理学療法学
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38 巻, 5 号
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研究論文
  • 平木 幸治, 井澤 和大, 渡辺 敏, 森尾 裕志, 笠原 酉介, 長田 尚彦, 大宮 一人, 飯島 節
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 5 号 p. 343-350
    発行日: 2011/08/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】糖尿病(DM)を合併した急性心筋梗塞(AMI)患者における運動耐容能低下への身体機能の関与の有無を明らかにする。【方法】対象はAMI男性患者190例(DM群47例,非DM群143例)。最高酸素摂取量(Peak VO2),身体機能指標(膝伸展筋力,握力,片脚立位時間,前方リーチ距離,体脂肪率,筋肉量),自律神経指標(%HRR,⊿HR)を測定した。【結果】DM群は非DM群に比しPeak VO2 24.3,27.1ml/kg/min(p < 0.01),膝伸展筋力1.75,1.93Nm/kg(p < 0.01),握力38.1,41.3kgf(p = 0.02),片脚立位時間22.2,28.5秒(p < 0.01),%HRR79.1,85.6%(p = 0.04),⊿HR66.0,75.4bpm(p < 0.01)と低値を示した。DM群のPeak VO2の関連要因を検討した結果,膝伸展筋力と⊿HRが抽出された(r = 0.58,R2 = 0.301,p < 0.01)。【結論】DM群の運動耐容能低下には,膝伸展筋力の低下と自律神経指標(⊿HR)が関与することが明らかとなった。
  • 竹内 伸行, 桑原 岳哉, 臼田 滋
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 5 号 p. 351-357
    発行日: 2011/08/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】脳血管障害患者の足関節底屈筋の筋緊張と最大筋伸張度の関連性を明らかにする。【方法】対象は脳血管障害患者71人の麻痺側足関節底屈筋とした。筋緊張の各構成要素を反映するAnkle Plantar Flexors Tone ScaleのStretch reflex(以下,SR),Middle range resistance(以下,MR),Final range resistance(以下,FR)と最大筋伸張度を反映するModified Tardieu ScaleのR2を膝伸展位と膝屈曲位で測定した。SR,MR,FRとR2の関連性をスピアマンの順位相関係数(以下,rs)を用いて検討した。【結果】SRとR2の間に相関を認めなかった。膝伸展位のFRとR2(rs = -0.33)および膝屈曲位のMRとR2(rs = -0.24)の間に弱い負の相関を認め,膝屈曲位のFRとR2の間に中等度の負の相関(rs = -0.49)を認めた。【結論】伸張反射と最大筋伸張度には関連性を認めず,他動的伸張に対する抵抗と最大筋伸張度の間に関連性があると示唆された。また筋緊張と最大筋伸張度の関連性は,2関節筋よりも単関節筋でより強いと示唆された。
  • 鈴木 哲, 平田 淳也, 稙田 一輝, 渡邉 進
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 5 号 p. 358-363
    発行日: 2011/08/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】自宅退院を控えた入院高齢患者の転倒恐怖感の発生頻度および関連する因子を検討した。【方法】対象者は,自宅への退院が予定されていた入院高齢患者66名とした。転倒恐怖感の測定にはModified Falls Efficacy Scale(MFES)を使用し,MFESの得点が139点以下を転倒恐怖感有とした。また関連する因子として歩行能力,転倒経験の有無,認知機能,ADL,抑うつ傾向,年齢,性別について検討した。【結果】対象者の97%に転倒恐怖感がみられた。また転倒恐怖感に関連する因子を重回帰分析を用い検討した結果,歩行能力,ADL,抑うつ傾向が抽出された。【結論】結果より,自宅退院を控えた入院高齢患者にとって転倒恐怖感は一般的な心理問題であることが示された。またその転倒恐怖感には歩行能力やADL能力,抑うつ傾向が関連していることがわかった。
  • 篠原 智行, 臼田 滋
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 5 号 p. 364-373
    発行日: 2011/08/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】入院脳卒中者に対する理学療法介入内容の現状を分析し,脳卒中者の属性との関連性を検討すること。【方法】9つの医療機関に勤務する理学療法士77名を対象に,入院脳卒中者160名に対して実施した理学療法について,その介入内容(活動と介入方法)を調査した。脳卒中者の属性として年齢,性別,麻痺側,罹患日数,入院している病棟属性,Modified Rankin Scale(MRS),歩行能力を調査した。全体の介入内容の回数や時間を集計し,さらに脳卒中者の属性との関連性を検討した。【結果】活動は準備的活動,ベッド上動作,座位,立ち上がり/着座,歩行で多く,移乗,車椅子移動,応用歩行,屋外移動は少なかった。介入方法は運動学習,姿勢調節,バランストレーニングが多かった。MRSや歩行能力は一部の活動の実施回数や時間と関連性を認めたが,介入方法との関連性は乏しかった。【結語】入院脳卒中の理学療法で実施されている活動と介入方法の現状を提示した。また,実施される活動は脳卒中者の属性とある程度関連するが,介入方法とは関連性が低いことが示唆された。
  • 天野 徹哉, 玉利 光太郎, 浅井 友詞, 河村 顕治
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 5 号 p. 374-381
    発行日: 2011/08/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,内側型変形性膝関節症(内側型膝OA)患者を対象に薬物療法等の医学的処置の影響を統計的手法により取り除いたうえで,立ち上がり速度の関連因子を明らかにすることである。【方法】保存的治療中で,上肢支持なしで椅子からの立ち上がりが可能な内側型膝OA患者74名を対象とした。研究デザインは横断研究で,説明変数として膝関節周囲筋の最大等尺性筋力・立ち座り時の疼痛(VAS)と膝関節可動域の計測を行い,目的変数として5回立ち上がりテスト(TST-5)の計測を行った。また,基本属性と医学的属性である障害側(両側性または片側性)・非ステロイド抗炎症薬使用の有無・関節内注射の有無・関節穿刺排液の有無を交絡因子として扱った。統計学的処理は階層的重回帰分析による多変量解析を行った。【結果】TST-5の関連因子は,膝伸展筋力・膝屈曲筋力とVASであり(p < 0.05),これらの因子は基本属性や薬物療法等の医学的処置の影響からも独立していた。【結論】本研究の結果より,内側型膝OA患者の立ち上がりには基本属性や薬物療法等の医学的処置の影響とは独立して,膝伸展筋力・膝屈曲筋力と立ち座り時の疼痛が重要な関連因子であることが示唆された。
  • ―リハビリテーション病院における転倒の予測妥当性について―
    高取 克彦, 岡田 洋平, 梛野 浩司, 徳久 謙太郎, 生野 公貴, 鶴田 佳世
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 5 号 p. 382-389
    発行日: 2011/08/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】日本語版STRATIFYおよびMorse Fall Scale(MFS)の作成とリハビリテーション専門病院における有用性を検討すること。【方法】2008年8月からA病院回復期リハビリテーション病棟に新規入院した患者120名を対象とした。日本語版STRATIFYおよびMFSの作成は開発者の許可を得て完成させた。STRATIFYおよびMFSは入院時に評価し,3ヵ月間の転倒発生を前向きに調査した。データ解析には転倒発生日をエンドポイントとした生存分析(Kaplan-Meier法)を用い,また比例ハザード解析にて転倒発生の危険因子を抽出した。【結果】累積生存率ではSTRATIFYを用いた場合,ハイリスク群で生存率の有意な低下が認められたが,MFSではその差は有意ではなかった。また比例ハザード解析においては,2点以上のSTRATIFYスコアが有意な転倒危険因子として抽出された。【結論】STRATIFYは,本邦リハビリテーション病棟においても転倒ハイリスク者を良好に判別できる簡便なアセスメントツールである。
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