のみ遮蔽,C)非麻痺側のみ遮蔽および D)視覚情報遮蔽なしの下方視覚情報遮断4条件にて,16 mを最大努力で歩行した。その際,歩行速度および3軸加速度計によって体幹動揺性について評価した。その結果,麻痺側下肢の視覚情報を遮断した場合に歩行速度が低下する群は,非低下群に比べて,麻痺側が見えない条件下での体幹動揺量が大きく,総合的な歩行能力も低い傾向にあった。このことから,低下群は麻痺側下肢の視覚情報を利用して,下肢の感覚・運動麻痺を代償している可能性が示され,視線に対する介入は慎重に行うことが必要と考えられた。一方,非低下群は,下方を向いて歩くことに機能的な意義はないと推察されるため,視線を前方へ向ける介入を行うことが歩行能力向上に有効であると推察された。
  • 山口 良太, 平田 総一郎
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 136-137
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究では,人工股関節全置換術後患者に対してポールウォーキングを含んだホームエクササイズの効果について検討すること,また,PWが歩容に与える影響を検討することとした。【方法】対象は,当院にて片側初回THAを施行された患者8名である。すべての患者に術前日および術後4週時に筋力評価および3軸加速度計を用いた歩行解析を行った。また,HEの同意が得られ,継続可能であった2名については,歩数計を装着して術後8週時に回収した。【結果】HEが継続可能であった2名については,歩数,筋力は増加し,歩行周期のばらつきおよび体幹加速度左右偏倚の指標が改善していた。また,術後4週におけるT字杖歩行とPWでの歩容の違いは,後者において歩容指標は有意に改善またはその傾向を示した。【考察】PWを用いたHEは,継続が困難もしくは拒否される被験者があり,効果を検証するには至らなかった。一方で,PWを用いることによりTHA術後患者の歩容指標は改善することが示されたことから,エクササイズの方法についての再検討が必要と考えられた。
  • 松尾 篤, 冷水 誠, 前岡 浩, 森岡 周
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 138-139
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    我々は,経頭蓋直流電気刺激(tDCS)が,健常者の上肢の運動機能を向上させるかどうかを検証した。健常若年者20名(平均年齢21.5 ± 1.2歳,男性16名,女性4名)を対象者とし,研究デザインはシングルブラインドクロスオーバーコントロール研究とした。tDCS刺激条件は,陽極tDCS条件と偽性tDCS条件とし,陽極を右運動関連領域(C4)に設置し,1 mAで20分間の刺激を実施した。測定アウトカムは,左上肢での円描画課題による軌跡長とはみ出し面積,左手握力とした。陽極tDCS後に円描画課題のはみ出し面積に有意な減少効果を認めた。他の測定項目,および偽性tDCS条件においては有意な変化を認めなかった。本結果より,陽極tDCSが健常者の非利き手での運動の巧緻性を変化させることが示唆され,tDCSによる運動関連領野の興奮性増大が関係したことが推察された。
  • 楠本 泰士, 西野 展正, 松尾 沙弥香
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 140-141
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】脳性麻痺児・者に行われる整形外科手術に関する術後満足度に関連する要因を明らかにすること。【方法】当院で整形外科的手術を受けた745名を対象としアンケート調査を行った。調査内容は手術内容・術前後のリハビリ頻度・現在の身体機能変化に対する満足度(以下,現在の満足度)等とした。【結果】440名より回答を得,有効回答は414名(55.6%)だった。手術時年齢と現在の満足度より,40歳未満の70%が満足なのに対し,40歳以上では50%が満足だった。手術部位では下肢,上肢,頸部・体幹の順に満足度が高かった。手術時年齢・術後リハビリ頻度満足度が現在の満足度を予測する有意な因子として抽出され,その寄与率は69%だった。【考察】年配者で現在の満足度が低くなった理由として筋解離術では対応しきれない脳性麻痺の2次障害による構造的な影響が推察された。また,リハビリ頻度の満足度が現在の身体機能変化に対する満足度に寄与することからリハビリに対する需要の高さがうかがえた。
  • 大竹 祐子, 四津 有人, 芳賀 信彦
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 142-143
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    歩行中の足部の動態はいまだ定量的に解析されていない。本研究では,足部に変形を有する小児(今回は15歳以下とした)を対象に,足部の変形により歩行中の下肢各関節の動態がどのように変化するかを明らかにするために三次元での動作解析を行った。 
    歩行立脚期の足部角度は,被験者間でのばらつきが大きかったが,いずれの被験者でも立脚期を通じての角度変化は少なかった。前額面では股関節外転モーメント・膝関節外反モーメントが小さく,立脚期の2峰性パターンは確認できなかった。 
    足部の変形により,特に前足部―後足部間の動きが少ないことが確認できた。
臨床入門講座『根本からわかりやすく学ぶ』
第3シリーズ「関節リウマチ(RA)―最新の動向と理学療法介入―」
臨床実践講座『実践を通した臨床能力の開発』
第2シリーズ「管理・運営」
『理学療法草創期の足跡』
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