理学療法学
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38 巻, 7 号
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研究論文
  • 北地 雄, 原 辰成, 佐藤 優史, 重國 宏次, 清藤 恭貴, 古川 広明, 原島 宏明
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 7 号 p. 481-488
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】歩行は日常生活でもっとも使用される移動手段であり,高齢者では歩行能力と日常生活範囲に関係がある。歩行が自立することにより様々な利点があるため歩行自立の判断は根拠をもっておこなうことが必要である。本研究の目的は,初発の脳血管疾患後片麻痺を対象とし,歩行自立判断のためのカットオフ値を得ることである。【方法】回復期病棟に入院していた初発脳血管疾患後片麻痺者に対し,Timed Up and Go test(以下,TUG),麻痺側下肢荷重率(以下,荷重率),Functional Balance Scale(以下,FBS)を測定した。そして,これらの評価指標における歩行の自立を判断するカットオフ値を検討した。【結果】歩行自立のためのカットオフ値はTUG快適速度条件,TUG最大速度条件,荷重率,FBSでそれぞれ,21.6秒,15.6秒,0.70,45.5点であった。【結論】初発の脳血管疾患後片麻痺者の歩行自立を判断する際には,今回のカットオフ値により良好な判断が可能となる。
  • 新井 智之, 藤田 博曉, 細井 俊希, 森田 泰裕, 石橋 英明
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 7 号 p. 489-496
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究では足趾把持力評価の有用性を検討するために,足趾把持力の性差,年代別の比較,バランス能力と移動能力との関係を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は地域在住中高年者240名(平均年齢75.8±6.3歳)であった。検査項目は年齢,性別,身長,体重,足趾把持力,等尺性膝伸展筋力,片脚立ち時間,Functional Reach Test(FRT),10m最大歩行速度Timed "Up and Go" Test(TUGT)を測定した。前述の検査項目に関して性差と年代別の比較を行った。また足趾把持力と他の運動機能との相関係数を算出した。さらに片脚立ち時間,FRT,10m最大歩行速度,TUGTを従属変数とした重回帰分析を行った。【結果】足趾把持力は性差がみられ,他の運動機能に比べ,年代とともに著明に低下していた。また足趾把持力は他の運動機能と中等度の相関関係を示し,バランス能力と移動能力を示す指標に対し独立して影響する要因であった。【結論】足趾把持力は高齢者の運動機能評価として有用であり,介護予防や転倒予防における評価法として活用できることが示唆された。
  • 川越 厚良, 清川 憲孝, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 阿部 留美子, 北村 菜月, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 7 号 p. 497-504
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本邦で開発された生活活動度計を用い,安定期高齢COPD患者の日常生活における身体活動量(PA)を定量的に評価することを目的とした。【方法】対象は安定期高齢COPD患者26例(76.8±6.2歳,%FEV_1:52.9±26.3%),対照群の高齢者20例(73.0±4.2歳,%FEV_1:124.0±22.3%)とした。対象者に対し,生活活動時計により1日における姿勢・動作時間,姿勢変換回数を測定し,PAの比較,呼吸・身体機能の各指標との相関を検討した。【結果】高齢COPD患者では1日の総歩行時間,起立回数が,対照群と比較して約40%有意に低下し,総座位時間は約30%有意に高値を示した(p<0.01)。総歩行時間は呼吸困難感,大腿四頭筋筋力,6分間歩行距離と,総臥位時間は健康関連QOLと有意に相関した。【結論】COPD患者の日常生活におけるPAは有意に低下している。生活活動時計による総歩行時間と総臥位時間の測定は呼吸困難感や下肢機能といった客観的な臨床評価指標となる。
  • - 6年間縦断調査による動作パターンおよび動作所要時間の変化-
    桑原 知佳, 柴 喜崇, 坂本 美喜, 佐藤 春彦, 金子 誠喜
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 7 号 p. 505-515
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】発達に伴い変化する背臥位からの立ち上がり動作の完成までの,動作パターンおよび動作所要時間の変化を縦断的に調査し,発達に伴う健常児の立ち上がり動作の変遷を明らかにする。【方法】健常児11名を対象とし,平均年齢4歳0ヵ月から1年ごとに6年間継続して立ち上がり動作を観察し,動作パターン,個人内の動作パターンの一致率,動作所要時間の変化を調査した。【結果】立ち上がり動作パターンは,階段状に難易度が高い動作に変化し,8歳10ヵ月以降変化が生じなかった。動作が変化した時期には,個人内でも様々な動作パターンが観察された。また,動作所要時間は発達に伴い短くなり,動作パターンの変化が終了後も短くなった。【結論】縦断調査により,立ち上がり動作は,非線形に変化をしながら9歳頃に完成することが明らかになった。動作獲得においては,個人内・個人間の多様性に富み,個々に適切な動作を選択しながら発達していくことが示唆された。
  • ― Pushing現象と半側空間無視に着目した自覚的視性垂直位の特徴―
    西村 由香, 吉尾 雅春, 松本 博之, 小塚 直樹
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 7 号 p. 516-523
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究は,環境からの視覚情報をなくした独自の自覚的視性垂直位(Subjective visual vertical,以下,SVV)検査装置を用いて,脳卒中患者のSVVの特徴を明らかにすることを目的とした。【対象と方法】健常成人50名,脳卒中患者53名(右片麻痺例21名,左片麻痺例32名;pushing現象13名,半側空間無視15名)にSVV検査を実施した。脳卒中患者のSVVの特徴を,基準範囲との対比,健常者のSVVとの比較によって確認した。【結果】基準範囲は-3.93°〜2.77°で,基準範囲を超えた患者は18名(右片麻痺例3名,左片麻痺例15名),34%であった。pushing現象に関わらず,半側空間無視によって左片麻痺例のSVVは有意に反時計回りに偏位した(p<0.05)。SVVとpushing現象の相関関係は認められなかった。両障害をもつ左片麻痺例のSVV絶対値(平均7.37°)は,どちらの障害もない左片麻痺例(平均2.44°)と有意差があった(p<0.05)。【結論】Pushing現象と半側空間無視の重複障害例のSVV偏位は顕著に大きいが,SVVとpushing現象との関連は小さいことが示唆された。
  • ―理学療法による運動神経線維の経時的変化―
    鵜川 裕司, 西山 直志
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 7 号 p. 524-530
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】脳卒中片麻痺患者にFiber Tractography(FT)を撮像し,脳内神経線維数が運動機能評価に有用か,さらにFTを経時的に追跡し,脳内活動の動向についても検討した。【方法】脳卒中片麻痺患者51名の線維数と運動機能との相関関係を求めた。正常人,歩行自立群,歩行非自立群の3群間で線維数の比較検討を行った。5名では発症直後から慢性期に至る線維数と運動機能を経時的に測定した。【結果】線維数と運動機能には有意な正の相関関係がみられた(r=0.81,p<0.001)。3群間の比較では,自立歩行になるにつれ多く描出された。経時的評価で,機能回復良好例では,損傷側に著増が,回復不良例では損傷側は少なく,非損傷側の増加を認めた。【結論】FTによる線維数の定量的測定は脳卒中後の運動機能評価の指標となりうることが示唆された。回復良好例では損傷側の皮質脊髄路の再構築が,回復不良例では非損傷側の同側性皮質脊髄路の関与が推測された。
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第4シリーズ「認知神経リハビリテーション(認知運動療法)―誕生から臨床まで―
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