理学療法学
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39 巻, 7 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
研究論文
  • 吉川 輝, 船越 健悟
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 7 号 p. 385-396
    発行日: 2012/12/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【緒言】本研究では,生後7日に左大脳皮質傷害を被ったラットにおける経時的な代償反応を逆行性トレーサー法を用いて検討した。【方法】左大脳皮質吸引除去術後2,3,4,5週において右頸髄にFITC-CTB,左頸髄にFastBlueを注入し,標識された脊髄下行性投射ニューロンの数を正常発達ラットと比較検討した。【結果】FITC-CTBで標識された同側皮質脊髄ニューロンは,全週齢において吸引除去群で有意に多く存在した。二重標識された皮質脊髄ニューロンは両群で確認され,吸引除去群では術後4,5週において有意に増加した。しかし,その数は数%に過ぎなかった。延髄腹側網様核および延髄縫線核に存在するFITC-CTB標識ニューロンは,術後4,5週にて吸引除去群で有意に多く存在していた。【結論】新生仔期一側大脳皮質傷害後には,発達過程において淘汰されず残存した皮質ニューロンからの同側性脊髄投射が代償機能の中心的役割を果たし,非傷害側皮質脊髄路軸索からの側枝発芽や,脳幹からの投射も一部関与していることが示唆された。
  • 小林 まり子, 原田 和宏, 福田 敦美, 玉利 光太郎, 遠藤 彰, 小林 隆司
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 7 号 p. 397-403
    発行日: 2012/12/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究は,修正歩行異常性尺度(Modified Gait Abnormality Rating Scale:以下,GARS-M)日本語版の評価者間信頼性を検証することを目的とした。【方法】GARS-M英語版を厳密な手続きを経て日本語版に翻訳した。対象者は認知機能が正常な外来高齢患者とし,7.6mの歩行路における歩行の様子をビデオカメラで撮影した。3名の理学療法士が撮影された動画をGARS-M日本語版で評定した。評価者間信頼性はGARS-M合計得点に関して,級内相関係数により検討した。【結果】対象者は26名(男性17名,女性9名)で,平均年齢は73.9 ± 5.8歳であった。GARS-M合計得点の評価者間信頼性係数は0.83であった。【結論】GARS-M日本語版は良好な評価者間信頼性を備え,日本の高齢者に対する歩行評価に有用である。
  • 佐藤 陽一, 大西 秀明
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 7 号 p. 404-409
    発行日: 2012/12/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,精神的なストレスが主観的痛み感覚と大脳皮質活動に及ぼす影響をあきらかにすることである。【対象および方法】対象は健常男性20名であり,課題群10名と対象群10名に振り分けた。精神的ストレス課題として内田クレペリン試験を用い,課題前後で痛み関連体性感覚誘発電位(Pain-related Somatosensory Evoked Potential,Pain-related SEP)を計測するとともに,Pain-related SEP計測時の電気刺激に対する痛み感覚をVisual analogue scaleにより記録した。【結果】精神的ストレス課題後に電気刺激に対する主観的な痛み感覚は有意に増加した(p < 0.01)。また,Pain-related SEP波形のN20-P25の振幅も有意に増加し(課題前3.1 ± 1.5μV,課題後3.5 ± 1.6μV,p < 0.01),P25-N30の振幅においても増加傾向が認められた(課題前2.0 ± 1.1μV,課題後2.6 ± 1.4μV,p = 0.052)。【結論】これらのことから,精神的なストレスが主観的な痛みの程度を増加させるだけでなく,一次体性感覚野の興奮性を増大させていることがあきらかとなった。
  • 齊藤 正和, 上坂 建太, 花房 祐輔, 湯口 聡, 田原 将之, 櫻田 弘治, 大浦 啓輔, 森沢 知之, 高橋 哲也
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 7 号 p. 410-417
    発行日: 2012/12/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】心臓手術後のカテコラミン投与量とリハビリテーション進行(以下,術後リハ進行)に対する術前腎機能と術後急性腎障害(AKI)の影響を検討する。【方法】待機的心臓手術を施行した連続873例(男性572例,女性301例,68 ± 11歳)を術前腎機能により慢性腎臓病(CKD)群,非CKD群,血液透析(HD)群の3群に分類した。また,術後AKIの有無にて,さらに2群に分類し,術後リハ開始時のカテコラミン(CI),術後リハ進行について調査した。【結果】術後AKI群は,術後非AKI群に比べて,非CKD,CKD群の座位,立位練習の開始時CIが有意に高値であった(p < 0.05)。術後非AKI群の術後リハ進行は,非CKD,CKD,HD群の順に有意に遅延した(p < 0.05)。術後AKI群は,術後非AKI群に比べて,非CKD,CKD群の座位,立位,歩行開始病日ならびに100m歩行実施病日が有意に遅延した(p < 0.05)。【結論】術後非AKI群は,術前腎機能障害に伴い,術後リハ進行は遅延する。また,術後AKI群の非CKD,CKD群は,術後リハ開始時CIが高値で,術後リハ進行も遅延する。
  • 井上 優, 平上 尚吾, 佐藤 ゆかり, 原田 和宏, 香川 幸次郎
    原稿種別: 本文
    2012 年 39 巻 7 号 p. 418-426
    発行日: 2012/12/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】脳卒中患者のDynamic gait index(DGI)得点に対する,二重課題トレーニング(dual-task training : DTT)を併用した運動療法の効果を検証すること。【方法】自力歩行が可能で認知機能に問題のない脳卒中患者14名を対象に,DTT併用群,対照群の2群に無作為に割り付けた。DTT併用群は通常の運動療法に加え,運動課題と認知課題を組み合わせたDTTを行い,対照群は通常の運動療法のみ実施した。歩行能力の評価はDGIを用い,介入前後で2群間のDGI得点を比較した。【結果】2群間比較の結果,DTT併用群,対照群ともにDGI得点は介入後に有意な改善を示した。また有意な交互作用を認め,DTT併用群は対照群に比べDGI得点はより大きな改善を示した。【結論】自力歩行が可能な脳卒中患者に対するDTTを併用した運動療法は,DGI得点の改善に効果を有する。
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