【目的】本研究では足趾把持力評価の有用性を検討するために,足趾把持力の性差,年代別の比較,バランス能力と移動能力との関係を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は地域在住中高年者240名(平均年齢75.8±6.3歳)であった。検査項目は年齢,性別,身長,体重,足趾把持力,等尺性膝伸展筋力,片脚立ち時間,Functional Reach Test(FRT),10m最大歩行速度Timed "Up and Go" Test(TUGT)を測定した。前述の検査項目に関して性差と年代別の比較を行った。また足趾把持力と他の運動機能との相関係数を算出した。さらに片脚立ち時間,FRT,10m最大歩行速度,TUGTを従属変数とした重回帰分析を行った。【結果】足趾把持力は性差がみられ,他の運動機能に比べ,年代とともに著明に低下していた。また足趾把持力は他の運動機能と中等度の相関関係を示し,バランス能力と移動能力を示す指標に対し独立して影響する要因であった。【結論】足趾把持力は高齢者の運動機能評価として有用であり,介護予防や転倒予防における評価法として活用できることが示唆された。
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